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2004.03.05

韓国のクレジットカード破綻と日本の内需

 今朝も新聞社説からはネタはない。余談だが、ちょっと期待して「フジサンケイ ビジネスアイ(Fuji Sankei Bussines i)」を買ってみたが、全然ダメだった。
 気になる話題といえば、日本版ニューズウィークの今週の記事「韓国 国を挙げてのカード破産 借金と浪費を奨励する奇策で破産者急増の異常事態に」がある。この関連で雑談を少し書く。
 話は、標題どおり、韓国でクレジットカード破産が増えているということ。もっとも、銀行経営側から見れば別に目新しい話ではない。例えば「韓国市中銀行主要19行の昨年純益」(参照)やLGカードについては「LGカード一時経営危機に」(参照)など。
 背景は前述のニューズウィークの記事がわかりやすい。


 通貨危機がピークを迎えた97年12月のわずか数ヶ月後、韓国政府はクレジットカードを使ったローンの貸し出し上限を撤廃。カードによる支払いの一部を所得控除の対象とし、後はカード保有者向けの宝くじも導入した。
 韓国人はこれらの奨励策に飛びついた。カード利用額は急増し、99年、00年は経済も高成長を達成。だがそれは、借金の返済期限が来る前の話だ。

 同記事によれば多重債務者が100万人。返済の三ヶ月遅滞者は400万人。現役世代の約15%がカード破産状態だと言う。
 こういう話を聞けば当然思うことはいろいろあるし、つい「韓国人は…」という国民性についても床屋談義もしたくなる。が、してもオチも見えていてつまらないので、省略する。
 国家経済的に見るなら、韓国では、通貨危機時の不良債権処理が1400億ドルだったが、今回の個人負債は約300億ドル、ということなので、たいした問題ではないと言えないこともない。だが、実際問題としてこれだけの数の個人の債務を国家がそのまま棒引きにできるわけもないだろう。経済問題を越えて社会問題として深い病根となるに違いない。
 日本もクレジットカード破産が問題になるが、「個人の自己破産、最悪 年間22万件超す/2003年」(読売新聞04.01.26)によればこうだ。

 個人の自己破産申し立てのうち、消費者金融からの借り入れやクレジットカードの使いすぎなど貸金業者の利用が主な原因だったケースは、初めて二十万件の大台を突破して二十万千八百二十八件(91・4%)に達し、申立件数を押し上げている背景に、多重債務者の広がりがうかがえる。

 数値の意味合いが違うので直接的な比較はできないが、日本とはかなり異なる状況がありそうだ。
 韓国のような状況は同じく、経済危機に陥ったタイにも見られたようだ(読売新聞2002.05.09)

 行きすぎたクレジットカード利用による“カード破産”が新たな金融危機を引き起こす可能性がある――。タイ国家経済社会開発委員会は17日、第1四半期の国内総生産(GDP)が内需拡大などによって昨年同期比3・9%増と、当初予測を上回る伸びを示したと発表したが、同時に、金融機関に対し、内需拡大をもたらす一因となったカードの利用が過剰傾向にあるとして注意を喚起した。18日付ネーションが報じた。

 ある種のパターンがあるのだろうと思う。と同時に、現在のマクロ経済学の処方というのはそういうものなのかもしれないとも思う。
 日本も「流動性の罠」とやらでか、需要が落ち込んでいるとされているようだが、手っ取り早い需要喚起はクレジットカードなのだろうか。しかし、生活者の実感はない。
 重要という文脈で新三種の神器といったデジタル小物がタメで語られることもあるが、技術の基盤としては重要かもしれないものの、そのままの製品として見れば市場規模が小さい。やはり目立った需要というなら、やはり自動車や不動産などになるのだろう。
 特に不動産について、日本でどのような需要が見込まれるうるのだろうか、と考えてよくわからない。長期的には人口縮退を起こしているので需要は減少するはずだ。個人家のリフォームも進んでいるようには見えない。地方と都市部の落差は広がる。
 つらつら書くに、日本の内需を喚起するイメージが湧かない。
 話がそれるが、日本では若い人の就職が大きな問題になっているが、それはそれとして、特に高校生のフリーター率が高いとも言われるのだが、気になるのは、現状、大学入学など、親に金銭の余裕があれば、誰でも可能だ。なのに入らないのは、実際には、学力の問題や勉強嫌いということではなく(日本の大学生は今も昔もそれほど勉強していないように見える)、単に親の金銭的な余力だろう。そう考えると、若い人に、国家がまとまった金を貸すという制度でもあればいいように思う。
 とま、書いたものの、私のこうした考えは、考えの筋が違っているようにも思う。が、その根にあるのは、極東ブログで他の記事でも書いたように、日本の政府は民間部門より産業部門向けにそもそも出来ているので対応できない、という限界性だろう。
 もともとも、日本の政府は、民間部門の需要喚起には向かない政府なのだろう。

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「社会」カテゴリの記事

コメント

 カード破産の話を聞くたびに、宮部みゆき「火車」を思い起こします。あれは良いです。仕事上、コリアンな方と色いろ話をするのですが、「火車」はあちらの人の一種の教科書となっているようですね。
 しかし、海を隔てるとそうなってることには気づいてなかったようです。最初は信じてもらえませんでした…ハァ 
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投稿: Dain | 2004.03.05 21:19

