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2004.03.17

軽水炉プルサーマル再開

 プルサーマル問題を扱うのはちょっと気が重い。理由は単純で、原発問題はイデオロギーに絡んでヒステリックな状況にもなりうる。しかも、率直に言うのだが、科学的な説明と称するものがどうも疑わしい。
 これは、インターネットの言論(んなものがあるか?)全体にも言えるのだが、「おめー、非科学的だからDQN(お馬鹿の類語)」というバッシングゲームがけっこう盛んだ。が、私の見る限り、どうもこの10年くらいの傾向に思うだが、その「科学」というもののイメージが変わってきている。教科書どおりの解説が正しいと思っている人が多いように見える。これは経済学などについても言えそうだ。
 だが、私は時代背景もあり、どっちかというと技術屋・実験型の人間でもあるせいか、推論や知識なんかより事実が全てだ。説明より現象を重視する。ちょっと言い過ぎに踏み出すが、科学というのは愚直な馬鹿がやったほうがいい。いわゆる理系というのと実際の科学というのは、かなり違う。
 原発についても、安全だ、安全ではないといった議論がある。安全という見解のほうが科学的に見える。しかし、世相に浮かび上がってくるのは、頓馬な失態ばかり。科学の応用というのは理論の科学とは違う。「はず」の誤差を埋めていく工学と、実際の会社経営のようなプロジェクト管理が必要になる。どうも、後者のほうに日本はガタが来ているのに、理論だけ「私はお利口さん」ゲームが進んでいるように見える。だから、DQNと言われようが、市民として見れば、原発は安全とはとうてい見えないと言おう。
 前置きみたいな話が長くなったが、さらに関連の話を加える。お利口さんゲームのもう一つの欠点は、総合的な視野がない。つまり、そもそもゲーム臭い知識なので、市民常識といった根っこや、他分野の知見がない。別のリングに上がると「負けそう」なので口をつぐむというか、奇妙な沈黙があるなと思う。こういう状況はやだなと思う。その意味で、極東ブログはお馬鹿の切り込みでもいいかとも思うわけだ。
 で、プルサーマルなのだが、いくらMOX燃料は核兵器転用の恐れは少ないと言っても、単純に考えれば、日本の潜在的な核装備にしか対外的には見えない。そして、それが可能なのは、米国がそれを是認しているからだ(飛行機産業などは事実上禁止されたまま)。それって電波か? いや、私はごく国際的な常識だと思う。
 新聞社説のレベルで言うと、今朝の産経に「プルサーマル 東電も信頼回復に努めよ」があった。時事としては西川一誠福井県知事が高浜町の軽水炉で実施するプルサーマル計画を認可したことがある。この背景も今ひとつわからないのだが、産経は当然プルサーマル推進派だが、核装備と見られることへの懸念を何も語らないことで、バレバレのポチ保守になっている。その点、昨日の読売新聞社説「プルサーマル 信頼回復こそ推進への本筋だ」も似たような話だが、この点が多少考慮されていた。普通そうだろう。
 エネルギーという表向きの議論では、日本ではウランが少ないとかいう理由でプルトニウム推進になっていた。しかし、この手の議論は阿呆臭いと私は考える。手頃な同意見というところで、毎日新聞系の解説「プルサーマルが本格始動 核燃料サイクル再検討を」(参照)を引く。


 核燃料サイクルの完成には多大な費用がかかる。MOX燃料もウラン燃料より割高だ。核燃料サイクル計画はメリットに乏しく、抜本的に再検討する時期に来ている。

 イデオロギーを抜きにエネルギー政策としてみても、軽水炉によるプルサーマルは無駄だとしか思えない。プルサーマルの場合、再処理が不可欠だが、これを対外的に依存せざるを得ない。なんでこんなことを日本はやっているのだろう。
 原発はおそらく今後世界的にある程度広まるだろうし、日本は安全な原発推進を世界に広めるべきとすら思うのだが、いずれにせよ、そういう傾向が進めば、ウランも石油と同じで市場で扱えるようになる。というか、そうするように世界を整備したほうがいい。また、日本のエネルギー政策は原発を優先にするというものでもあるまい。まずは天然ガスだろう。
 軽水炉という存在自体についても気になる。先の毎日の解説を引く。

日本の電力各社は英仏に使用済み燃料の再処理を委託しており、回収されたプルトニウムは昨年末で約24トンにのぼる。2010年には30トンに達する見込みだ。こうしたプルトニウムは高速増殖炉での使用が想定されていた。しかし、1995年の原型炉「もんじゅ」の事故で研究開発は中断された。このため、高速増殖炉実用化までのつなぎとして計画されたプルサーマルがプルトニウム消費の中心に格上げされた。

 単純に気になるのは、軽水炉ってプルサーマル用に開発されたものではなく、流用なのではないかという点だ。それってアリかよ、と。このあたりの解説は自分でもよくわからないので孫引きはしない。
 ついでなので、備忘の意味もかねてちょっと蛇足。大前研一がSAPIO(vol.62)"緊急特集・東海村臨界事故「ひた隠しにされた重大疑惑」"が以前から気になっている。それこそ電波臭い話になるのでここでは書かないのだが。

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