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2004.05.11

47氏が見たラジカルな世界

 話は、昨日のテーマ「Winny開発者逮捕は時代錯誤」(参照)の続きのようだが、私自身の思いとしてはそうでもない。率直なところを言えば、47氏が、「逮捕はしかたがないでしょう」と確信していることに、少し衝撃を受けた。
 「少し衝撃を受けた」というのは矛盾した言い方だ。率直に「衝撃を受けた」と言うべきなのだろうが、「少し」の部分に少なからぬ思いがある。私なりにある程度背景的な知識をもっていたからまったく新しい事態ではないということもあるが、問題の深みに自分が鈍感すぎたことへの悔やみがある。
 大げさな表現になるが、47氏の逮捕によって表明された「逮捕はしかたがないでしょう」というのは、現在の日本社会への本質的な、もっともラディカルな批判なのではないか。それに比べれば、ま、比べなくても、私の考えなど、ぬるすぎ、だ。「少し衝撃を受けた」というのは、ぬるい私だから、少ししか衝撃が感じられなかったということだ。
 たるい言辞を弄せず、現状思うことを書きとどめておきたい。自分の考えがよくまとまっていないのだが、これほどまでに、思想的な挑戦を受けたのは久しぶりに思える。
 47氏の言動は、明白なラジカリズムなのだ。これは、現代において、アナクロニズムでもなく、カリカチャライズされなくても、ラジカリズムが可能であることを明白に示している。このラジカリズムによって日本国家の限界がくっきりと対象化されてしまった。
 拙い言い方だが、自由に生きたいという根源的な欲望に対して、日本の国家は今回の京都府警のように抑圧者として立ち現れてきた。「著作権違反は悪い、だから、むしろ権力で取り締まるのことが自由を保障する」とは言える。だが、昨日からゲロっとWinnyの利用者が減った状況に、俺のキンタマ縮こまってんじゃん、と率直に思わないわけにはいかない。それどころか、「おや? おれのキンタマどこ?」的恐怖を意識の対象とせざるを得なくなった(Winnyウイルスのことじゃないが)。問題はだから、Winnyをがんがんやれ、ということではない。こういうキンタマ縮こまりが意識のなかで対象化し、それが国家の相貌を持っているということだ。その相貌に私の自由への欲望は、むかつく。
 そのむかつく状況への裏付け説明というわけではないのだが、デジタルコンテンツに対する著作権というものが国家的な恐怖の相貌を持つことは、技術の理想論から言えば、テッテ的に間違っている。
 昨日NHKの報道番組を見ていたらWinny問題と著作権についてどっかの弁護士がぬぼっと出てきて「デジタルコンテンツを守る技術が必要です」みたいな阿呆なことを言って脱力したのだが、デジタルコンテンツの著作権を守る技術、というのは、レトリックに過ぎない。このあたり少し粗雑な議論になるのだが、「著作権」を変更しなければいけないのだ。
 もちろん、そうした著作権を考え直すという思索は試みられている。例えば、スタンフォード学ローレンス・レッシグが提唱するクリエイティブ・コモンズライセンスなどだ。あるいは、ストールマンのコピーレフトとなどもそうだろう。ま、フツーの学者さんなどは、そのあたりをしれっとまとめて偉そうに言えばいいのだろうが、はて、と、考えると、それは依然、オリジネーターという個人と国家的な権力を結合する(マーケットメカニズムではない)という意味で、根本的な錯誤を含んでいないか?
 47氏は、おそらく、Winnyを作り上げてから、そこに気が付いたのだと思う。そこというのは、デジタルコンテンツの持つの本質、というか、その真理についてだ。そして、真理が見えてしまった以上、現状、つまり国家と癒着した著作権のマーケットは虚偽にしか見えなくなったのだろう。
 すでにネット上では消えているが、47氏は「Winnyの将来展望について(2003/10/10)」(参照)には次のように、思索の過程を残している。


1.はじめに
 ここのところバージョンアップ無しですいません。いろいろ首突っ込んでいるので忙しいのと、ここのところ疲れ気味なのと、別に考えているのがあるのと、現状のWinnyであまりやりたいネタが無いということでWinnyの方は放置になってます。

