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2004.10.17

フリーペーパー雑感

 フリーペーパー(無料新聞)の部類に入るのか、あるいはフリーマガジンというジャンルになるのか、R25(参照)を地下鉄駅とかでチャンスがあればたまに拾う。あらためて配布所一覧を見たら、地下鉄駅だけではなく、関東一円に広がっているようだ。R25が面白いかといえば、私は面白いと思う。雑誌としても軽くて、ネタも文章の質もいい。それなりに成功したと言えるのではないか。
 内容的なノリとしてはブログみたいだなという印象もある。もちろん、編集が入っているからブログとはまるで違ったものとも言えるのだが、それでも、特定のブログのネタを継ぎ合わせて編集してもこんな感じのができるんじゃないか。というと逆にブログもフリーペーパー的なものになっていくのかもしれない。つまり、広告収入がある程度得られるほどのメディアに成長すれば、ブログで喰っていける人も出てくるんじゃないか。大手雑誌を見ても、特集という目玉に配慮するにせよ、実際は、連載エッセーで読者をつないでいる。
 しかし、既存の雑誌の業界あるいは既存の広告業界から見ると話は逆になる。雑誌というのは先に広告主ありきで、特定のマーケットに広告を打ちたい企業のニーズから生まれてくる。そのあたりは業界的にはごく常識。なので、広告が効率的にターゲットに行き渡ることを優先すると、フリーペーパーだとターゲットが絞れないし、かえってハズレにもなりかねない。
 おそらくやる気になればフリーペーパーなどどこでもできるだろうという気はする。現状はその兆候が本格化するかようす眺めもあって、R25が業界的に注目されているのだろう。そういえば、「競争優位を獲得する最新IT経営戦略」というすごい名前のサイトに"フリーペーパー「R25」に学ぶこと"(参照)という記事もあった。ま、考えることは誰も似ている。
 現状の雑誌の問題点は、その雑誌のマーケットの規模と、端的に言ってコンビニの流通の棚の確保なのだろう。雑誌は根が広告媒体だから、部数が捌けないとなるとやっていけない。それがダメなら潰れるというか潰す。同じ現象の裏側とも言えるのだが、現状、ある部数を出すにはコンビニ流通に依存しないといけないし、その流通に乗せるにはまたしても部数が必要になる。このあたりが雑誌のハードルだろう…とか知ったかぶりみたいに書いているのだが、最近、週刊文春が週刊新潮に比べて20円値上がりした意味とかはよくわからない。コンビニへのキックバックの関係だろうか。
 雑誌は宅配という手もある。マーケットが特化されていて規模が小さい場合はこれで行ける。というか、この配布方法も以前から使われている。業界誌系はこれだと言っていい。これが価格として高いような安いような価格帯である。月額にするとワンコイン500円から1000円くらい。宅配がより洗練されると配送費用も落とせるので、実質、コスト面では流通コストだけになるのかもしれない。
 そういえば現在の戸別に配達する日本の大手新聞も実際は広告媒体というのがその本質だ。紙面率でみると、広告が新聞紙面の半分になる。残り半分の半分、つまり全体の四分の一がニュースであり、このニュースは現在、もはや、ネットでほぼ足りている。残りが企画ものや、論説などとなる。この部分はブログを含めたネットである程度カバーできるか。できる、となると、それだけで新聞要らねーとなりそうだ。実際すでにそうなのかもしれない。
 フリーペーパーの海外の状況はというと、アメリカではけっこう盛んなようだが、どのように流通しているのかよくわからない。もともとアメリカでは、日本のような大手新聞というのはなく、基本的に新聞というのはローカルなものだ。
 韓国では地下鉄などで毎日各種のフリーペーパーが配布されていて、部数では旧来の新聞を抜いているらしい。ただ、これらは事実や各種情報を手短に記載したもので、論説的な内容や主張はあまり含まれていないと聞く。
 都市生活とフリーペーパーには流通の接点として強い関連があるのだろうと思うのだが、そうなると諸外国の都市部ではどうなのか。ふと洒落でfree daily newspapersに相当する"quotidiens gratuits"というフランス語をキーワードにgoogle調べてみると、検索結果のリストで、フランス語から英語の自動翻訳が選べるようになっている(余談だがこのサービスはけっこうすごい)。
 上位に"Les titres gratuits gagnent du terrain en regions"(参照)がひっかかり、その英訳を読んでみた。Metroというのが55.5万部、20 Minutesというのが75万部売れているらしい。けっこうな部数なので、既存の新聞にマイナスの影響はできないものかと思うが、それほどでもないらしい。自動翻訳を引用するとこうだ。


Do those cannibalisent the paying press? Mr. Bozo defends himself some: "According to Ipsos, two thirds of our readers did not read a daily newspaper . The daily press is on a slope of regression of its assistantship of 3 % to 4 % per annum. I think that the free press can have an impact of 3 % to 4 % additional."

 つまり、フリーペーパーの購読者の三分の二は既存の新聞を読んでいないというのだ。なるほど、新聞と棲み分けの状態なのだろう。
 日本の場合、既存新聞の代替となるようなフリーペーパーが出現するかわからないが、出るとしても、同様に、読者の棲み分けという現象は起きるようにも思う。というか、現状、新聞を読まない若い層は狙い目のニッチの可能性はあるのだろう。

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コメント

数年前に朝日がセブンというフリーペーパーを出していましたね。結構好評だったと思うのですが、なぜか中止。その頃欧米ではフリーペーパーブームだったようです。上層部の政治的判断があったのでしょうか。フランスでもタブロイド版への移行とか動きはあるようですね。

投稿: hasenka | 2004.10.17 13:59

世界新聞協会系のeditorsweblogにこれ関係のエントリがあったのではっつけときます↓(元ネタはNYTみたい)

「Europe: free papers imitated」
http://www.editorsweblog.org/2004/10/europe_free_pap.html

スペインとかドイツでも人気みたいですね

投稿: m_um_u | 2004.10.19 20:05

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