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2004.10.29

南無量的緩和、南無低金利

 28日付のフィナンシャルタイムズに"Japan on hold(日本は保留中)"(参照)という標題で、日銀の量的緩和政策は継続しとけという記事が掲載された。ニュース的な意味としては、20日の参院予算委員会における福井俊彦日銀総裁の表明に賛意を表した形だ。
 たいした内容ではないのだが、国際的にはそう見られているのか、ふーん、という感じ。わかりやすくまとまっているのでブログにネタにでもしようかなと思っているうちに、日本語のロイターで抄訳のようなものが出た。「日銀の量的緩和政策の堅持、適切な判断=FT紙社説」(参照)である。原文とのニュアンスの違いのようなものがあるなと思ってざっと見比べたがないようだ。なので、うざったい英文引用はやめて、気になる人はそちらを読むといいだろう。
 その内容だが、フィナンシャルタイムズが量的緩和政策は継続しろというのは、こういう危険性があるからだというのだ。


  1. 原油価格の上昇はインフレ率の上昇を招くが、日本の場合、実質賃金や企業収益の減少も招き、中期的には期待されているインフレ圧力を減少させる。
  2. 現在の日本の景気回復は中国の外需頼みなので、中国経済が減速すれば、日本経済は失墜する。
  3. また今年前半のように最近の円高ドル安基調になってきている。

 私なんぞ、原油がもっと上がれば日本の製造業に本気で価格上昇のドライブになって良し、とか思っていたが、フィナンシャルタイムズのいうように、実質賃金や企業収益になるのだろう。例の一次産品の高騰の経過をみれば、そうよそうよ、である。
 二点目の中国経済の減速については、今回の中国利上の動向が気になるところだ。すでに原油バブルは少し冷えた。もっともこの程度では石油価格が下がったといえるものではない。むしろ期待するなら、中国利上が円売り材料になるかな、くらいだろうか。
 関連して三点目のドル安基調だが、このまま続くのかは、米国大統領選挙にも関係してくるので、しばらくすると動向がはっきりするのだろうが…と、つまり、ドル高って線があるかだ。
 フィナンシャルタイムズでは、円高基調になれば、日本はまた例の介入をやる気だろうが、やめとけ、と諭している。

Now as then, the Japanese authorities stand ready to intervene against the yen if it seems to be rising dangerously quickly and adding to deflationary pressures. But the best way of weakening the yen will be to hold interest rates low, reducing the yield available on Japanese assets and creating expectations of higher inflation down the line.

 それより金利を下げろというのだが…はて、これ以下には下がらんが、と、おっと読み間違えた(わざとら)、ただ現状の低金利を維持しろ、というわけだ。それがthe best wayっていうのか英語って難しいなと思うが、要するに、円高になっても下手を打たずに我慢せいということなのだろうか。ゆっくり景気は回復するのだからってか。
 そのあたりが、よくわからん。というか、フィナンシャルタイムズは、量的緩和をもっと進めろとか、あれとかこれとかいわゆるあの政策をしろというわけでもない。そのあたりの機微がわからん。
 が、総じて福井日銀総裁を支援していると見ていいから、22日の財政制度等審議会での主張が暗に込められているのだろう。「日銀総裁が財政健全化の必要性強調、歳出カットだけでは困難」(参照)のこれだ。

 インフレを意識的に起こして、財政赤字を削減の議論があることについては、「もしこの方法を取ると、金利が急上昇するのは当然のこと。金利の上昇は、経済の活性化を損ない、経済の急速な収縮が起こる」として、否定した。

 つまり、フィナンシャルタイムズ的にもそういう含みなのだろう。
 フィナンシャルタイムズの話から離れ、量的緩和政策は、ま、それはそれとして、福井日銀総裁のこの表明だが…つまり、日本政府は無い袖は振れぬ的状況になっているわけで、どうするかと。当然、取れるところから取るぞー税なので、所得税の定率減税の廃止である。
 これはすでに計画段階のようだ。「定率減税の段階的縮小、常識的には半分ずつ実施=政府税調会長」(参照)だと、こう。

石会長は、首相発言について、「(定率減税は)あまりにも規模が大きいので部分的にやる。先行きの予測がつかない景気情勢の把握にも時間がかかる」として、段階的な縮小は現実的、との認識を示した。その上で、「一挙に全部やろうという人は不満が残るかもしれないが、少なくとも部分的にやる。その意味は半分なのか、3分の1か4分の1かわからないが、常識的に考えれば半分ずつということだろう」と語った。来年度から実施した場合は、2005、06年度の2年間で廃止することになる。

 ま、そーゆーこと。庶民的にはどんどんセピアなシビアな世界になっていくのだろうけど、餓死者がでる国というわけでもないし、ま、いいっか、なのだろう。
 これでどうやって「インフレ期待」かよとも思うけど、じわじわとなんとなるのでしょう。仮になんかのなんかでスポーンとなぜか資産バブルが起きても、以前と同じで直接に庶民に関係はないでしょう。貧乏人は気にしない気にしない。

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コメント

こと金融に関しては馬鹿がバレやすいのでご注意あれ。
正確な知識が欲しいなら苺BBSの経済板にでもいって揉まれてらっしゃい。

投稿: 金利とはなんぞやデフレとはなんぞや | 2004.10.29 15:21

金融ぜんぜん分かりません。苺BBSで検索しても出てこないのでお薦めの経済板のアドレス教えてもらえませんか?正確な知識ほしいです。

投稿: むぎ | 2004.10.29 19:35

福井総裁が定率減税廃止賛成なんて、言った文脈は全く見当たりませんが。

大体、税調会長と日銀総裁はつるんでるってどこからでたガセネタです?福井総裁がこの会見で言いたいことは「増税やってもいいけど、その代わり増税の経済的な影響がどう出てくるか財務省はちゃんとシミュレーションしているんでしょうな?97年消費税増税の当時の「完全に予想が外れてもう少しで世界恐慌へ突入」の時より財務省は少しは利巧になったんでしょうな?」と言う意味ですよ。

投稿: F.Nakajima | 2004.10.29 20:25

>フィナンシャルタイムズは、量的緩和をもっと進めろとか、あれとかこれとかいわゆるあの政策をしろというわけでもない。そのあたりの機微がわからん。

最後に
The BoJ should keep policy as it is.
とのパラグラフがありますが何か?