 まず、言えることは、47氏は現状のWinny自体にはそれほど関心を持っているわけでもないということだ。問題は次だ。

4. コンテンツ提供者側の集金問題
 話変わりますが、最近私の方ではコンテンツ流通側とは逆側のコンテンツ提供者側に関するシステムについて考えてることが多いです(コンテンツ提供者向けのシステムであって、よくあるようなコンテンツの保護技術に興味があるわけではないので注意)
 そもそも私がファイル共有ソフトに興味を持ったのは、当時ファイル共有ソフト使用ユーザーから逮捕者が出たということ(これは明らかに変だと思った)というのもありましたが、どうやったらコンテンツ作成側にちゃんとお金が集まるのか?ということに、もともと興味があったからです。
 インターネットの一般への普及の結果、従来のパッケージベースのデジタルコンテンツビジネスモデルはすでに時代遅れであって、インターネットそのものを使用禁止にでもしない限りユーザー間の自由な情報のやりとりを保護する技術の方が最終的に勝利してしまうだろうと前々から思ってました。そしてFreenetを知って、もはやこの流れは止められないだろうと。

 これは当たり前のことを言っているのだ。これが当たり前ということは、恐ろしい意味を持つ。恐ろしいというのは、先に触れた国家との衝突だ。
 47氏の逮捕にあたって、私はこれは不当な逮捕であり、それがいかに不当かということにまず思いを巡らした。それが昨日の「Winny開発者逮捕は時代錯誤」だ。しかし、実は、そんなことはまるで本質的な問題ではないことを、47氏の確信犯的な言動から思い起こした。「話は変わりますが」とさらっと書いているので余談のように思い、ふんふん、そーだよねで、読み過ごしていたが、ここに問題の本質があった。
 「インターネットそのものを使用禁止にでもしない限り…」というのはなんと正確な歴史認識なのだろうか。なにもARPAの歴史からひもとくことはしないが、インターネットを以前私たちは「土管」と呼んでいた。なにを通すか? そんなことはご自由にということだ。それはコミュニケーションのための土管なのだ。しかも、本質的に超国家的な土管だ。その後、HTTPがインターネットのプロトコルの主流のような時代になぜかなった。そのHTTPのブラウザ表示のせいか、ブロードキャストのようにも理解されるようになったが、それはプロトコルの可変性というか、インターネットの本質のちょっとした現れに過ぎない。インターネットという土管はプロトコルの合意があれば、なんでもいいのであって、通じたいなら守ればいいというだけだ。国家的な支配のルールとは違う。守らなくてもいい、でも、それなら通じないかも、というだけだ。駄言が多くなったが、Freenetこそ、インターネットの本質を露わにする本命なのだ。
 47氏は明確に考えていたのだ。というか、これこそラジカリズムだ。

 まぁそう考えて2ちゃんの某スレで書いたは良いが、冷静に考えるとJavaで書かれているFreenetそれ自体はどうやっても実用的でなく、一般に広まらないだろうということで、衝動的に設計部分から煮詰めなおしてWinny作ってしまいましたが(私はJava信じない派)
 ここで私はこういうFreenet的なP2P技術が本質的にインターネットの世界では排除不可能と考えていますし、その事実が認知されていけば必ず自然に別のビジネスモデルが立ち上がってデジタルコンテンツ流通のパラダイムシフトが起こるだろうと考えていました。もしこの問題がクリアできなければインターネットそのものを学者などだけへの許可制にして一般では使用禁止にするしかないだろうとも。よってこれが将来インターネットでキーになる技術であろうと。

