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2004.05.19

北朝鮮竜川駅爆破とシリアの関連

 ガセかもしれないので、どう扱ったらいいのかわからないのだが、気になることは気になるので、簡単に触れておきたい。北朝鮮の竜川(Ryongchon)駅爆破に関連した話だ。
 少しまどこっしいが、私がなぜこの問題が気になったかというあたりから書きたい。きっかけは、18日付のNorth Korea Zone "Web report claims to confirm Syrian-NK explosion connection"(参照)の記事だ。North Korea Zoneは、この問題について以前にも"Japanese newspaper: Syrian technicians killed in Ryongchon explosion"(参照)で取り上げている。が、あらためて取り上げたのは、18日付のWorldTribune.com "N. Korean rail explosion foiled missile shipment to Syria"(参照)で取り上げられていたことだ。少し長いが話をひく。


 A North Korean missile shipment to Syria was halted when a train collision in that Asian country destroyed the missile cargo and killed about a dozen Syrian technicians.
 U.S. officials confirmed a report in a Japanese daily newspaper that a train explosion on April 22 killed about a dozen Syrian technicians near the Ryongchon province in North Korea. The officials said the technicians were accompanying a train car full of missile components and other equipment from a facility near the Chinese border to a North Korea port.
 A U.S. official said North Korean train cargo was also believed to have contained tools for the production of ballistic missiles. North Korea has sold Syria the extended-range Scud C and Scud D missiles, according to reports by Middle East Newsline.
 "The way it was supposed work was that the train car full of missiles and components would have arrived at the port and some would have been shipped to Syria while others would have been transported by air," an official said.

 この話によれば、北朝鮮の竜川駅爆破は、北朝鮮からシリアに送るミサイル関連の物資が爆破したもので、このため、同行していたシリア人技術者が十数名も爆死したそうだ。
 しかし、この話自体は、日本人には、それほど驚くべきことでもない。というのは、ここで触れられている"a Japanese daily newspaper"は産経新聞であり、この話自体は日本国内ではすでに報道済みだからだ。該当記事は、産経のサイトからはすでに削除になっている。気になるのは、なぜかその北朝鮮特集のページからも削除されていることだ。しばらくはGoogleのキャッシュで「北の列車爆発 シリア人技術者乗車 直後に残存物防護服で回収軍事物資を輸送中?」(参照)は読める。

 先月二十二日に北朝鮮の北西部、竜川(リヨンチヨン)で起きた列車爆発事故で、シリア人技術者らが死傷し、大きな機器とともに乗り込んでいた一画の被害が特に大きかったことがわかった。朝鮮半島情勢に詳しい軍事筋が六日、明らかにした。同筋はこの機器の中身は不明としながらも、事故直後には防護服を着た北朝鮮の軍関係者が現場に到着、一団の乗っていた車両の残存物だけを回収したとしている。このため、北朝鮮とシリアの間で極秘裏に軍事物資の輸送途中の事故だった可能性が高いとの見方を強めている。
 同筋によると、列車に乗り込んでいたのは、シリアの科学調査研究センター(CERS)という機関から派遣された技術者ら。CERSは科学技術振興のために設置されたが、シリアの大量破壊兵器開発計画のなかで重要な役割を果たしているとの疑いも持たれている。

 15日付けのNorth Korea Zoneでは、この産経系のニュースを一週間遅れて紹介したにとどめたのだが、18日のWorldTribune.comの記事では、ご覧のとおりさらに踏み出して、書いている。
 問題は、WorldTribune.comの記事は産経系のニュースを又聞きした伝言ゲームの情報なのか、ということだが、"U.S. officials confirmed a report in a Japanese daily newspaper "ということから、別ソースからの確認のようだ。つまり、米国側からだと言える。ミサイルと明確に書いたのも米側の情報なのだろう。また、化学兵器の搭載はなかったとも指摘している。
 それでも、初報は産経新聞であることには違いないので、このあたりの産経系の情報収集が気になる。
 WorldTribune.comの情報が確かなら、竜川駅爆破の原因として言われてきた「硝酸アンモニウム肥料を積載した列車と石油タンク車を入れ替える作業中に不注意で電線に接触したのが原因」という説は疑わしい。というか、この説は、専門家から被害規模から推定して無理があることは指摘されてはいた。また、金正日暗殺説もとりあえず却下されることにもなる。
 関連して、当然の連想だが、先日の米国によるシリア制裁も、北朝鮮関連という線も浮かんでくる。が、この点についての情報はない。
 以上の話は、ガセなのか?
 North Korea Zoneでは、気の利いた皮肉も書いている。

NKzone wonders where the mainstream media is on this story. Too busy fighting over who gets on the charter plane with Koizumi to Pyongyang?? Or is the Ryongchon explosion story too "old" to revisit at this point?

 確かになぜこの問題は注目されないのだろう? しかも、反面で、小泉再訪朝でメディアは浮きたっている。
 米国支持のように取られるかもしれないが、シリア関与が確実なら、イラク問題と北朝鮮問題は、直結してしまうのに、日本は自衛隊だけがイラク問題であるかのような風潮でいいのだろうか。
 余談めくが、今日の韓国各紙が米軍の縮退に強い危機感を表したことも関連して触れておきたい。朝鮮日報「これが韓米同盟の質的変化なのか」(参照)がなかでも鋭い指摘をしていた。

 在韓米軍1個旅団4000人余の撤退は兵力の数だけを持って対北抑止力に及ぼす影響を論じる問題ではない。在韓米軍の実質的戦力は兵力規模に劣らずその情報力と火力に土台を置いていおり、韓国軍の対米情報依存度は映像情報98%、信号情報90%に達する。とりわけ在韓米軍の存在はそのことが米国本土の絶大な情報力及び火力とつながっているという点で威力的なものであり、そのつながりの密接さは韓米同盟の質がどれだけ高度化しているかにかかっている。

