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2004.08.09

アテネの思い出

 アテネに行ったのはもう10年も前なので、これからアテネに行く人に、私の話はさして参考にはならないかもしれない。世の中でアテネ、アテネと騒ぎ出すのでこのところ思い出すことが多いので、なにげなくそんな思いを書いてみたい。

cover
遠い太鼓
 アテネを一言で言うなら、村上春樹が言っていたのだが、「三日で飽きる」である。正確には、紀行記「遠い太鼓」のアテネに「三日もあれば目ぼしいものはだいたい全部見て回ることができる」とある。まったく、そうだな。
 アテネという街は、初日は、驚く。あれま、ほんとにアクロポリスがある、ってなものである。
 たいていの観光客はシンタグマ広場あたりのホテルに泊まる。アクロポリスまではちょいと歩いていけるし、その途中に、原宿みたいなプラカという下町のお土産店街がある。つまんない観光土産しか売ってないのだが、最初はなんか珍しい気がするものだ。
 今の季節だと夏場でサマータイムもあり、8時過ぎまで陽が照りつける。0時を回っても深夜の雰囲気はなく、世界各国のお上りさんがうろうろしているし、カフェもタベルナもあちこち開いている。ワインでも飲みながら、実に観光気分である。タコのサラダがうまいよ。
 二日目は国立考古学博物館でも見るといい。シンタグマ広場からそれほど遠いものでもない。けっこう見応えもあるし、高校の世界史の副読本の写真の現物みたいのがあれこれあって奇妙な既視感に襲われる。たしか、地下で軽いランチができたかと記憶しているが、街にはあちこちサンドイッチ店がある。ギロ(くず肉のでかい塊を焼いたもの、トルコではケバブとか言うが…)の肉を挟んでほおばる。ギリシアコーヒーはやめとけ。不味い。ホテルでもコーヒーはインスタントしかでない。インスタントがギリシアコーヒーより上等らしい。なにかソフトドリンクでギロのサンドイッチでも喰えばいいかな。
 いや、ギリシアコーヒーはやめとけというのは本意ではない。本当はお勧めしたい。エスプレッソみたいな煮だしコーヒーなのだが、フィルターしてないから、口ぺっぺになる。そして無性に甘い。村上春樹がアトス山でのデザートがなんでこんな甘いのかと言っていたが、総じてギリシア・トルコのスイーツは苦いほど甘い。ギリシアコーヒーを頼むと、サーブの人は観光客を見るや「ミドル・スイート?」と聞く。ほどほどの甘さがいいでしょというわけだ。ここでこう答えるのがいいのだ、「ノーノー、ベリーベリースイート」彼らはにやっと笑う。旅の楽しみである。
 博物館からの帰りはオモニア広場からマーケットのある通りを通っていくといい。外国旅行でなにが楽しいって、マーケットを覗き見ることだ。エスカルゴが樽いっぱい売っている。ほおっと思って覗き込むと、生きていやがんの。
 三日目はアクロポリスとの向かいリカベストの丘でも登るか。アテネの雑多な街が見渡せる。今の季節なら、ブーゲンビリアが美しい。
 さて、このあたりから、退屈してくる。国会議事堂前で玩具みたいな近衛兵を見ながら、随分とアテネって小便臭いところだなと思うようになる。あちこちで犬が死んでいる…いや寝ているのだ。街路のカフェでぼんやりしていると猫が寄ってくるので、猫と遊ぶ。他になにかすることはないのか?
 ある。アクロポリスのヘロデス・アティコス音楽堂で毎日なんか出し物やっているからチケットを買ってきて夜見に行くといい。手軽なナイトライフだ。場所はアレである。古代ギリシアの屋外劇場。ほぉっという感じだ。そこでクラシックをとか合唱を聴くのだが、盛り上がってくると蝉がビックリしてコーラスをしてくれる。音楽は台無し。だが、文句は言うな、観光じゃないか。
 というわけで、アテネは三日で飽きる。どうする?
 通りのツーリストの貼り紙を見よである。デルフィへの一泊ハトバスではないが、バスツアーがある。50ドルくらいだったか。ちょいとデルホイ神殿とか見に行くのもいい。これもけこう感動もんだ。おお、これがソクラテスのあれかというわけだ。渓谷も美しい。私は深夜アポロン神殿あたりを満月の下うろうろしたが、ほんと神秘的だった。
 エギナ島あたりの日帰りクルージングもいろいろある。ニコス・カザンザキスの「その男ゾルバ」にも出てくるピレウスの港から船に乗る。エーゲ海クルージングである。とか言っても、それほどたいしたものではない。だいたいが乗っているのは、だらっとした観光客ばかり。そして海上は暇。私はぼうっとしていたのだが、なんかのついでで、マレーシア人とおしゃべりした。高官のようだ。マハティールの東京お忍び旅行の話なども聞いた。ユダヤ人の中年女性は、日本は素晴らしいとか言って話しかけてきた。なんのことはない、日本人はチップを求めないというのだ。あほくさ。
 エギナ島は江ノ島と同じである。醜悪ってほどでもないか。でも、そんな感じ。小さな島だが、ちょっと奥まったところに、こぎれいなホテルがあるので、泊まった。クルージングのとき、泊まってもいいよというアナウンスがあった。明日も来るから同じだよ、というのだ。ほぉである。
 エギナ島のホテルはよかった。なんだか、ヨーロッパの映画のようだな。などなど。ここで私はクルージングの切符を無くすのだが、次の船長に話をすると、彼はメモ帳に「これが切符だ」みたいに書いて、署名した。すること、これが本当に切符になった。へぇ、船長って偉いのだと思った。後に、この手を知っていろいろ便利だった。今はどうか知らないけど、飛行機でも、機長が、これが切符だいう署名付のメモを書くとそれが切符になった。
 あー、なんかすでに長い話だな。ギリシア料理話はなどはまたいずれ。

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コメント

こんにちは

やはり世の中でアテネ、アテネなのでアテネを思い出していたことろ、最近finalventさんのアソシエイトのところにギリシャ本が並んでいたのでいつギリシャ話になるのか気になってました。

僕がアテネにいったのは16年くらい前なのでさらに参考になりません。
そして僕はアテネには3日しか滞在しなかったので、丁度満腹の状態で終わったということですね。

たしか村上春樹氏も泊まったグランド・ブルターニュという老舗ホテルに泊まって、ぶらぶらと途中焼き栗やスブラキなど食べながら確かに3日で主だったところは見てしまったような気がします。でも狭くてちまちましたところが好きなので、村上春樹氏よりも、もう数日いけたと思います。

思い出すのは、やはりエギナなどに行くクルーズ船にのったわけですが、次の週に僕が乗った船がアメリカ人を狙ったロケット弾に攻撃されたということと、サクランボを買ったら食べきれないくらいの量だったということでしょうか。

ながい話は好きですのでギリシア料理話も楽しみにしてます。

投稿: tornos | 2004.08.10 19:10

半年ほど前に、葡萄の葉にライスを巻いた料理の作り方を教えてもらいました。時間をかけると、蓋の重み(いや、蒸気のせいかな)でほんと、柔らかくなるんですね。最近、電子レンジを使うと時間が短縮できることが分かってほっとしましたけど。

料理好きではないのですが、タコのサラダには興味あります。

私もながい話は好きですので、またよろしくお願いします。

投稿: むぎ | 2005.05.01 21:08

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