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2004.03.06

書棚から

 書棚を見るとその人のことがわかるというが、自分の書棚は雑然としている。引っ越しの度に本を捨てるせいもある。沖縄から転居した際は500冊をブックオフに流した。100冊くらいは捨てた。いくつかは地元の図書館に寄贈した。それでも、書棚には本は収まらないので、大半はスチール棚に積み上げている。そんなに本なんか読まないのになぜ本が溜まるかと憂鬱になる。
bookshefl パソコンから手が届く書架を見ると、やはり雑然としている。この雑然さこそ私なのだ。自分では、雑然とした自分をそのまま受けとめているのだが、いざ考えなおすと、変な本が多いなとも思う。お笑いでちょっと紹介しよう。そうでもないと、紹介することのない本だろう。
 「現代紅茶用語辞典」は、アマゾンでは品切れになっている。絶版なのだろうか。内容は古い。最新のタイプの紅茶はここからはわからない。だが、逆にその古い記述が面白い。歴史を考える上にもいろいろなヒントがある。Robert Fortune(「幕末日本探訪記」の著者)といった項目も当然ある。紅茶好きと限らず、歴史好きにはたぶん楽しい一冊だろう。
 「楽しいなわ跳び」。著者が太田昌秀と聞くと、まさかと思う人がいるだろう。そのとおり、別人だ。よく見ると苗字も違う。私はけっこうなわとびの名人だった。この本は学校教材のようなのでそれほど面白くはない。
 「クレイジーチェス」。チェスの本としては初心者向けだが、いわゆる入門書ではない(入門用にもなる)。この本ほど、チェスを愛するという気持ちの溢れた本はないのではないか。ツウ向けならいろいろあるがこの本は珍しいタイプの本だと思う。私はチェスはど素人だが、将棋よりは好きだ。日本でもハリーポッターはよく売れたが、あのチェスのシーンの意味はチェスを知らないとわかりづらい面があると思う。どうだろう。中で紹介されている、モーフィー(Morphy,Paul Charles 1837)の棋譜は芸術だ。将棋の棋譜にも美はあるのだろう。が、このチェスの棋譜の美しさを知らない人生はつまらない、というくらい。棋譜自体はネットでも見つかるだろうが、著者ピノーの解説がよい。フィッシャー(Bobby Fischer)の話も少し出てくる。池澤夏樹は最近グロタン・ディエクを知ったというが、ボビー・フィッシャーはどうだろうか(日本で暮らしているとの噂もあり)。映画「ボビー・フィッシャーを探して(Searching for Bobby Fischer.1993)」は「ヒカルの碁」のネタのような気がする。
 「バランスのいい文字を書きたい!」。タイトルから、ありがちな内容を連想するに違いない。だが、これはちょっとすごい本だ。私は書道を長く学んだが全然ダメ。それでも、この本の価値はわかる。身体についての思想家ともいえるフェルデン・クライスは、たしか、真の教師を見つけるのは宝くじに当たるより難しいと言ったが、著者はそうしたマレな教師の一人のようだ。
 「料理上手のスパイスブック」。講談社だし少し古いので絶版かと思ったが、入手可能なようだ。内容は標題のとおり、基本スパイスの辞書的な解説本だ。が、内容が優れている。「料理上手」とあるが、むしろ文化的な背景などの説明もよい。
 「熱帯のくだもの」。アジア人としては、ここに掲載されている果物は知っておきたいものだと思う。私は本書のくだものは大半は食ったな。沖縄の自宅にはシュガーアップルがあったので、食い飽きるほど食った。熱帯のくだものの食べ方のコツは、食い飽きるほど食うこと!。ドリアンだって、そう。大きく、熟れた新鮮なのをその場でぱかんと割って食えば、そんなに臭くはない。
 「おいしい花」。標題とおり、食用の花についての話だ。この手の話題が好きな人にはたまらない一冊である。先の「熱帯のくだもの」と同じく著者は吉田よし子。実は、彼女の本は私は全て読んでいる。今日紹介するのは2つだけだが、どれも面白い。
 「カブトエビのすべて」。内容はカブトエビについてだ。なぜ?とか訊かないでほしい。日本で読めるカブトエビについての唯一の本と言っていい。内容も正確だ。アマゾンの読者評で星を3つしか付けてない愚かものがいるが、この本の価値がわからんなら読まんでよろし。本書を読みながら、地球とはなにか生命とはなにか考えるのだ。著者はこの一冊に人生をかけた信州人でもある。高校の先生でもあった。こういう先生に学べぶことができた若い人は幸せである。
 ま、この手の本の話はウケがよければまたいずれ。

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「書評」カテゴリの記事

コメント

はてなのおつもりだったのですか?
場所は違っても、心はハテナに殉ずる、みたいな。
それとも流行に敏感なのですか。
『論座』朝日新聞社 の巻頭グラビアは「本棚拝見」という
はてなと逆のコンセプト(有名人の本棚を写真に撮る)なのですが、なるほど、みたいな本がならんでいます。
(本棚を先に見てあてたことはないのですが。)

投稿: (anonymous) | 2004.03.06 23:51

慣例でanonymousとしました。できたら、ご記名ください。当初は、はてなの本棚ネタの話を文章の引きとしましたが、基本的に関係のない話なので、冒頭を削除しました。

投稿: finalvent | 2004.03.07 07:14

おはようございます m(_ _)m

それにしても・・
本ってやつはたまっていきますよねぇ..

