PDF出版とブログ
Exciteブログが先日リニューアルした。予定されていた機能アップは十分には行われなかったが、定刻に始まり定刻に終わり、JUGEMのようなトラブルはなかった。これで、Exciteブログも試験運用のベータ版だった状態から本格実施となり、無料利用と有償利用に分かれることになった。無料利用ではブログ上部のIFRAMEに広告バナーでも付くのかとも予想していたが、そんなことはなかった。野暮は、アマゾンアフィリエイトの小銭をサービス側でいただきますよ、という程度だ。このあたり、日本のブログ・マーケットの動向も大きくものを言っているようだ。有償料金(アドバンス会員)の料金設定である250円という横並びもそうだ。ココログよりちょっと安という線で落ち着きそうだ。
ま、その手のメタブログ的な話の大半はどうでもいいのだが、気になるのは有償のブログというとき、どこで商品価値をつけるかだが、Exciteブログの場合は、PDF出版を打ち出した。書きためたブログを、サービスサイドの処理でPDF文書化するわけである。そして、PDF化した文書は、現在まだサービスは実施されていないが、実際に紙の書籍として印刷・簡易製本ができる。これは、私などには食指が動くサービスだ。まだ実際の製本の仕様と価格は公開されていない。
ExciteブログのPDF出版は、現状5エントリが無料で出力できる。2エントリで試しにつくってみた。eBook338140(886KB)だ。ご覧のとおり、ファイルサイズが異様に大きい。フォントを埋め込んでいるようだ。ブックデザイン的には無難なものだ。画像が入ると、見栄えがいい。処理にはTeXを使っているのだろう。
ブログを印刷・製本するというサービスということでは、私の知る限りでは、はてなダイアリーが先行して始めたものだ。サービス「はてなダイアリーブック」(参照)を見ると、こうだ。
はてなダイアリーブック価格表
基本料金
(税込・PDF作成料1回分を含む) 800円(税込)
印刷料金
(1ページあたり印刷費) 8円/ページ(税込)
送料
(税込・日本国内) 350円(税込)
上製本オプション 3,000円(税込)
※ページ数が100ページ未満の場合は、印刷料金一律800円が必要です
※440ページを超える場合は分冊となります
※料金ははてなポイントのみでご購入可能です
※10冊まとめてご購入頂きますと、1冊無料プレゼントいたします
価格例
100ページの場合・・・ 800 + 8 x 100 = 1,600円 + 送料 = 1,950円 (税込)
400ページの場合・・・ 800 + 8 x 400 = 4,000円 + 送料 = 4,350円 (税込)
400ページ+上製本の場合・・・ 800 + 8 x 400 = 4,000円 + 3,000円 + 送料 = 7,350円 (税込)
ちょっと直感的にわかりづらいが、ソフトパッケージに添付されいてるマニュアルのような製本仕上がりで1冊2000円という感じだろうか。単品で注文できるし、縦書きも可能なので、小説などを書くのにも向けているかもしれない。ただ、自分の感性から言うと、この製本仕上がりはあまり好きではない。
ブログと連携した類似のサービスでは、Teacupが提供しているAutoPageの書籍化サービス(参照)がある。こちらの価格はこんな感じだ。
記事数 (投稿記事単位) |
基本料金 | 書籍本体価格 | お支払い合計 (税込) |
---|---|---|---|
60 | 500円 | 1,480円 | 1,980円 |
120 | 500円 | 1,980円 | 2,480円 |
180 | 500円 | 2,480円 | 2,980円 |
240 | 500円 | 2,980円 | 3,480円 |
価格帯・製本の仕上がりで、はてなとサービスがよく似ているように思える。
この手のサービスで私が欲しいと思うのは、次の5点だ
- PDFから作成する
- サイズは新書版
- ページは100ページ
- 価格は1000円
- 日付の表示は消す
自分の書いたものとかを簡単に読むには、読み慣れた新書版がいい。人にあげるのにも便利だ。書棚の問題も大きい。売る場合でもこの形態がいいのではないか。
自分が書いたもの以外でも、青空文庫やグーテンベルグプロジェクトのテキストを実際に紙に打ち出して読みたいとも思う。100円ショップのダイソーが学校向けなのか、青空文庫を元に100円の文庫を出しているのだが、あまり面白みのないのが残念だ。ああいう感じでもっと選択があるといいなと思うが、100円ショップのコンセプトが足を引いてる。
ちょっと手元の一太郎でまねごとを作ってみた。Taro-sample.pdf(38KB)だ。フォントを埋め込まないので、かなり小さいサイズになる。まじにブックデザインをすると手間取るので、ブログ同様あまり校正もしてないし編集も手抜きだが、なんとなく実際にプロトタイプを作ってみると、こういうのって悪くないなという感じがする。
やってみて思うのは、手抜きでないととてもやってらんないくらい時間がかかる。失笑を買うような当たり前のこと言って恥ずかしのだが、書籍というのは編集がものを言う。ブックデザインもかなり重要だ。が、そのあたりはかなり妥協してもいいのではないか。
サンプル作成は当初、Wordを使おうかとも思った。ある程度使い慣れているし、編集ノウハウとしては、「Wordで本をつくろう タテ組編」、「Wordで本をつくろう ヨコ組編」、それと、「Wordでマスターする使えるビジネス文書」が便利だ。余談だが、「Wordでマスターする使えるビジネス文書」はこのシリーズとかけはなれたちょっとした奇書でもある。
が、実際にサンプルを作る際には一太郎のほうが楽だった。この手の作業はやはり餅は餅屋ということだろうか。TeXはいいとして、やはり普通に使うなら昔のroffのようなシステムのほうがやりやすい。いや、これこそ、簡易なXMLタグのシステムがあるといいと思う。具体的には、タグ打ちしたものを安価にPDFで返すようなサービスだ。
PDF出版のアウトソースは技術的には難しくないし、これが普通にブログユーザなどに利用されるようになり、オークションなどで販売すればちょっと違った出版の風景になりそうな気もする。が、キモは編集者なんだろうな。
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