 現在の軍事とは、いいことか悪いことかわからないが、ITを駆使した情報戦でもある。その点で韓国が抜け落ちる危険性がある。もしかすると、これは米国による韓国への制裁なのではないかとも勘ぐりたくなる。が、常識的に見るなら、すでに北朝鮮の脅威は地上勢力としては問題ないということなのだろう(直接米軍人を半島の前線に置くこと避けたのかもしれないのだが)。
 北朝鮮から日本へのミサイルの脅威は、依然変わらないどころか、竜川駅爆破は不気味な暗示なのかもしれない。日本海にはイージス艦が出ずっぱりになる。「日本海にイージス艦 米、9月から常駐配備」(参照)をひく。

 【ワシントン22日共同】米国防総省は、ミサイル防衛の一環として、9月に高性能レーダーを備えたイージス艦1隻を日本海に常駐配備する方針を決定した。イングランド海軍長官が22日の講演で明らかにした。海上配備型の迎撃システムで、具体的な配備先が公表されたのは初めて。

 危機感を高めたいわけではないが、北朝鮮という国はそういう国なのだ。拉致問題解決は日本人の悲願であり、核兵器開発抑制は国際的な世論だが、その隙間に、ミサイルの脅威は依然残る。「北のミサイル開発情報相次ぐ 米韓が監視態勢」(参照)をひく。

北朝鮮が今年三月以降、長距離弾道ミサイルのエンジン燃焼テストを準備しており、米韓両国はこのエンジンが米本土の一部に届く射程六千キロの「テポドン2号」に搭載されるとみて監視態勢を取っていることがわかった。韓国紙、中央日報(六日付)が外交消息筋の話として伝えたもので、在ソウルの外交筋も産経新聞にこの事実を認めた。

 あるいは、こうした危機の構図をあえて米国が描かせているのかもしれない。だが、全体の構図に日本人が無知であっていいわけはないだろう。

追記(04.05.26)
 朝鮮日報に24日重要なニュースが掲載されていた。事件を暗殺未遂とする見る新しい証言だ。「North Korean Security Believes Ryongchon Explosion an Assassination Attempt 」(参照)。


According to a source, North Korea's State Safety & Security Agency concluded that the massive explosion that occurred in the North Korean city of Ryongchon on April 22 had been conspired by anti-North Korean government forces to harm North Korean leader Kim Jong-il.
 A North Korean official who was recently on his business trip to China said, “The North Korean National Security Agency has investigated the incident since it took place and concluded that rebellious forces had plotted the explosions targeting the exclusive train of Kim Jong-il. The security agency, in particular, gained evidence that cell phones had been used in triggering the explosion and reported to the North Korean leader that the use of cell phones should be banned for the sake of the leader’s safety, the official said.

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コメント

お話には直接関係ないことで申し訳ないのですが..ちょっとだけ

ふと思ったんですが、
たとえば金主席暗殺に成功したとして、それで北朝鮮って変わったりするでしょうか?

(けっこうすぐ替えが出てきたりするんですかね?)


でも、暗殺はムリか。。(流石に)

投稿: m_um_u | 2004.05.19 20:36

m_um_uさん、ども。個人的には変わるように思いますね。ある意味で彼は権力について天才です。そして、実際、彼は怯えて生きているようだし。

ただ、今回のブログの記事を書いていて思ったのだけど、こうした北朝鮮の国策が彼一人でできるわけもないので、一体、裏はどうなっているのか謎です。陰謀論的な推測はいくらでもできるのですが…。

投稿: finalvent | 2004.05.19 21:02

本業では無いのですが、仕事で宇宙開発技術に関わった経験から言うと、マスコミ等の北朝鮮のミサイル脅威論はちょっと過大評価しすぎかなと言う気がします。
ちょっと詳しくコメントすれば、ミサイルも含めた軍事技術は最近では情報化・電子化の技術が勝敗を分ける鍵になっていますが、北朝鮮はこの部分がとても弱いからです。(要は撃っても当たりはしない)

投稿: エフ | 2004.05.20 01:40

これは、事故なのか事件なのか、という所からおさらいしないとダメでしょうね。北朝は事故だと発表した時点で事件の可能性を表してしまったわけですが、じゃあ事件だったとして、何が目的だったかよりも、誰がそれを成し得るのかを考えた方が答えが早く出ません?

投稿: あんぽんたん | 2004.05.20 01:46

エフさん、ども。記事ではちょっとミサイルの脅威を煽ったふうになってしまったのですが、まさにエフさんがご指摘されるように、ミサイル技術はITそのものです。ここで手短に書くと誤解を招くかもしれないのですが、北朝鮮のミサイルの脅威とは、実は米国の脅威なのだと私は思うのです。米国は、本音では、半永久的にミサイルを作っていて欲しいのです。そしてそのために日本のIT技術とその生産力を統制したいわけです。やっかいな問題です。

投稿: finalvent | 2004.05.20 09:26

あんぽんたんさん、ども。ご質問の先はなんとなくわかります。解の可能性は多分、2つでしょう。ただ、それ以前に、NKZが皮肉ったように、この問題がまさにまだ問題だということが気になります。煽りたい意図はまるでないのですが。

投稿: finalvent | 2004.05.20 09:28

No.2がいるんでしょうな。

投稿: りっしんべん | 2004.05.21 14:41

「この怒り、北朝鮮へ届け」と題し、北朝鮮問題に関するブログをアップしました。ご一読賜れば幸いです。

投稿: 原田義昭 | 2009.04.15 20:52

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