うちも、近頃またひとつ新しい書棚を購入したのですが・・
徐々に侵食されていっています(笑)

ここで紹介されていた本はどれも面白そうだったのですが、特に「カブトエビ」のものに興味を持ちました。

なんか・・エビだのカニだのに変な興味がありまして..
それは東南アジアのエビ養殖とか、ロシアのタラバガニ密輸とかも絡むんですが..なんか..みょーに笑えてしまうところがあって興味を持っているんですが..

そういうわけで、上記の本は、エビ関連を自分なりにまとめるときの参考にしようかと思っています

あと、直接関係ないですが、
こんなの見つけたので置いていきます↓

イカ専門サイト「イカロード」
http://ika.s12.xrea.com/


投稿: m_um_u | 2004.03.07 07:43

m_um_uさん、ども。ああ、同好の感あって嬉しいですね。あいつら(エビカニ)なんなのでしょうね。イカサイトは笑えました。もうちょっと学術的な話も欲しいのですが。

投稿: finalvent | 2004.03.07 08:05

おはようございます。

なんか楽しそうですね。僕も本棚撮影してみようかな。整然と混乱している本棚ですが。

写真をじ~っと拝見していると、我が部屋においてある本棚に非常に似ているような気がします。

こんどどっかにアップしたら見てやってください。

投稿: らした | 2004.03.07 08:36

非脊椎動物の軟骨組織について調べたことがあるのですが、それらしい全く見つかりませんでした。そのカブトエビの本も含めて、何かご存じないですか(って聞いてばっかですね、すみません)。

投稿: a watcher | 2004.03.07 09:24

はじめまして。いつも楽しみに読んでいます。
ジャック・ピノー氏の「クレイジー・チェス」、いい本ですよね。浅川浩という編集者が、河出書房にいた時代に出した本で、おかげで河出からチェスの本が何冊も出ました。(若島正訳のナボコフのチェス小説なんてものまで、出たくらいですから・・)
この浅川氏、最近独立し、浅川書房という将棋本専門の出版社を始めました。また、チェスの本を出してもらえたらと、楽しみにしているところです。

投稿: 岡田@川崎追分町 | 2004.03.07 09:40

らしたさん、ども。ご覧のとおり、書棚、アレです、レールで動くヤツ。文庫本の整理とかいいですよ。通販生活で買いました。

投稿: finalvent | 2004.03.07 17:29

a watcherさん、ども。「非脊椎動物の軟骨組織」という点ではこの本はあまり益するところは少ないかと思います。あまりよい書籍は知りません。

カブトエビといった世界はけっこう世界に研究者はいるようで、その世界にずっぽりとすると面白いのでしょうが…少し方向は違うのでしょう。

こうした知見がなにか大きな意味をもたらすという可能性はあるかとは思います。ブログにも書いたのですが、いろいろ想像力を刺激(妄想?)というのはあります。

投稿: finalvent | 2004.03.07 17:32

岡田@川崎追分町、はじめまして。「クレイジーチェス」紹介したものの、あまりその良さはブログ的には通じないかもとも思っていたので、コメント、嬉しくなりました。チェスについてはまた記事を書いてみたいです。その浅川さんにも、がんばって欲しいです。チェスは、日本でも、ある種、おしゃれなブームになる可能性はあるのでしょうが、ブームになってもねぇ、みたいな気持ちもあります。学校で教えてもいいと思うのですが。

投稿: finalvent | 2004.03.07 17:35

暇に任せて、本棚撮影してみました。

http://www.eonet.ne.jp/~rashita/image/book/hondana.jpg

なんか似てると思いません?まあ似てたからって何かいいことがあるわけではないんですが。ちなみにこの本棚の入手先は不明。改めてみると小説ばっかりだ。

投稿: らした | 2004.03.07 17:59

らしたさん、ども。本、そろっている感じですよ。文庫は早川?

投稿: finalvent | 2004.03.07 19:22

そうですね。移動する部分のところにおいてあるのは、ロバート・B・パーカーの奴ですね。その後ろには「村上」両氏の小説がたんと並んでます。それ以外はほとんど異国人(へんないい方だな)の作品ばかりですね。

こうしてみると人の本棚を見るというのもなかなか楽しい作業ですね。

投稿: らした | 2004.03.08 07:42

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