>円高になっても下手を打たずに我慢せいということなのだろうか。
これは理屈が逆です。FTが言っているのは景気が回復したら円高になるのが当たり前であり、円安に誘導する一番良い方法 は「0金利を継続し、日本国内の資産価値を減少させつづけ、デフレが継続すればよい」つまり日本経済が低迷し続けるなら円安は継続するといいたいわけです。


投稿: (anonymous) | 2004.10.29 20:41

>むぎ

「苺BBS」でぐぐって一番上。つーか下記。
http://www.ichigobbs.net/economy/

遅レスだから見てないか、、

投稿: 金利とはなんぞやデフレとはなんぞや | 2004.10.30 10:46

>金利とはなんぞやデフレとはなんぞや

これだったのかぁ。。。

ありがとうございました。\(~o~)/

投稿: むぎ | 2004.10.30 11:06

どうもです。そのFTの記事、結構話題になってるみたいですね(H.A Economicsさんのところでも取り上げられてました)。日本のCore CPIは生鮮モノは除いてるんですが、エネルギーを除いてないので、原油高だとデフレ脱却に見えちゃうんですよねえ。毎日みたいに勘違いする人が続出するのは頭が痛いところです。当然、現在では価格転嫁なんてできませんから、純粋な減益要因にしかならないんですけどね・・・。

それとそのFTの記事、ちゃんと読んでないんですけど、引用されていたところの最後は結構重要です。

But the best way of weakening the yen will be to hold interest rates low, reducing the yield available on Japanese assets and creating expectations of higher inflation down the line.

ここでは3つのことを言っていて、最初の金利を低く保てというのはそのまま。次の「reducing the yield available on Japanese assets」は、素直に読めば短期金利はもうゼロですから、長期国債を買えと言っていることになる。で、最後の「creating expectations of higher inflation down the line」はもうそのまま、インフレ期待を起こせ、と。要するにリフレ派が主張していることと全く同じですね。ここだけ読むと。我田引水過ぎでしょうか?わはは。

結局、円安にしたいんだったら日銀が動けと。為替介入は財務省と連携が必要なので(決定は財務省、実働は日銀、しかも日銀が当座預金残高目標値を変更しなければ効果は限られている)、日銀が長期国債をばんばん買い切るのと比べると迂遠な策なのです。僕としては為替drivenな金融政策は邪道だと思ってますが、この際景気が良くなるなら何でも良いですね。

ではでは。

投稿: svnseeds | 2004.10.30 19:01

svnseedsさん、こんにちは。今回のエントリ、ちょっと誤解されているかもですが、私は率直に言って経済政策はよくわかんない、というか、リフレ派の議論は頭ではわかってもしっくりこないよレベルなんで、ここは状況観察というだけなんです。で、見ているとFTが結構福井総裁を支援しているようだし、なんかG7周りの頷きクラブのサインを出しているようなので、そのあたりと国内ニュースの整合をちらちらと考えていたわけです。

で、FTの話で、エントリでも書いたけど、あれれ?なのは、為替介入とそれによる迂回したリフレじゃなくて、低金利政策を維持せよというとこで、この点は、匿名さんにちょっと誤解されているみたいですが、円安に誘導する一番良い方法はゼロ金利を継続し…のあたりでして、今年前半を見てもそうですがそれでも円高になるわけです。さてどうしろ?と。実際は打つ手なしじゃん、と。

その点、svnseedsさんの「長期国債を買えと言っていることになる」はけっこう痛快ですね。でも、ま、マジでFTがそう言っているとは思えないし、その先のインフレ期待論については、エントリ内で福井総裁発言を引いておいたように、強引にインフレを起こすという線はとりあえず日銀・財務省的にはなさそう…。(こっそり言うとあるかもとも思っていますが、それを言うと本気でお馬鹿なので…。)

定率減税云々の話は、このあたりで財政立て直し論の胡散臭さにくっつけた洒落ですが、これも現状のままだと増税は実際には無理なんじゃないかな、と思いますね。

投稿: finalvent | 2004.10.30 19:58

>仮になんかのなんかでスポーンとなぜか資産バブルが起きても、以前と同じで直接に庶民に関係はないでしょう。貧乏人は気にしない気にしない。

ここで謂う資産バブルとは、ハイパーインフレ後の通貨の崩壊による固定資産の付価値化という事ですか?
それとも、純粋に資本の流入のことですか?

投稿: N | 2004.10.31 03:33

Nさん、こんにちは。すみません、該当部分はただの洒落です。ただ、関連の話は、以下とかにあります。

日銀は来年初にかけて追加緩和へ
http://www.analyst-fp.co.jp/ja/economist/economist118.html

投稿: finalvent | 2004.10.31 08:02

冗談でもなんでもなく、FTがいってるのはインフレ期待を起こして実質金利を下げろということです。その手段が長期国債の買い切りオペ増額です。別に為替介入資金としてFBを発行してもいいですけど。ちなみに長期国債を買うのは痛快でもなんでもなく日常的に行われていることです。リフレ派はその額を増やせといってるだけですので。

投稿: 金利とはなんぞやデフレとはなんぞや | 2004.10.31 13:17

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