山中貞則の死・イランのアザデガン油田開発
最初に、山中貞則の死に哀悼を捧げたい。極東ブログで憎み通した爺ぃだった。死なれてみると宿敵を失ったような喪失感を覚える。爺ぃ、骨のあるやつだったな。くそぉ俺が倒すまで死ぬなみたいな感じもする。敵ながらあっぱれというか、こういう敵がなくなることで、敵対する議論も腑抜ける。これで税制の動向が変わるかといえば、私は変わると思う。
さて、今朝の新聞各紙の話題で目立ったものは、イランのアザデガン油田開発だろう。朝日、毎日、日経が扱っていた。率直のところ、私はこの問題にピンとこない。理由は、開発の意義がまるでわからない。中東の油田開発に日本が参加してなんの意味があるのだろう。ナショナリズムが高揚すれば、国有化されるのがオチではないかとも思う。というわけで、この話はごく簡単に触れるだけにする。
まず、概要を日経新聞社説「問われるアザデガン油田開発の意義」から引く。
石油公団傘下の国際石油開発がイランのアザデガン油田開発に参加することでイラン側と合意し、契約に調印した。同油田は巨大な埋蔵量があるといわれ、日本企業が主導する油田開発ではアラビア石油以来の大型プロジェクトとなる。
しかし、私はその必要性がわからない。石油についての必要性がわからないという感じだ。このあたりは、毎日新聞社説「アザデガン油田 国際政治的な意味がある」に同意する。
他方で、日本のエネルギーの石油依存度は73年の石油危機当時の約8割から5割程度に下がっている。ここ20年ほどは石油への依存度は下げ止まっているが、今後は天然ガスなどエネルギーの多様化が再び進む見通しで、石油への依存度も低下するとみられる。
また、世界的な石油市場も供給過剰気味で、必要な量をスポットで調達できる状態になっている。その意味で石油は、かつての国家的戦略物資から通常の市況商品に変わっている。
よく石油の中東への依存度は88%と高いといわれるが、エネルギー全体としてみれば依存度が高いわけでもない。なにより、調達はマーケットを通せばいいだけのことだ。むしろ気になるのは、天然ガス、原子力発電、それと中国リスク(この人々の頭は古い)だろう。いずれにせよ、今回のアザデガン油田開発と結びつかない。ついでに言うのだが、日本は今後、そんなにエネルギーは必要としない。国は縮退するし、省エネ技術はさらに進む。
話を端折る。アザデガン油田開発については、すでに米国が警告を出しているが、日本は無視の構えだ。日本側としては過去の経緯もあるのだが、イランにどう関わっていく気なのか国レベルの指針が見えない。率直な印象でいうのだが、日本はあまりイランに関わらないほうがいいだろう。
さらに、率直に思うのだが、牛肉関連の動向といい、今回のアザデガン油田開発といい、どうもこれは単に「反米」なのではないか?
稚拙な愚論と笑い飛ばしていただいていいのだが、反米関連の例として米国牛肉に関していえば、これは端的に農水省の陰謀だろう。まさに陰謀と言っていいと思う。私も心情としては反米だし、牛肉問題については米国のダブルスタンダードにむかつくので農水省を追及する気にもならない。しかし、根に反米を感じるのは確かだ。アザデガン油田開発もそうした臭いのようなのを感じる。
イラク派兵問題など見ていると、米国追従にやりきれないような思いを感じるのだが、そうした思いが別のところで出口を求めているとしたら、それもなんだかなという感じがする。
追記(2.26)
アザデガン油田については、「アザデガン油田の話」(参照)が必読。
なお、国策としては、イランというより、サウジが重要なのかもしれない。それと、いわずと知れた中国である。なお、ロシアルートは日本側にまわりそうな気配だ。
追記(2.27)
2.27読売新聞社説「イラン油田 メジャーの離脱で不安が募る」がよく書けていた。ディテールな情報はないが、この問題に関心のある人は読んでおいていいと思う。
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コメント
山中さんは確か消費税導入の親玉でしたよね。
いまやアレはただしい税制ということになってしまった。
5%になったときには初導入3%の時にあくまで反対、
消費税なしにもどすといっていた共産党が5→3%にもどして消費税を引き下げると言い出したときには逆に山中説が正しいとの確信をえてしまいました。
いまや、国民のほうから10%当然説が沸き起こる?時代。
イスラム社会を理解できない「羊のプレゼント」方法で
もめるような日本がまたイラクで石油開発ですか?
イランで懲りてないのか。
投稿: (annoymous) | 2004.02.21 13:06
お名前がおちていたので、慣例にしました。後で修正もできます。山中翁ががんばったのも死にきれないという面もあったように思いますね。石油は、イランのほうです。
投稿: finalvent | 2004.02.21 13:42