« 地方は「行政」で階級化されている? | トップページ | 設計ミスっていうのは抜本的にだめぽ »

2004.03.09

多分、大丈夫だよ、毎日新聞経済担当さん

 毎日新聞社説「押し下げ介入 こんなむちゃは許されない」が面白かった。まったく、面白いという意味で面白い。わっはっはである。罵倒しているわけではない。単に面白いのだ。話は、財務省・日銀がさらなる円売り・ドル買い介入を行っていることへの批判だ。
 最初に私の意見を言うと、これはそれなりに批判してもいいことではあるのだろうとは思う。が、すでに収束局面であり、日本という最大ヘッジファンドにしてみれば、残務処理に近いものではないか。その意味で、財務省・日銀もグリーンスパン(つまり米国)にもストップ(もうよせ)を言い渡されているのに、非不胎化介入というリフレ策をさらに進めるというものであるまい。もっとも、昨日の日経社説が提言するように、もう一歩国内的なリフレ策はあってもいいとは思うが。
 この問題について、しいて言うと、私は日本の米国債買い込みには政治的な意味合いもあるとも思うので、もう少し続くかもしれないとも思う。また、中国絡みもあり、米国も本気でストップ信号を出すのは意外に先かもしれないとも思う。8日スノー米財務長官発言でもまだ日本を名指しで批判はしていない。このあたりの米国の意向が大統領選絡みだとちょっと鬱になりそうだが。余談だが、ケリーっていうのは健康は大丈夫なのか?
 ぷっと吹くのは次のようなくだりだ。


 為替介入はもともと、補助的、限定的な手段でしかない。ドルと他通貨の相場を固定する固定相場制が終わった後の変動相場制度下では、乱高下をならす円滑化介入が典型である。急落時や急騰時にも、相場を持ちこたえる介入があり得る。この論理から言えば、円がドルに対してじり高となった昨年来は、小口での介入はありえても、年間20兆円もの介入は荒唐無稽(こうとうむけい)としかいいようがない。

 グリーンスパン発言にほっかむりしてまだこれを言うという態度がイケテル(死語)っていう感じか。また、また次の指摘は逆だろう。

 この考え方には重大な疑義がある。政府が円安方向に相場水準を動かすということは、円の価値を下げることであり、国民にとっては財産権の侵害である。また、円売り・ドル買い介入でドル売り安心感を与えた過程では、ドル資産の目減りをもたらし、同様に財産権を侵害してきた。米国や欧州の通貨当局が介入に慎重な姿勢を堅持しているのは、為替相場を政府や中央銀行が動かすことの怖さを認識しているからだろう。

 外貨準備ががぽーんと増えて政府はわっはっはじゃないの。と言ったものの、国民サイドに立てば毎日の言い分にも理があるか。というのも、日本国民は外貨預金とかいっても、実際に自分の資産を外貨で運営するっていうことはない。このあたり、日本内の階級化が進んでいるようでもある。が、そこまで金融面で遊べる個人っていうのは日本にはいなくて、未だに外貨運用も企業ベースか。山本一郎とかは多分例外。
 とま、聞きようによっては毎日へのクサシになってしまったが、次の提言は、この一連のどたばたを追いながら私も痛感したことではある。

 介入が財務省の聖域になっていることも問題である。財務省は外為資金特会の枠内で、随意に巨額の介入資金を短期証券発行で賄い、介入で得たドルを米国債に投資している。その規模が月間7兆円にも達しているのに、国会や国民の監視の目は届かない。

 まったく、国を傾ける危険のある決断が、まるで国会や国民から独立しているというのは、いったい日本っていう国はなんなのだと思う。とはいえ、実際上、国会コントロールというのは無理だし、まして国民にこんな問題が扱えるわけもない。さらに、諸外国においても、実質は同じだろう。毎日新聞もこのあと、結局、市場に任せよというのだから、この提言はそれほどマジでもない。
 ただ、国民のなかのある種の知識層の厚みがあれば、こうした問題の動向は変わるのではないか。率直に言って、財務省・日銀の動向は、日本という国の威信の舵取りには失敗したり成功したりするが、いずれにせよ、日本というのを産業部門として見ている。これがまだまだ続く。ウォルフレンが「日本の権力の謎」を出したとき、後書きだかで、成功した社会を批判することは難しいと言っていた。しかし、その後の日本の凋落と社会システムの腐敗は彼が結果的に予言した通りだった。日本の舵取りはまたこれで成功の局面に向かうかもしれない。が、依然、ウォルフレンの指摘するように、日本というシステムはその国民を幸福にしていない。するわけもない、産業部門のための政府なのだ。抜本的に間違っているよな感が疲労感のように襲う。
 ウォルフレンは直接中産階級の政治意識の向上に期待をかけた。それはある意味、地味に成功しているようでもある。先の衆院選挙でも都市部では民主党が実は勝利していることでもわかる。だが、それは都市部と田舎の亀裂、また、世代間の亀裂をも生み出している。

|

« 地方は「行政」で階級化されている? | トップページ | 設計ミスっていうのは抜本的にだめぽ »

「社会」カテゴリの記事

コメント

最近は介入をやっていませんが、財務省の外為資金特会は勝手なことをやっていましたね。「産業部門のための政府」との指摘、その通りと思います。TBさせていただきました。

投稿: かん | 2004.09.07 22:55

かん、さんども。トラバ読みました。納得することが多いです。外貨運用は難しいですね。

投稿: finalvent | 2004.09.08 06:07

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 多分、大丈夫だよ、毎日新聞経済担当さん:

» 外貨預金、外貨MMF、為替保証金取引 [国家破綻研究ページ]
最近は、理論やデータの話が多く、ブログでは実践から遠ざかっておりましたが、実はこつこつと外貨投資を行っておりました。その話をいたします。 ①外貨預金 ... [続きを読む]

受信: 2004.09.07 22:50

« 地方は「行政」で階級化されている? | トップページ | 設計ミスっていうのは抜本的にだめぽ »