いよいよ人民元、切り上げか
今朝の問題は人民元切り上げなのだが、扱っているのは、毎日新聞と産経新聞の社説であった。明日あたり、他社でも出てくるのか、すでに織り込み済みということでうやむやになるのか、わからない。ある意味で、現状ではそれほどの事件性があるわけでもないし、この問題に私がある視点を持っているわけでもない。ので、簡単な話で終わりにしたい。
まず、事態はこうだ。産経新聞社説「人民元切り上げ 適正幅で速やかに実行を」から2カ所を引く。
中国人民銀行の周小川総裁が為替相場の形成メカニズムを年内に改善すると表明したことで、人民元の切り上げがやっと具体化する見通しとなった。ただ、問題はその中身である。改めて競争力に見合った水準に速やかに切り上げるよう求めておきたい。
中身はこうだ。
こうしたことから、見直しは小幅にとどまるとの見方が支配的だ。事実上の米ドル連動である現行制度から、円やユーロなどの主要通貨も加重平均する「通貨バスケット」方式に移行し、その上で5%程度の変動幅を設けるとみられている。
産経としては、その程度でお茶を濁すなというのだが、この対応は妥当なところだろう。
毎日新聞社説「人民元改革 完全変動制へ一歩踏み出せ」も基本トーンは産経と同じだ。
中国は早期に為替制度改革の日程を立案すべきだ。まず、上下10%程度の幅を持った変動制に移行することが、現実的であろう。次に変動幅を拡大するとともに、資本取引でも投機的な短期取引を除き、自由化する必要がある。
しかし、これまでの中国のかたくなな態度を考えれば、変動制への移行はないだろう。
で、それで何が問題なのか? つまり、日本はどうなるの?である。読売の特集「『人民元』見直し 変動幅拡大など検討か」の細川美穂子みずほ総合研究所調査本部中国室研究員の談話がわかりやすいといえばわかりやすい。
人民元が切り上げられれば、輸出がけん引している中国の経済成長を減速させる可能性が高い。日本経済にとっても中国向け輸出が減少し、景気回復に向けた足取りに悪影響が出かねない。さらに市場介入で円高を食い止めている円に対しても上昇圧力が強まる懸念もある。(談)
そうなのか? 否定しているわけではない。中国の輸出は多少水をかけられることになるのは間違いない。中国が多少是正されることで風除けが減って円高傾向になるのか、そのあたりはわからない。なお、同記事内の中国銀行の問題も面白いといってはなんだが面白い。中国国有銀行の不良債権問題の表面化の可能性はお笑いではすまされない。といって日本人に笑う資格などないが。
私はこの問題についてインサイトを持たないのだが、なんとなく思うのは、そうでなくても、現状中国投資はやばいかもなぁという状態なので、これで外貨流入が減ると、奇妙な複雑系を介して、中国、とくに、政治指導部、さらに特に言えば、共産党の爺ぃたちの金づるががたぴし言うのではないか。SARSでは胡錦涛はうまく爺ぃたちを黙らせたが、鳥インフルエンザはまた隠蔽しているようだ。うまく立ち回れるのだろうか。
なお、日経新聞の人民元切り上げ問題(参照)は推移を知るのに便利だ。
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コメント
「10種類の外貨を加重平均した指数に人民元をペッグする」と自動的に5%切り上がるんでしょうかネw
ドル、円、ユーロ、香港ドル、ルピア、リンギ、シンガポールドル、ウォン、バーツ、台湾元だそうで。
でも結局「円」に引き摺られて、「大東亜共栄圏」できちゃったりして...
投稿: shibu | 2004.02.18 17:37
shibuさん、どもです。円が、それだけ力持てるでしょうか。なんか気弱ですが(って、人民元が暴落したりして)。
投稿: finalvent | 2004.02.18 17:50