 Freenetこそ本質なら、それが歴史の地上に生み出してしまえというのは、哲学と実践のもっともまともな結合である。Freenetの意味がわからないなら、目の前に見せてやればいい、というわけだ。そして、私たちはそれを見たのだ。
 問題は、逮捕なんてことではない。それが「その事実が認知されていけば」という事実を認識したか、ということだ。私たちに思想的にきつい課題になったのは、それが事実なのに、事実として認識できないという、ぬるさなのだ。
 47氏が「逮捕はしかたないでしょ」としたのは、すでに彼の真理の知覚では、現状のほうが歴史の過去になっていたからだろう。それで、世間の処遇がどうなろうと、くだらないことでもあったのだろう。
 私は…とここで私を想起する。私は、47氏を賞賛しているのか? もちろん。心酔しているのか。そこは、むずかしい。
 私は、47氏はラジカリズムであると考える。私が47氏と、ある一線を引くとすれば、ラジカリズムということだ(才能不足は抜きとしてだが)。
 ちょっとたるい余談のような話になるが、日本の歴史は浄土教を徹底的に解明しないかぎり見えない(だが解明されていない)。特に、浄土教は多数のラジカリズムを生んだ。死=浄土という真理が知覚されたとき、ラジカリズムは「とく死なばや(さあ、死のうではないか)」という運動を生み出した。こうした日本史のラジカリズムは皮肉な形かもしれないが欣求浄土という形での安定体制を生み出したが、思想はむしろ、残された。浄土教の中心の親鸞は、「とく死なばや」を無化した。
 ラジカリズムには、独自の本質的な欠陥があることを私は思想的なものに関わってきたから防衛的に知っている。小賢しい言い方をすれば、破壊を先行させたとき、大衆はその破壊の線上にはついて来れない。それは、共産主義国家を批判したハイエクの思想などにしつこく描かれている。
 47氏についていえば、新しいFreenetの現実から、新しい著作権を歴史に強引に受胎させようとした。彼は、その先に「デジタル証券システム」(参照)という、著作権に変わる構想もあった。
 が、ラジカリズムらしいのは、その構想、つまり、希望の種を荒野に撒いたことだろう。新しい荒野が現実となっても、そこに種を撒くには、荒野を荒野と認識した上で開墾が必要になる。その機能はWinnyにはまだ組み込まれていなかった。
 地域通貨のような仕組みと、デジタル証券システムのような仕組みを、Winnyに追加する天才が出るとき、47氏は「無罪」となるのだろう。
 残念ながら、歴史は、47氏に続く天才を必要としているようにも見える。

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コメント

オウムの松本サリン事件からも、10年が経ってしまったのですねぇ。あれも日本的ラジカリズムの問題だったのかな。

投稿: あのにます | 2004.05.11 10:41

いちおこれ貼っときます↓

「winny_47_arrested 」
http://www.wikiroom.com/copyright/?winny_47_arrested

※スラドの反応↓
http://slashdot.jp/article.pl?sid=04/05/10/0017250&topic=74

※弁護士界の温度として↓(やはり、法的にも逮捕の理由としては難しい、という感じみたい..)
http://homepage3.nifty.com/machina/

投稿: m_um_u | 2004.05.11 11:02

オウムに関しては麻原氏が在日2世であることから
熱海の海底ケーブル切断、香川の鉄塔破壊工作(ボルト抜き)
と並んで北朝鮮による国家テロとの見方がありますね。

投稿: (anonymous) | 2004.05.11 11:04

なるほど>>(anonymous)
ということで、オウムの話は終わりにしましょう。

投稿: あのにます | 2004.05.11 11:23

トラバ間違えて別のエントリーに出してしまいました。
申し訳ありません。

投稿: おりた | 2004.05.11 11:37

非思想的な切り口でも、意外に結論(というか帰結)は類似した方向になる?
http://www2.diary.ne.jp/user/99485/

投稿: a watcher | 2004.05.11 15:30

実に深い考察に富んでいて、興味深いです…。
吉里吉里人とか思い出しました。

続く天才は現れるのか。
その未来の誕生はおそらく、今回のような
日本発ではない(日本人ではない)
ような気がします。
そして、それは超世界的に影響を及ぼすでしょうが、
日本は最もそれを防衛して、結果的に技術レベルを
下げて世界を落ちて行くのでしょうね…。

吉里吉里や希望の国のエクソダスのような試みが
できればいいのですが、それだけの才覚ある人間は
みな海外へ脱出し、勿論私も含めて、人間としての
存在がかなり下の方の人間ばかりが日本に
残っていく現状は絶望的ですね…。

企業の多国籍化は日本に残る意味を失わせますし、
100年くらいたったら、
この地は焦土になっているのではないでしょうか…

投稿: kagami | 2004.05.11 21:28

あの~、
「逮捕されても仕方がないでしょう」
という発言の前後が報道されてないので、何ともいえませんが、
以前家宅捜索されたときに、
「押収されたパソコンの中にWinnyで入手したアプリが入っている」
という発言があったので、
そちらの件で「逮捕されても仕方がない」のではないでしょうか。

