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2004.03.25

郵政事業民営化について最近思う3つのこと

 毎日新聞社説「郵政事業改革 民営化後の姿見えてこない」を借りて、郵政事業民営化について最近思うことを少し書いてみたい。この問題の全貌を扱うことは難しいし、これまでの経緯をざっと眺めてみてもなんだかよくわからなくなってきている。ので、話題を3つ絞る。
 気になることは3点ある。1つは、小泉純一郎首相が郵政事業民営化について「道路公団を1とすれば100」というのだが、道路公団問題のおかげで、国民の関心自体に疲弊感はないだろうか、ということ。
 結局、道路公団って何?というのがわからない。猪瀬直樹などが奮闘したことはプラス面もあり、マイナス面もある。なかなか割り切れないのだが、いずれ猪瀬は問題のディテールをわからせようしたいのか結果として煙幕なのか、大衆には理解できない。が、この問題は大衆が理解できなくてはいけない問題なのだ。ジャーナリズムも機能しているようにも見えない。また、極東ブログでは阿呆臭いなというだけで、ある意味大規模な問題をはらんでいる石油公団には、あまり突っ込んでいない。率直のところ、こっちはゼロから仕切り直していいはずのだが、ジャーナリズムではあまり問題にもならない。当然、大衆は問題視すらしていない。ウンザリしているのだろう。こういうある種のウンザリ感が郵政事業民営化をきれいに覆っている。それ事体がやりきれない感じがする。
 2点目は、これが一番大きな問題だが、郵貯は残高233兆円って何よ?、ということだ。国債としては、郵貯・簡保が昨年末時点で合計135兆円の国債を保有している。これは国債の四分の一。毎日新聞も指摘しているが、財務省は民営化後も郵貯・簡保を安定的引受先と決め込んでいる。日本って資本主義国なのか。事実上の見えない国家予算を発生させてはいけないのではないか。というか、そこに歯止めをかけることと、それを可視にすることが、郵政事業民営化にとって一番の問題点ではないのか。そもそも、民間の財が巧妙に国家に吸い取られるような仕組みを変えるということが、郵政事業民営化の最大の目的ではないか。ということは、すでに各所でも言われているといえば言われている。でも、そこがはっきりして来なくなった。なんだよと叫びたい感じだ。
 3点目は、もっと孤立した関心かもしれない。私は気になってときおり調べるのだが、信書というもののの問題だ。用語しては特定信書便(参照)になる。この問題は宅配事業の規制緩和としてよく問題になるのだが、私の関心は、それほど、そこにはない。個別の問題意識で言えば、宅配事業が特定信書便に参入した際、それは本当に信書になるのか、ということだ。
 これは以前も書いて誤解されたのだが、憲法21条2項の通信の秘密についてだ。以前は、メールは信書かということで考察した。「電子メールは憲法で保護されているか」(参照)、「再考・電子メールは憲法で保護されているか、は変な議論か」(参照)、「さらに再び電子メールは憲法で保護されているか」(参照)。
 極東ブログなど辺境のブログは読者のリアクションをそれほど期待するものでもないが、この問題は、あまり関心を引かなかった。法の専門家と思われるかたが、ごく基本的な教条的な考察をしただけに見えた。いずれにせよ、メール内容は法的に秘匿対象にはなりそうにない、ということに私は結論づけた。この関連で、宅配事業が特定信書便に参入した際、どうなるのかも少し触れた。
 確か、今日から、ヤマト運輸がメール便サービスを個人向けに開始する。これは、特定信書便ではない。だが、実際の運用はそうもいかないだろう。
 ヤマト運輸がメール便は、それが個人で使えると非常に便利なので、以前検討したことがある。だが、事実上ダメだった。今回ようやく、個人向けに開放される。「ヤマトVS郵政公社…個人向けメール便参入」(参照)から。たぶん、ブログ購読者のかたにも有益なインフォだと思うので引用を多めにする。


 ヤマト運輸は24日にも、これまで主に企業向けに展開していた「メール便」サービスを個人向けに拡大することが分かった。低料金を武器に、日本郵政公社との全面対決に乗り出す。
 メール便は、A4サイズ程度の封筒で、パンフレットやカタログ、書籍などを家庭の郵便受けに投函(とうかん)するサービスで、個人を特定した書状など「信書」は扱えない。
 ヤマトの「クロネコメール便」は、重量1キログラムまでしか扱えないが、料金は50グラムまでが80円、300グラムまでが160円など、郵政公社の冊子小包(150グラムまでが180円)や定形外郵便物(50グラムまで120円)に比べて割安となっている。
 23日付の日本経済新聞によると、ヤマトは個人向けのメール便を全国約2600カ所の営業所で受け付ける方針で、将来的にはコンビニなどでの扱いも検討する。

 サービスとして便利だ。これでアマゾンの古本市場で文庫が買いやすくなるぞ、わーい、ということだが、問題は「信書」だ。記事に特記してあるように、メール便では信書は扱えない。で、もっとはっきりとその問題点を言えば、大衆はそんなことは理解しない。もちろん、ヤマトの店員は注意の説明をするし、大衆でも言われたことは理解する。しかし、絶対に私信をまぜる。まぜないわけがない。その分離は、あまりに不自然だからだ。
 そして、そうしてまぜた私信は信書の扱いを受けない。
 私は、メールのプライバシーについては、仕方がなければPGPでも使うしかないと思うし、メール便に忍ばせるメモ書きはプライバシー対象にはならないなと腹をくくる。が、それでいいのだろうか。常識的にこんなのおかしいよと思う。

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コメント

これ面白いですね
特にメールが「信書かどうか」ってやつ

えっと、間違ってるかもしれないんですが・・
信書ってのは私信ってことですか?

んで、それだったらプライバシーは守られるべき(憲法第21条などで)って感じでしょうか?

ぼくなんかはこういうのだとすぐにアレが思い浮かびますが・・

「彼・彼女のメールを見ただの見ないだの問題」
http://woman.nifty.com/love/judge/view/01_p/m_detail_04031165552.html

信書じゃないってことは、メールみたり公表しても罰せられないわけですよね?
(信頼関係は失われるかもしれないけど..(^^;))

あと、関連して思うのが
「メールなどの内容をネット(2ちゃんなど)に垂れ流す行為
」です

これは・・・・どうなんでしょうね?

やっぱ法律じゃなくて、道義的問題ってことでしょうか?

(っつーか、なんでも法律に頼ってるのもどうかと思いますが..)

投稿: m_um_u | 2004.03.25 15:47

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