私も日本語を教えに韓国で住んだことがあります。一年目に
滞在した時には、カードの話は殆ど聞かなかったのですが、
一旦帰国してからまた韓国へ行った時にそのことを知りました
韓国って私の昔のイメージでは日本以上に貯蓄指向が強くて
貧富の差も日本より少ない国かと思っていました。しかし実際
にソウルの下町などをみてみると日本ではとても考えられないような貧民街があります。それらは多分、建物の損傷度などを
みてもIMF危機以前よりあったものであり、IMF以前から既に
かなりの貧富の差があったことを伺い知りました。おそらく私が以前異なったイメージを抱いていたのはマスコミの情報のみを手がかりにしていたからだと思います。現に日本で放送されている韓国ドラマでは、韓国の貧民層のこととかって殆ど触れられておらずどちらかと言えば金持ちが多いですね。冬のソナタに関しては、不幸な話のようですが(私は観ていないのでよく分かりませんが)。

投稿: 古里安 | 2004.03.21 17:04

古里安さん、はじめまして。異国で暮らす経験は物の見方を変えますよね、って、私の場合、沖縄は異国とも言いづらいのですが。伝統社会における貧富の差というのは、互助の社会システムがあれば、それほど問題ではないと思うのですよ。そのあたりの社会システムの実態が韓国でどうなっているかというのは、ほんとに見えづらいなと思いますね。いろいろ教えてください。

投稿: finalvent | 2004.03.21 17:10

finalventさん、コメントありがとうございます。私が実際に下宿していた住居は、三階立ての一軒屋でした。そして二回に一人から二人住めるアパートのような部屋が二つあってその上にオーナーの住居がありました。どうも私が働いていた学院長が教会関係でコネのある人に住居を提供してもらっていたそうです。余り金持ちじゃない人たちは、現在では教会などを通じて相互援助し合っているみたいですね。また、そこの近所で小さなCDショップを販売しているオーナーがいて外国人でありながら私やオーストラリア人のルームメイト(英語講師)にとても親切にしてくれました。たまたまそこのおじさんが英語と日本語が少々話せたことが幸運でした。また、そのおじさんは結構近所の人がいろいろと困っていると助けてあげたりしていました。例えば、連休の日に水道が壊れた家があって水道屋がお休みだったのでそのおじさんが修理してあげたりしていました。

投稿: 古里安 | 2004.03.22 20:14

古里安さん、ども。こういう話は面白いです。絵が浮かびます。「連休」は多分、旧正月ではないでしょうか。各地で水道が凍ったという話をラジオ深夜便で聞きました。

投稿: finalvent | 2004.03.23 10:11

結局カードバブルが弾けたら第二のIMF危機になるということでしょうか。もしそうだとしたらまたIMFや日本が援助するということになるのでしょうか?どうやら話によるとアメリカはIMF時に投資した資本の撤退を行っているようです。そうなると結局最後は日本に頼るしかない、ということでしょうか。最近、日本の企業なども中国へ拠点を移しており韓国の存在は徐々に薄れつつあります。また、未だに工業製品などに
ついても日本の部品や工作機械、日本人のエンジニアに依存しているそうです。そのような体質の元経済が破綻したら大変なことになるでしょう。さらに追い討ちを掛けるのが政府やマスコミの姿勢です。明らかに反米・親北朝鮮路線を打ち出しています。金泳三前大統領は「このまま行けば赤化統一になる恐れがある」と言っていました。要するに北朝鮮が主導になって統一することを韓国の政府ならびに国民が容認してしまうという
事態です。仮に北朝鮮の現在の政権が倒れた場合、韓国がどう
動こうと考えているのかについても興味があります。単純思考で経済的なリスクなど考えず「同じ民族であり同胞である北朝鮮市民を救済する」という感情論だけで無理矢理北朝鮮を併合するような選択をするのであればそれは棒弱無人としか言いようがありません。

投稿: 古里安 | 2004.03.31 21:47

古里安さん、どもです。現状の韓国経済がIMF危機のようになるのかよくわからないのですが、ご存じかと思いますが、この間、韓国では、石油についての危機感からエネルギー節約を広めているようです。背景には原油価格が上がっていることがあるのですが、どうも日本ではピンときません(上がっているにもかかわらず)。この日韓差が気になりますね。あと北朝鮮関連ですと、日本海にイージス艦が配備されていて、表向きはMD(ミサイル防衛)なのですが、そのあたりも、はっきりとわかりません。ただ、なんとなく、日本人は韓国のこと忘れているという感じがしますね。

投稿: finalvent | 2004.04.01 13:22

 韓国のカード破産の実態がわかりましたかんしゃいたします

投稿: はいぱあ | 2005.05.07 08:19

>日本の政府は民間部門より産業部門向けにそもそも出来ているので対応できない、という限界性だろう。
>もともとも、日本の政府は、民間部門の需要喚起には向かない政府なのだろう。

上記の意見に私も賛成します。それと、韓国のカード事情が良く分かりました。

投稿: phon_bb | 2009.01.28 09:00

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