投稿: (anonymous) | 2004.05.11 23:13

「そちらの件」のようなダメな所を含めてのラジカリズムと言うか、脇の甘さと言うか。思想的挑戦であり得ることには変わりないですよ。なんと言っても、ぶら下げたキンタマは最大の弱点ですからねぇ。

投稿: あのにます | 2004.05.11 23:19

見事な解釈です。
成程と頷いてしまいました。
47氏という人物がどう考えていたのであれ、
今伺ったのは、それを受け取る側に必要な思考のように思います。

日本は今後、
P2Pを否定する事によって成り立って行くのでしょうか……。
a watcher氏の意見が冷たく映えるような気がします。

投稿: hiru | 2004.05.11 23:22

47氏が「逮捕はしかたない」と言ったとき、どのような意味で言ったかが一つ問題となると私も思う。
私が思っているのは「現在の法制度の中では違法性があるから仕方ない」というものと、「日本という国家では、私のような思想はうけいられないだろう。私の考えをつぶすために私を逮捕する。あがらう術はないため仕方ない」というものにも捕らえることができる。
マスコミの表面的な報道を単に聞いているだけでは、前者どまりの考えに落ち着く(というかマスコミの報道はそんなのばっかりで、日本のマスコミの大半はやはりマス”ゴミ”である)。だが私は47氏の考えからすると、後者であるように思う。
うまく言葉がつなげられないので、結論から言ってしまうが47氏にとって、現行著作権法は「悪法」だったのではないだろうか?特に47氏でもなくても、現在の著作権法の「悪法」ぶりは多かれ少なかれ誰もが体験していると思う。CCCDや輸入権問題、自由な表現に関わってくる著作者人格権等、あげればきりがない。
「悪法も法なり」とある人はいう。しかしそれは法だからといって無条件で従わなければならないということを意味するのではない。「悪法」はやはり「悪法」なのであって、変えるべきものなのである。
winnyのような分散型ネットワークは、著作物を管理して利益をあげている者にとっては迷惑きわまりないものであった。しかし技術の進歩によってデジタルデータに変換できる著作物は配分として理想の形で配布できるようになった。すなわち「必要な人に必要な分だけ配布する」といったことである。生産完了されて入手不可になったり、中古で不当なプレミア価格で入手せざるを得ない状態から脱却できるのだ。
47氏が言っていることは「より完全なシステムが作られるとき、現行の不完全なシステムは後退するべき」という至極まっとうなことにすぎない。
ではどのような方法で変えるのか。残念ながら実力によってにしか変わらないと思う。これは歴史が示す経験則からである。例えば、現在の労働権は広く社会で認められていることであるが、当初は犯罪行為であった。既存の概念が転換されるとき、言論ではなく、行動により大きく社会が動くのである。
47氏は行動により新しいモデルを示した。我々がすべきことは、それに対して評価を与え、変更を加え、新システムが素晴らしいと考えるのなら、それに合う制度、システムをつくることであると思う。
でなければファイル共有を行う、例えるなら著作権に対するストライキを行っているような人は減りはしないだろう。(なぜなら各自が現状に不満をもっているからである。DVDがでない。限定で入手できない。DVDが高くて変えない。でもレンタルじゃなくてDivXで画質が悪くても所有したい。)

投稿: yukiusagi | 2004.05.11 23:23

>>kagamiさん

サイトを拝見しましたが、あなたのぶら下げているキンタマもたいしたものですよ。ここは「焦土」ではなく「浄土」を見ようじゃありませんか。

投稿: あのにます | 2004.05.11 23:33

アプリのコピーに終止符が打たれようとしています。
それがサーバーサイドアプリケーションの流れです。
アプリは端末に置かないほうが実は利用者にとってもメリットがあります。今は不便さが勝っていますが、リッチクライアントがその不便さを払拭するでしょう。
サーバーサイドデジタルコンテンツが主流になればコンテンツコピーの問題も過去の話になるでしょう。自宅に100の映画ライブラリーを持つよりも、全作品をいつでも見れるアカウントを持つほうが結局コストパフォーマンスは高いですからね。

