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2004.06.20

日本ではハイジャックされた飛行機は撃墜されるか

 もう少し考えてから書くといいのだが、取りあえず気になるので書いておきたい。9.11テロを検証する独立調査委員会が開催した公聴会報告書に関連した話だ。
 この報告書について、日本での報道を見ていると、イラクとアルカイダは無関係で、いかにブッシュが極悪なやつか、みたいなことに論点が置かれていたように思う。しかし、いくら阿呆なブッシュでも、また直接的なつながりがあると確信しつつも、その事実認識の部分まで誤ったものではない。彼の弁解はそう嘘でもない。なにより、イラク攻撃はあくまで米国の国策であり、この国策の是非は大統領に任されていると考えるのがまず大筋だろう。
 と書くと、私がブッシュを弁護しているかのごとく誤解されるが、そういう左翼的な空気にはうんざりする。ついでなので言うが、NHKと朝日新聞は一貫して国連疑惑にはほとんど触れていない。おかしいんじゃないか。イラク戦争がなければ、仏露はいかがわしくイラクを搾取し続けたのであり、しかも国連ですらグルだった。名目上であれ、石油歳入権がイラク国民に戻ったことは、米国には皮肉な、また課題の残る結末だっただろうが、自由世界にとっては意義のあることだったと私は思う…と書いても、陰謀論か米国支持にしか聞こえないのだろうか。なお、まったくこの問題に触れていないわけでもないのは、朝日新聞系「国連のイラク支援不正疑惑でエクソンモービルを調査」(参照)でわかる。しかし、とりあえずその問題はどうでもいいとしよう。まだ本丸である仏露を締め上げているわけでもない。
 今回の報告書のニュースを読みながら、あれ?と思ったのは、乗っ取られた飛行機を撃墜できたか云々のくだりに関連した部分だ。18日のロイター系「米同時多発テロの独立調査委、防空態勢の不備を指摘」(参照)では、こう伝えている。


 報告書によると、チェイニー副大統領は一時、自身が下したハイジャック機撃墜命令により、数機を撃墜したものと勘違いしていたという。
 ハイジャック機が最初に世界貿易センターに激突した7分後に、戦闘機が飛び立ったものの、軍幹部らは他のハイジャック機を阻止するための十分な通告を受けていなかったという。
 特に非難を受けているのは、連邦航空局(FAA)で、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)司令官は、FAAが知りえた情報全てを即座に軍司令部に報告していれば、戦闘機はハイジャック機を撃墜できた可能性があるとしている。

 このニュースは日本でもよく報道されたので記憶に残っている人も多いと思うが、私が、あれ?と思ったのは、「それって、じゃ、撃墜すればよかったのか?」ということだ。
 日本の状況に即して考えると、このあれ?感がわかってもらいやすいだろう。つまり、日本で飛行機が乗っ取られ、国会などにつっこみそうだ、というとき、日本の首相は撃墜命令を出すのか?
 ものごとのスジで考えていえば、そうするしかないだろう。しかし、日本の首相にそれができるのだろうか。また、安全とは、そうすることなのだろうか?
 あれこれ考えてみるのだが、というか、自分がそういう立場にあったとき、日本人的な心情でどういう行動を取るかとすれば、南国から鉄人28号を乗せたロケットのときと同じように(冗談)、つっこみそうな所の人を待避させ、あとは、乗っ取り飛行機とひたすら「対話」を試みる…フリをするだろう。撃墜しても乗客は死ぬのだし、万一で説得できれば、乗客は救えるという賭けと見れば、こっちのほうがリターンの確率が高い。で、いいのか?
 報告書と自分の感覚のズレは、朝日新聞系「同時多発テロ、4機目墜落後に撃墜命令 調査委報告書」(参照)にも感じられる。

 報告書は、連邦航空局や北米航空宇宙防衛司令部が、かつてない事態に有効な対応ができなかったと指摘。また、4機目は、テロリストが占拠した操縦席に乗客が突入していなければ、ホワイトハウスか米連邦議事堂に突っ込んでいた可能性があり、「米国は彼らに助けられた。彼らの行動が大勢の人命を救った」と称賛した。

 すらっと読むと、自分の命を犠牲にしてまで行った英雄的行為のようだし、また、スジを通して考えればそうだ。しかし、日本人大衆としての自分の感性からすると、そこまでの正義感はない。以前、少年がバスジャックした事件などはこのまったく逆だった。男が三名も意を決すれば少年など叩き潰せるだろう、というか、米人ならそうするだろう。が、日本では、いい大人がこっそり抜け出したりということすらする。
 VOAニュース"9/11 Commission Says US Air Defense was Overwhelmed on Day of Attacks"(参照)では、こうした事態に米国は対処できるとした発言を掲載している。

Air Force General Richard Myers is chairman of the military Joint Chiefs of Staff and had this to say.

"And as you know, our posture today is quite a bit different as we look at this threat and other potential threats," he noted. "So we have improved our communications and we have refined our procedures, both with the White House and with the FAA and those procedures are in effect and are exercised."

And the commander of the North American Aerospace Defense Command, General Ralph Eberhart, said the changes made in communications, preparation and training would mean a different outcome if the same attacks were attempted again. "Because of the fixes, the remedies put in place, we would be able to shoot down all three aircraft, all four aircraft," he said.


 つまり、今度は、乗客一蓮托生で撃墜できますよ、と。だから安心してくださいということなのだ。で、私はなにに逡巡しているのかと自分を疑問に思う。このあたりの答えがうまく出てこない。ばっくれて言えば、所詮、他人ごとである。
 話が少しずれる。こうした撃墜命令以前に、日本ではこうした事態を察知できるのだろうかと疑問に思う。話がうざったいので、端的に言えば、こうした事態の際、「横田空域」はどのような意味を持つのだろうか?
 現状の横田空域はどの程度なのか調べ損ねているが、10年前は、横田空域は、「羽田空港の空域の西側に接する形で、北は新潟県内から南は伊豆半島、西は長野県・松本まで広がる高度二万三千フィート(約六千九百メートル)以下の広大な空間で在日米軍第五空軍司令部が管轄」(読売1992.3.3)だったが、これが1割程度削減された。ということはあまり削減されていない。その後、削減された話も聞かない。
 常識的に考えれば、在日米軍第五空軍司令部がまず初動するはずだ。そして、それは基地攻撃の可能性を含むから、米国流に撃墜するしかないだろう。ということは、官邸ではすでに撃墜是認のストリーができているはずだ。
 なお、同じ話は嘉手納ラプコンにも関係するがこちらは北朝鮮も絡んでいてさらに難しい。なにかの機会に書きたいのだが、というか、嘉手納ラプコンを知らず観光沖縄に浮かれている日本人は恥ずかしいと思う。

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コメント

日本がアメリカの属国であるという哀しさをひしひしと感じるけれど、これ以外の選択肢を、具体的なシミュレーションを示してくれよ民主党。

投稿: ちかこ | 2004.06.21 00:22

興味深く読ませていただきましたが、ひとつだけ。
「追撃」じゃなくて「撃墜」じゃないでしょうか。
追撃は追っかけて攻撃することです。

投稿: simon | 2004.06.21 02:47

simonさん、ども。ご指摘のとおりです。ありがとうございます。訂正しました。

投稿: finalvent | 2004.06.21 08:15

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