中国がハイチにPKO派遣
たぶん些細なニュースなのだろう。日本ではベタ記事も見かけない。しかし、スーダン虐殺のように、日本ではベタ記事でも海外主要紙はきちんと扱うこともある。だが、この件はそうでもない。考えようによってはニュースですらないのだろう。中国が国連PKO参加としてハイチに警察部隊を派遣した、という話だ。
日本語版の新華社には掲載されていないが、チャイナデイリーの新華社記事"Peacekeeping riot police to leave for Haiti"(参照)には手短に掲載されている。
China's first batch of peacekeeping riot police forces is scheduled to leave for Haiti in September to carry out the United Nations peacekeeping missions, sources with the Ministry of Public Security said.The forces consist of 125 Chinese policemen who have undergone a three-month-long special training and passed exams held by the United Nations, the ministry said.
実際の派遣は9月になるようだ。最初の派遣とあるが、警察部隊として最初ということかもしれない。規模は小さく125名。当然、警察部隊なので治安維持が目的になる。
ハイチになぜ治安維持が必要になるかについては、今年2月のハイチ政変が関係している。この話題は事件当時極東ブログに書こうかどうか迷って結局書かなかった。宗主国だったフランスと不法移民やアメリカの関係でいろいろと複雑な背景があるが、ここでは政変自体について簡単に言及しておこう。
今年2月ハイチの反政府勢力が当時のアリスティド大統領退陣を求める運動を開始。これが暴動となりハイチ全土に拡大した。2月29日、武装勢力は首都に侵攻し、アリスティド大統領は国外逃亡した。なお、彼は米軍に拉致されたと証言している。この事態を受けて、国連安全保障理事会は多国籍軍派遣を決議。アメリカと元宗主国フランスからなる部隊が派遣された。結果的にこれがイラク戦争による米仏の険悪な両国関係の改善にもなっていたようだ。3月8日にはアレクサンドル暫定大統領が就任。6月2日、治安維持軍は国連部隊「国連ハイチ安定化派遣団に引き継がれた。なお、この5月に洪水があり、1000人以上の死者を出している。
現在の維持軍の主体は南米諸国だが、これに中国も参加する運びとなったのが今回の派遣である。
中国は今回の派遣について、内心小躍りという感じなのだろう。チャイナデイリーの先の新華社の記事ではこうある。
According to Zhou, it is an important diplomatic move to sending peacekeeping policemen for UN peacekeeping missions as it reflects the role and influence of China, a permanent member of the UN Security Council, in the international affairs.
the role and influence of Chinaがちゃんちゃら可笑しいとは日本のサヨクさんたちとその愉快な仲間たちは思わないだろう。例えば、こんなニュースもばっちりOKなのだろう。人民網「中国民間企業、ハイチPKO部隊の装甲車を受注」(参照)より。
中国が派遣するPKO部隊や警官に最良の防弾車輌を提供するため、国連は中国で特別に公募入札を実施した。入札の結果、陝西宝鶏専用汽車公司の防弾使用装甲車「新星2002」が選ばれた。今年55歳になる陝西宝鶏専用汽車の王宝和総経理(社長)は「入札した国内企業5社のうち、4社が大企業で、当社だけが民間企業だった」と経緯を振り返る。
そして、「今回ハイチに出発した装甲車は、海外からも約20両の注文を受けている」と誇らしげだ。でも、それってもう少しで死の商人なんだってば。
というくだらない話はどうでもいいのだが、当然、今回の中国のPKOは台湾がらみがある。外務省の「台湾」(参照)にも「台湾と国交を有するが、中国との開係にも配慮」と指摘されているのが暗示的だ。台湾側も気が気ではない。台湾ニューズ・COM"Taiwan's Haiti embassy to monitor PRC mission"(参照)では、状況を注視している。
Taiwan's embassy in Haiti will closely monitor the actions of China's 125 riot police for a United Nations peacekeeping mission, ensuring the Chinese "do not become involved in any activities other than those they are supposed to," spokesman of the Ministry of Foreign Affairs said yesterday.
しかし、ものは考えようで、こうして中国を国連に軍事的に貢献させ、日本もそれに巻き込んでいけば、新しい時代になるのかもしれない。
そう思う? 私はあまりそんな気がしない。北京オリンピックを本当に見ることができるのだろうかすら、疑わしい気持ちがする。
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