投稿: kido | 2004.05.12 01:29

システム管理者に集中した高権限を業務上与える
私企業ならばメンテナンスやユーザー監視などの効率化に
おいてリッチクライアントは有効な手法ですが、
プライベートでコストパフォーマンスと引き換えに
プライバシーと自由を捨ててまで
リッチクライアントを採用する個人がどれだけ
いるかは疑問です…。
映画などの観賞型コンテンツにおいての多様化の
ビジネスモデルとしては仰る通りだと思います。

もしリッチクライアントしか使えない(許可されない)世界に
なるとまさにすばらしき新世界の誕生ですが(^^;
リッチクライアントの最大の特徴は中央による
一元化した監視と操作にあるのですから。

投稿: kagami | 2004.05.12 02:38

貼っときましょう
http://dempa.2ch.net/winny/ny.html

投稿: さいもん | 2004.05.12 10:52

次の天才を渇望している。天才は消費されるのだよ。

投稿: みそしる | 2004.05.12 11:40

リッチクライアントってアレでしょ?
ASPみたいなやつでしょ?

だったら、やっぱそれに一元化ってのもちょっと..
(たしかにそういう流れがあるのは認めるけど..どれほど有効かは判断しきれてません。個人的に)

ぼくはトランシーバーみたいに、自分で飛ばせるメディアも残しといて欲しいな..

投稿: m_um_u | 2004.05.12 12:27

個人的にはサーバーサイドのアプリは
自由が利かなくていやですねえ

投稿: (anonymous) | 2004.05.12 17:07

これが有罪となるのなら、日本でp2p技術の開発は出来なくなる。
47氏が残したアルゴリズムもここまで出来た成果も、あるいは著作権について考える大きなチャンスも全てドブに捨て、世界に大きく取り残されていくことになるだろう。
非常に残念だ。

投稿: (anonymous) | 2004.05.13 19:26

「それが事実なのに、事実として認識でないという」は「事実として認識できないという」のtypoでしょうか?

投稿: anonymous | 2004.05.15 00:15

ご指摘ありがとうございます。修正しました。内容にかかわることではないので、修正タグは付けていません。

投稿: finalvent | 2004.05.15 07:00

Winnyの開発者がシステムの崩壊まで企図していたという指摘は賛成です。こうした論点が、一般マスコミではほとんど出てきていませんね。私の考えでも、この事件は一種のテロリズムであって、法廷で犯罪性を争うことは、少なくとも逮捕されたWinnyの開発者にとっては、あまり意味が無いことだと想像できます。「法律を犯しているのは百も承知だ。革命を起こそうとしたのだから・・・」と彼は考えているのではないでしょうか。

ただ、47氏が夢想した世界は、著作権という考え方そのもを無化してしまい、全ての知的資産を全人類が共有するという、ある面、共産主義的なユートピア幻想に近いものに思え、危うさを感じます。

いずれにしても、今後の展開を注視していきたいですね。

投稿: katoler | 2004.05.16 22:44

未来はkidoさんのおっしゃるサーバサイドシアプリとサーバサイドコンテンツの時代かもしれないですね。

法律の力を借りなくても消費者にコピーを「自主的」に控えていただけるもう一つの方法?は、

買い手の個人情報を商品(作品)に埋め込んでしまうこと。これにより文字通り私的なコピーはいくらでもできますが、よそに流したりはしたく無くなるでしょう。色紙に自分の名前を入れてもらった、芸能人の手書きのサイン入りみたいなものですね。

投稿: (anonymous) | 2004.05.19 00:50

科学史的に見れば47氏の遺した業績はとてつもなく大きいと言わざるをえない。というのも西欧文明は他文明を破壊したが、その文明の先駆者である科学者達には何の罪もないわけで、むしろ後世の文明に巨大な利益をもたらした。同じことで信長は宗教勢力を虐殺したがそれによって江戸300年の平和が訪れた。一時代の過渡期には何かしらの変革が起こるもので、その時々の単純な出来事だけを見ていては何も理解できない。「彼は著作権制度を破壊して多くの人に損害を与えた」と言う人がいる。これは間違いで彼らは古い価値観に縛られているに過ぎない。社会は変わっていくのに時代の流れが見えていない人。特に日本のエリートに多いが彼らは条件反射クイズにはめっぽう強い。彼ら受験エリートは「今までの」学問を暗記することは得意であるが、新しく何かを産みだすことができない。科挙が科学を産まなかったことは日本人に対しての警鐘でもある。

投稿: | 2015.04.15 03:53

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