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2004.06.13

異性化糖でデブになる?

 コカコーラC2をあちこちで見かける。"売り"はカロリー1/2というところだろう。ダイコクやコカコーラライトの系統だから、またしてもアスパルテームか、とつい思う。気になるのは、アスパルテームは過熱するとたしか変質するということだが、風邪薬の代わりにコークを過熱して飲む日本人はいないので、それでもいいのかもしれない。それでも、いまさら果糖とアスパルテームを配合する時代でもあるまい。スクラロースあたりだろうか……。
 と察しをつけてコンビニで手にとって仰天した。御三家だよ。アスパルテーム、スクラーロース、アセサルファムKが全部入っている。思わず、なぜ?とつぶやいてしまった。甘味としては他には、異性化糖(果糖ぶどう糖液糖)と蔗糖(砂糖)も加えられている。あまり想像したくもないのだが、これは日本コカコーラ社内にテイスターがいて、これでいいと決めたのだろう。
 そんな時代なのかと唖然とはした。カロリーを1/2にしたければ飲む量を半分にすればいいのだが…。もともとコカコーラ(クラシック)は甘味が強いのだから、少し薄めるくらいでもいい。ライムを入れるとなお良いのだが、このあたりは個人の趣味の問題だろう。米国では恐らく甘さが決め手でペプシに負けてしまったのだから。という話は、昔読んだ「コカ・コーラの英断と誤算」にあった。もっともマーケット的にペプシが勝ったのは1ボトルの量が大きくて米国の大量購入にマッチしていたことらしい。確かに米軍内でバーガーキングに入るとバケツみたいなカップでコーラが出てくるしな。
 ブログの時代なので、しかもこの手のネタはいかにも日本のブログ向きなので、と思ってコカコーラC2の評判をぐぐってみると、好くない。ポイントは味のようだ。しかも、アスパルテームがネックのように見受けられる。ぐぐったついでに日本コカコーラ社の資料を読むと世界に先んじてとあるから、こいつの味のテイスターは米国人なのか?
 カロリー1/2というのがそれほど日本のマーケットに訴求力を持つのだろうか。当然、マーケット調査をして売り出しているのだろうが、よくわからないところだ。
 と、ここで、アルパルテームを嫌う日本人は和菓子の伝統で甘味の感覚に優れているからな、と書きたいところだが、たぶん違うだろう。というのは甘味に敏感になれば、異性化糖のきつい、それでいてうわついた感じがわかるはずだからだ。でいないと和三盆の味なんかわかるわけもあるまい。現実の日本人の大半の甘味の感覚は異性化糖に合ってきているのだろうと思う。
 資料を詳細に当たるのがめんどくさいのだが、たしか日本の砂糖消費量は往時に比べかなり減少しているはずだ。「異性化糖による砂糖需給の変化」(参照・PDF)を見ると下げ止まりでもありそうだが、それでも砂糖の時代は終わったのは、異性化糖によると言っていいだろう。よく阿呆な自然食信仰者が砂糖は身体によくないとかわけのわかんないことを言うが、むしろ砂糖ならましなほうで、現代日本の甘味消費は異性化糖の比重が多いだろう。
 もしかすると、異性化糖って何?と思う人もいるかもしれないので、日本甜菜製糖株式会社HPの「異性化糖って何だろう?」(参照)を参考に簡単にまとめておく。異性化糖は、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の混合液で、日本農林規格(JAS)では、果糖含有率50%未満を「ブドウ糖果糖液糖」、それ以上を「果糖ブドウ糖液糖」とする。これらに10%以上の砂糖を加えると「砂糖混合異性化液糖」になる。異性化糖は澱粉をもとに工業的に製造できるので、このおかげでサトウキビ農業が壊滅的となったと言ってもいいだろう。甘味については、砂糖を100とすると、ブドウ糖が65~80、果糖が120~170。蜂蜜は果糖を成分としていることもあり、人類はそれが砂糖より甘いことを知っていた。で、異性化糖の甘味度だが、果糖42%で70~90、果糖55%で100~120となる。つまり砂糖の偽物になる。話が前後するが、砂糖(蔗糖)はブドウ糖と果糖が結合したものだが、異性化糖は混合液である。
 ここで、気になるのは、人間の身体と果糖の消化の関係だ。現代文明がイカンというなら、異性化糖に害があるとでも言いたいところだが、毒性などありようもない。問題は過剰摂取だが、それとても、蔗糖とめだった差異があるというわけにもいかないだろう。ようするに、総量としての果糖消費が現代人を特徴付けているとだけは言えそうだ。
 そこで果糖なのだが、こいつの代謝がどうも現代科学で完全に解けているようでもないようだ。というあたりから、ブログのネタなのだが、先日"The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism"にちょっと面白い研究が発表された。"Dietary Fructose Reduces Circulating Insulin and Leptin, Attenuates Postprandial Suppression of Ghrelin, and Increases Triglycerides in Women"(参照)である。
 例によって本文を検討したわけではないが、標題や概要からでもこの話は面白い。標題を試訳すると「食用果糖は女性の身体において、血中インスリンとレプチンを減らし、食後のグレリンを抑制効果を減じ、中性脂肪を増加させる」というもの。レプチンはすでに現代人の必須用語になったが、食欲抑制効果を持つペプチドホルモン。グレリンは成長ホルモン分泌促進ペプチドである。概要の一部を引こう。まず、発表の前段となる前回の状況。


Previous studies indicate that leptin secretion is regulated by insulin-mediated glucose metabolism. Because fructose, unlike glucose, does not stimulate insulin secretion, we hypothesized that meals high in fructose would result in lower leptin concentrations than meals containing the same amount of glucose.

