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2004.03.12

食用の鶏の話

 たいして意味もない雑談になるが、浅田農産船井農場の鶏処分のニュースをぼんやりと聞きながら、ずっとそこに飼われてた大量の鶏というのが気になってしかたがない。写真などを見るに、農場というより、工場に見える。もちろん、現代の鶏があのように飼われていることを知らないわけではないのだが、日ごろ意識しているわけでもないので、こう頻繁にニュースで取り上げられると、どうしても気になる。ニュースはできるだけ映像で見ないようにしている私だが、だからなのか、あの工場とそこに飼われて死んだ鶏のイメージがつきまとう。
 素朴な話、あんなふうに生き物をいじめるように育てて食うのか、という嘆息でもある。かわいそうに思うなら食わなきゃいいだろと言われそうだし、実際、私は一時期厳格に菜食に徹したこともあった。そのまま菜食でもよかったのだが、人生、乗り切らなければならない難事があって、食のことなどかまっていられなくなってしまい、そのまま菜食はやめた。逆に沖縄で暮らすにあたり、豚の内臓だの足だのをごちそうとして食うことにした。そして、今はそれほどは肉は食べないのだが、菜食に戻ろうとも思わない。
 そういえばと気になって、日本の鶏の抗生物質の投与の状況をざっとネットで眺めてみた。よくわからないが、日本では現状でも建前では、投与した抗生物質が鶏肉には残らないようにするという規制があるようだ。信じるしかないだろう。が、家禽や家畜には現状どれほど抗生物質や成長ホルモンなどが投与されているのだろうか。ま、ナーバスになるくらいなら、食べる量を減らすほうがましかもしれないのだが。
 鶏といえば、バリ島のウブドに十日ほどコテージを借りてぶらぶらしていたことを思い出す。夜にデンパサールに到着した。ウブドで水田の小道を借りたコテージまで行くと、蛍が舞ってきれいなものだった。星空は澄んでいた。コテージには小さなプールがあり、籐のベッドで寝る前に、夜空を見上げて少し泳いだ。朝、なんというのだろう、地の呻き渡るような怒号で目覚めた。なにが起きたのかと思った。ガラスのない窓を押し開け、南国風の森の向こうからその音は響き渡るのきいた。鶏の声なのだろう。何万羽という鶏が朝の声を上げているのだ。
 ウブドではよく鶏を見た。籠で蓋をされている。逃げないようにしているのかとヴァラニーに聞くと、もうすぐ食うから肉が固くならないように、運動させないようにするのだと言う。なるほどね。食ってみるか。

cover
Really Rosie
 旅の仲間の数名は米人ヴェジテリアンだったこともあり、ヴェジテリアンの食が多かったが、ときたま、ウブドの通りのロータスカフェとかで鶏肉の料理を食った。身が絞まってうまかった。いつも思う。日本を出ると鶏がうまい。鶏肉というのは、ほんとうにごちそうなのだ。仲間の一人に英国人がいて、風邪をひき、チキンスープが飲みたいとか言っていた。薬飲まないなら、勝手にしろよと思ったが、彼女にとってみれば、チキンスープこそ風邪薬でもあるのだろう。そういえば、モーリス・センダック(Maurice Sendak)の絵本に"Chicken Soup With Rice"があったっけな。Really Rosieの歌も歌ってしまいそうだ。キャル・キングの話にずっこけそうなので話を戻そう。
 米国でもチキンはホールで売っているものだし、中華圏に行けばホールで吊してある。首を切り、羽をむしるなど、カボチャを切るがごときだ。情け容赦もないようだが、あれでも、人と鶏の関わりかたなのだろう。と、ここで、日本の養鶏場がひどいものだと言う気はない。むしろ、ああいうアジア的な鶏の関わりかたので、ベトナム人に鶏インフルエンザの死者が出たのだ。
 こういう鳥インフルエンザはけして現代の病気とも言えないのだろう。歴史のなかでなんども繰り返していたには違いない。ただ、これほど大量の鶏を食う文明でもなかっただろうなとは思う。
 文明に罪があるとも思わないし、鳥インフルエンザが罰だとも思わない。ただ、ある種、恐怖と生命への畏敬感のようなものがどう心のなかで落ち着くのだろうという奇妙な感じがする。楳図かずお「14歳」に出てきたチキン・ジョージをふと思い出す。彼に会えるなら、人類とはなんだろうねと、もう一度訊いてみたい気がする。

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コメント

はじめまして!
宮崎妻地鶏大好きです。
炭火ならではの香ばしさがたまりません。
歯ごたえ、そして塩味の効いたこの味わい。お酒との相性が抜群です。
ここでも注文できるし、他にEMO牛や地豚もありますよ♪
http://jidori.oudou.jp/

投稿: 地鶏娘 | 2009.01.06 19:07

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