ちょっと辻元に同情する
新聞各紙の今日のテーマは辻元判決と北朝鮮問題でまたぞろ田中外務審議官のスタンドプレーというところ。どうしてこうも社説っていうのは乗り気のしない話題なのだろうと思うが、そんなものだ。辻元判決については、執行猶予もついたのだし、これもそんなものだろう。が、朝日新聞社説「辻元判決――ひと騒ぎのあとで」がむごい。
断罪された「秘書の名義貸し」は、企業に秘書給与を払わせていた与党議員の多さとともに、あのかいわいでは半ば公然と語られていた。彼女の共犯が土井たか子氏のベテラン秘書だったことが、ぬかるみの濁りと深さを映し出していた。その後、暴力団関係者に秘書給与を払わせていた与党議員も明らかになった。
そんな世界だからこそ、辻元氏はもっと脇を固めるべきだった。自分が責め立てた相手のしたたかさを考えれば、あまりにも甘かった。
違うよ。そんなふうに辻元を責めるなよ、と思う。悪いのは、社民党だよ。彼女は社民党の生け贄になったのだ。むしろかわいそうだと声をかけてやれよと思う。が、そういう人情が通じないのがサヨクのいいところ。
ともあれ、この裁判が幕を閉じたあと注目すべきは、秘書給与をめぐる一連の事件がどう生かされるか、である。
これも違うな。社会党・社民党がどれほど腐った存在なのかをあばけと言いたいところだが、実はこんなもの叩いても意味はない。すでに、そこに巣くっていたサヨクは奇妙な、ぬるい分散を始めている。
この状態をなんといっていいのかわからない。「中道左寄り」かぁといういうようなぬるい話でもない。若い知性たちは、現実の問題に向き合いもしない、というか、奇妙な現実なる虚構で知性を消費し始めているが、それは自分らのエリート性の社会表出でしかないように見える。てめーらみんな下放してやると息巻きたいところだが、それも意味ない。なんだろね、この、ぬるい状況は。
田中外務審議官のスタンドプレーもなんだかなと思う。総じて言えば、そう非難されるほどでもなかろう、というか、意外に外交官の本領ということろかもしれない。
また朝日新聞社説になるが「日朝協議――ここは勝負どころだ」には、開いた口がふさがらない。
しかし「子供たちが日本に行きたいと言えば帰してもいい」という条件付きでは、日本側が望む全員帰国の保証にはならない。確かに子どもたちにも北朝鮮での生活があるだろうが、もし自由意思を尊重するというのなら、いったん全員を日本に帰し、しばらく親たちとともに生活したうえで最終的な意思を確認する道もある。
罵倒もしないよ。勝手にしろよ。でも、そんな意見は日本人に通じないよ。
他の話題として、毎日新聞が取り上げていた「大阪市三セク 調停で2次破たん防げますか」は興味深い論点だが、どう考えていいのか私にはわからない。三セクの問題は考えたくないと逃げ腰になる。もう一つの「刑法改正 安易な一律厳罰化は避けて」は作文としてはいいがピンとこない。冗談でいうのだが、日本もシンガポールみたいにむち打ち刑でもやったらいいのではないか。しかも公開で。でも、実際にやったら変態さんの犯罪が増えるか。
なんか冗談でお茶を濁す問題でもないのだが、萎えるなぁ。社会の問題が、水戸黄門シリーズを見ているマンネリ感があるからだろう。印籠は出てこないけど、新しいストーリーはないのだ。
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コメント
>若い知性たちは、現実の問題に向き合いもしない、というか、奇妙な現実なる虚構で知性を消費し始めているが・・・
こういう現状は確かに存在していると思います。
そして、それと同じくして現実がある種の虚構化しているような気もします。
現実がリアルさを失い、虚構が現実化してくる。これは特定の年齢を問わずに起こっている現象なんだと思います。
(私の目から見れば)どうでもいいようなことに時間とお金と頭をつかい、現実にある問題は他人事。
この現状を嘆かわしい、と言ってしまえばそれまでなんですが、こういう状態が続いてきたからこそ「日本」という社会が成立してきたのかもしれません。
投稿: らした | 2004.02.14 09:25
らしたさん、ども。そうですね。現実、というのも所詮語られたものかもしれません。そして、特定の世代の問題ではない、というのももう少し考えてみます。どうも、自分がオヤジ化してきて、下の世代に説教たれたいみたいですし。
投稿: finalvent | 2004.02.14 11:26
お気になさらず、どんどん説教たれてください(笑)
最近は自分に自信を持って説教する大人が減少してますので。
投稿: らした | 2004.02.14 15:01