 つまり果糖がレプチンを弱めるだろうと推測していた。そして、今回の結論はこうだ。文中HFrはhigh fructose(果糖たっぷり)ということ。

Consumption of HFr meals produced a rapid and prolonged elevation of plasma triglycerides compared with the HGl day (P < 0.005). Because insulin and leptin, and possibly ghrelin, function as key signals to the central nervous system in the long-term regulation of energy balance, decreases of circulating insulin and leptin and increased ghrelin concentrations, as demonstrated in this study, could lead to increased caloric intake and ultimately contribute to weight gain and obesity during chronic consumption of diets high in fructose.

 科学的な言葉をやや不正確に下品に言うと、長期に果糖を過剰摂取していると、食欲を制御するレプチンが減り脳が十分に機能できずにデブになるよ、ということだ。
 この先は、ロイター系のニュース"Too much fructose may skew appetite hormones"(参照)をひこう。

After people in the study ate a meal followed by a drink flavored with the same amount of fructose found in two cans of soda, they showed relatively low levels of insulin and leptin, hormones that help people know that they are full.

On the other hand, they showed relatively high levels of ghrelin, a hormone that stimulates eating.

These hormonal changes "we think could promote overeating," and subsequently obesity, study author Dr. Karen L. Teff told Reuters Health.

 というわけで、果糖を過剰摂取すると、食欲抑制物質が減り、促進物質が増えるというわけだ。デブまっしぐらである。糖については、カロリーも問題だが、特に過剰な果糖摂取が現代人の代謝を狂わせている可能性は高い。
 当然、こうした研究を先読みして、清涼飲料水の産業も異性化糖を減らす方向に向かわざるをえないのだろう。

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コメント

人類進化の過程で、果糖は脂肪資源として特化されたのでしょうか。でもって以下妄想ですが、女性が脂肪資源担当、男性がタンパク資源の担当で、カニバリズムがデフォルトだった・・・。さらにアクア説よろしくメインの一次食料資源は水産物だった、なんてのはありでしょうか?

投稿: a watcher | 2004.06.13 19:33

a_watcherさん、ども。APEがなぜフルーツイーターなのかは素朴な進化論的な説明はあるんですが、ご指摘のあたりが謎ですね。進化はこれは学問的に言うとペケですが、大筋で合目的です。わけがあるはずです。結果的に脳を維持するためと考えてよさそうな気がします。fish eatingについてはさらに難しいです。進化的な裏付けがあれば、現代人類にサシミ衝動でもありそうですが、って、そういう衝動を持つ人が身近にいますが(これはギャグ)。

投稿: finalvent | 2004.06.14 09:51

もうちょっと引っ張ります。安直に、直立歩行、体毛の減少(喪失)、皮下脂肪の獲得、脳の巨大化という変化に平行するのが、果実食→魚食→屍肉食い&共食いという食性の変化だった、つまりは脂肪資源の確保(渇望)が、人類進化のドライヴだったという妄想です。いけてるようないけてないような。

投稿: a watcher | 2004.06.14 10:22

a watcherさん、ども。このあたりの問題は、多分に現存人類の類的な無意識に対応しているように思うのです。その面からいうと、普通にはにわかには直感しにくいカニバリスムは、実はキリスト教の原点にあるなど、宗教の源泉的な心理イメージのメタ的なマトリクスかもしれません。駄言かもしれませんが、まさに人類の意識が見たいないものとしてドライブしているのかもしれません(インセスト・タブーもカニバリスム的なイメージだったりして)。ちょっとヤバイ問題意識ですが…。

投稿: finalvent | 2004.06.14 14:40

日本では、アトキンスダイエットってはやっていますか?
炭水化物摂取を極力抑えるダイエットです。
米国では凄いブームで、コカコーラC2も炭水化物半分ということで、登場したようです。
実際、アメリカ人の肥満っぷりはひどいです。日本人も最近はかなりジャンクフード馴れしてしまったようですが、やっぱりアメリカ人にはかなわないでしょう。
とにかくなんでも甘過ぎるのです。これはおかしい!と、スーパーで標示をいちいち調べたら、科学的な事は分かりませんが、やたら「コーンシロップ」なるものが入っている事に気が付きました。パスタソースにも、ソーセージにも、イタリアンミートボールにまで入っています。
なんでだー!と思ってちょっと色んなウェブをみてみたら、経営の成り立っていないコーン農家を政府が助けるためにコーンから甘味料を作るという考えがいつからかでてきて、コーンは安いし、その味にアメリカ人が馴れてしまった、という話です。日本の皆さん気を付けて!

そんな事はおかまい無しで、会社の同僚(肥満)は、「私、アトキンスやっているから、サンドイッチのパンは食べないわ!」といいつつ、ミートボール (甘ったるいソースつき)を食べています。

投稿: アトキンス | 2004.06.16 09:13

アトキンスさん、ども。ってっきり、路上で転んで死んだあと天国から戻られたのかも…冗談です。日本では、一部が低インシュリンダイエットとして流行っています。本格的なアトキンズ・ダイエットではありません。ほんとなら、尿チェックしてケトン体の代謝をみないと…って、私もなんだか詳しそうでしょ(本人はデブではありませんが)。

投稿: finalvent | 2004.06.17 18:26

有關 貴公司產品,異化性糖,台灣那裡可以買得到。能提供訊息嗎!謝謝。

投稿: | 2006.01.13 13:48

驚きました。
最近の飲み物に良く入っているのは知っていましたが・・・
砂糖より果糖や異性化糖の方が身体に吸収されやすいとは・・・

とても勉強になりました。
ありがとうございました。

投稿: | 2010.08.10 18:27

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