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2004.05.26

同性婚の動向

 米国時間で17日の話になるが、マサチューセッツ州で同性同士の結婚が正式に認められるようになった。日本でもニュースとして報道されたが、新聞社説でテーマとして取り上げるといった社会的な関心にはならなかったようだ。もっとも、「同性愛☆関連ニュース」(参照)を見ると同性愛者たちの間ではホットな話題のようではある。
 私自身は、米国の同性婚の動向にはそれほど関心はなかった。この問題が、毎度ながら、中絶問題などと一緒に、大統領選挙に関係することは知っている。むしろ社会問題としてはそちらの意味合いがあるのではとも思っていた。
 この問題に自分が関心が薄いのは、基本的に、同性愛をどう社会的に受け止めるかということで、「差別をしてはいけない」が正しいという単純なソリューションで自分のなかで終わっているからだ。このブログでは私はしばしば保守と言われることがあるし、どう言われてもいいのだが、自分では政治的な面ではウルトラ・リベラルではないかとも思う。そういうリベラルであることに価値を置く自分としては、同性愛の結婚というのも広く認められればいいのではないかと、まず考える。
 が、この数日この問題が、ぼんやりとこの問題を考えては、奇妙なひっかかりがある。うまくまとまらないが、書いておきたい気がする。
 奇妙なひっかかりは、社会が同性愛を差別しないということと、結婚という社会制度を同性婚に直結する関連性が判然としない、というあたりだ。
 北欧などでは、前世紀に世界大戦がないこともあり、近代社会が深化し、結婚というのは基本的にプライベートな領域の問題に移りつつある。あるいは、こう言い換えてもいいかもしれない。結婚や宗教的なり信条の問題なので、国家が関与すべきではない、と。このあたり、日本の別姓論者がどう考えているのかはわからないが、社会原理的にはそう考えていくのが正しいだろう。
 そう考えると、問題の根幹は、社会的な差別「意識」の問題ではなく、法的な問題であり、社会制度の問題なのだということになる。マサチューセッツ州での同性婚に関連して、朝日新聞系ニュース「米マサチューセッツ州が『合法的』同性結婚受付」(参照)では、制度面をこう報道している。


 同州最高裁は昨秋、同性の結婚を禁じるのは州憲法に違反するとの判断を下し、同性婚を認めるよう州当局と議会に命令した。結婚を認められたカップルは、社会保険や税制度、遺産相続、養子縁組などで男女の夫婦と全く同じ権利と利便を与えられる。

 だとすると、私は同性愛結婚に反対するというわけではないが、そうした結婚を契機とした利益・不利益を社会的に存在させなければ、とりわけ結婚という制度を同性愛者が必要するものでもないようには思う。と同時に、それは、異性間の結婚でも同じ問題ではあるのだろう。
 もう一歩踏み込む。問題は、相続と養子がポイントになるではないか。
 同衾者について社会制度がどう扱うかということになるのだろうが、結婚が暗黙のうちに前提としている二人の結びつきということだけではなく、三人以上の同棲者でも同じことが言えるのではないだろうか。もっと単純に言うなら、主に遺産相続についての共同生活者の権利を拡大し、その中に、自然に同性愛者のカップルを含めるということでもいいのではないか。
 今後日本でも、多分に、未婚の男女がそのまま老齢化し、共同生活を送らざるえなくなるだろう。彼らが互助のコミュニティを形成する場合、財産共有の制度は必要になる、と思うのだが、現状の日本の制度でも問題はないだろうか。
 制度面でもうひとつ気がかりなのは、養子だ。これも原理的には三人以上のコミュニティの子供としてもいいのではないかという点もだが、それはさておき、同性愛カップルが養子を持つ場合、親はいいとしても、子供はどうなのだろうか。
 当然こうした問題は心理学者なども議論していると思われるのだが、私は知らない。この問題にどういうアウトラインがひけるのかすら、まるでわからない。社会制度上ジェンダー差別を撤廃するということと、子供の心性における母性・父性の象徴の重要性はまた別だろうと思う。というか、人間の権利以前に、人間の心性というものに政治的な中立性がありうるのか、よくわからない。
 同性婚の制度面については、現在、主に欧米諸国では課題になっているのだが、日本の状況は、さらにわからない。この問題関連でぐぐってみると、「『同性婚』を取り巻く現状」(参照)また「同性婚はいま-世界の動向-」(参照)というページが参考になるが、原則なり原理面がわからない。それでも、北欧では同性婚の場合、養子については認められないという傾向があるようにも見受けられる。やはりなんらか、社会的な抵抗感の根拠性はあるように思える。

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コメント

米では完全に選挙問題になっていますね…(^^;

同性愛反対者(同性愛ヘイト)の方が、
同性愛を認める立場(私もこの立場です)より
数が多いので、ブッシュを有利にしているのが残念です。

投稿: kagami | 2004.05.27 08:02

kagamiさん、ども。ご指摘のとおり、米国の時事としては選挙マターなんですが、問題の根はしっかりしている、というか、しっかりしすぎて日本人には理解できない大騒ぎという面があるように思います。

ちょっとコメント欄で余談で、kagamiさんへのレスとは違うのですが。

この問題は、同性愛差別はイカン、という単純な問題ではなく、現代世界の社会原理の根幹に関わる重要な問題だと思うのですよ。自分でもうまく書けてないので情けないですが。

フランス革命のスローガンは、日本では、自由・平等・博愛、というふうに言われ、わかったようなふうであり、今の若い知性も自由と平等についての問題、その相克関係は問題にするのですが、「博愛」の意味がわかっていないように思えます。

これは、fraternityなんです。原義は初期キリスト教というかヘレニズム結社かなとも思うのですが。ちょっと爆弾発言になるかもしれないけど、同性愛っていうのはまさにキリスト教的制度の根幹と同じだし、マルクスの想定する社会は、associationであり、どうも、fraternityのようです。

投稿: finalvent | 2004.05.27 09:48

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