« ニューカッスル病 | トップページ | G7、お楽しみはこれからかも »

2004.02.10

今日の日本人の誇りは日露戦争にある

 標題を「馬鹿野郎、毎日新聞」としようかと思った。やめた。ブログもあんまり粗野に物が言える雰囲気でもない。それに、そこまで直情的になるのもどうかとも思う。しかし、その思いはあるな。毎日新聞社説「日露関係 『開戦100年』から『下田150年』へ」についてだ。
 詳しく書かないといけないし、私が書いても、特に新しい指摘などない。私は右翼じゃないが、日本国民の常識として、こんな社説は許せないという思う。そのあたりを、簡単に書く。
 毎日の出だしを引く。


 日露戦争から100年になる。(1904年2月8日開戦、10日宣戦布告)。最初の戦闘で攻撃を受けた巡洋艦「ワリャーグ」は仁川港内で自沈し、砲艦「コレーツ」も自爆した。100年後、ロシア太平洋艦隊に所属する同名の「ワリャーグ」「コレーツ」を含む3隻の艦船が10日、韓国親善訪問として仁川に入港する予定だ。日露戦争に対するロシアのこだわりが伝わってくる。

 そりゃこだわるだろう。ロシアが負けたからだ。それだけのことだ。負け面して、さらに原潜解体の費用に賄賂を乗せてせびるのが現代のロシアだ。ふざけんな。
 次の文で私は切れたね。

 日露戦争は世界史的意義を持った。10年後の第一次世界大戦に先立つ総力戦の様相を帯びたほか、列強の植民地となっていた国々の民族独立志向を刺激した。帝政ロシアでは第1次革命の引き金となり、社会主義革命につながった。日本においては、軍事大国ロシアに勝利したという慢心がその後の韓国併合、日中戦争、太平洋戦争へと日本を引きずり込んだ。

 「民族独立志向を刺激した」じゃねーよ。そのおかげで、トルコで日本人は韓国人や中国人とは違うとして扱われる。そういう言い方もねーな、とは思うが、それは我々の祖先の誇りの利息を貰っているのだ。日露戦争に勝ったことは日本のためだけじゃない。
 たしかに「軍事大国ロシアに勝利したという慢心」はあったと思う。そして、それが日本の命運を迷わせたとも言えると思う。だが、「韓国併合、日中戦争、太平洋戦争へと日本を引きずり込んだ」と言われると違うぜ、と言いたい。そんな短絡的なものじゃない。日本が単独で慢心とやらをいましめれば、「韓国併合、日中戦争、太平洋戦争」はなかったか。歴史のIFは無意味だが、なかったかもしれない、が、別の気持ちの悪いものがあっただろう。そして、日本たるかけらもない陰惨な姿だ。現代の日本に少し似ているという皮肉は言いたくはないが。

日露関係を概観した場合、日露戦争だけでなく、その前も後も不信と警戒の時代が長く続いた。シベリア出兵、シベリア抑留も両国関係における負の歴史だ。

 これも酷いこと言うよな。シベリア抑留を「両国関係における負の歴史」にするのか。執筆者の親族にはシベリアで殺された者はいないのか。
 あまり引用を多くするのはなんだが、「日露戦争から100年後の日露関係は、領土問題を除いてはおおむね良好である。」というのは、そりゃ、日本が舐められてねーからだよ。日露戦争に勝ったからだ。
 ロシア=ソ連は、8月9日のぎりぎりまで日本を恐れていた。条約を守っていたわけではない。父祖の誇りが抑えていたのだ。
 と、書きながら、これじゃ、ウヨか小林よしのり、じゃねーか、と苦笑する。でもなぁ、と思う。これじゃ、なぁと思う。
 ああ、むかつく。朝日新聞社説よりむごいもの見ると思わなかったぜ。

|

« ニューカッスル病 | トップページ | G7、お楽しみはこれからかも »

「歴史」カテゴリの記事

コメント

読んでて、スッキリしました!!
ちなみにトラックバックとやらをしてみました(初心者なもので)。。

私も朝日、毎日には辟易しております。。
またズバッとお願いしますね♪♪
楽しみにしております。。
じゃ♪

投稿: gigadeth666 | 2004.02.11 00:24

すみません!
トラックバック、出来ませんでした。。
なので、リンクをさせてもらいました。。
スミマセン。。

投稿: gigadeth666 | 2004.02.11 00:56

gigadeth666さん、こんにちは。今回の毎日の社説にはおどろきましたが、それも日本らしいといえばそうなのでしょうね。ブログ拝見しました。面白かったです。

投稿: finalvent | 2004.02.11 10:03

主催のすつきりした書き様にはとんと及びませんが、こんなこともありました、といふ話です。御笑覧下されば幸甚。
(名前にリンクさせて居ります。トラックバック?何だい其れは、なアナログおやぢです。面目無い。)

投稿: wachthai | 2004.02.11 17:26

wachthaiさん、どうも。なかなか威勢がいいですね。いろいろ語られていない物語はあるようですね。

投稿: finalvent | 2004.02.11 17:48

finlaventさん、こんにちわ、

少々前の記事にトラックバックさせていただきました。

>現代の日本に少し似ているという皮肉は言いたくはないが。

今の日本人の誇りってなんなんだろうかとか、考え始めたら止まらなくなってきています。酒井順子さんの「負け犬の遠吠え」って、「負け犬ってよばれてもいいから、私達をほっておいて、好きにさせて」という内容なのですね?これって、いまの日本全体にあてはなる心理のような気がします。

そして、その根底にあるのが、戦前戦中の軍・官僚組織が実は現在まで続いてしまっているという連続性と、敗戦による日本人の誇りの喪失という非連続性が、根底にあるのではないだろうか?とか、感じております。

http://hidekih.cocolog-nifty.com/hpo/2004/07/loser.html

投稿: ひでき | 2004.07.04 14:51

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今日の日本人の誇りは日露戦争にある:

» 日露戦争 [Aquarius Island]
日露戦争は、2月10日で、100周年を迎えました。。 どこかのテレビ局で、特集とかするかな、と思ってましたが、何もなし。。 さらっと、ニュースで言うのみでした。... [続きを読む]

受信: 2004.02.11 00:54

» 最近の日本は“アメリカ追随”??いや、実は・・・“イギリス追随”デス ( ̄△ ̄;)エッ・・? [… 結茶場 Me家…   …けっさば みけ …]
日露戦争開戦から、ちょうど100周年の日を迎えた。 日露戦争の勝利を、当時“イギリス”をパートナーに選んだ 日本の外交戦略の勝利と置き換えることもできる。 小諸... [続きを読む]

受信: 2004.02.11 16:03

» ぼくたちは本当に負け犬なのか? [HPO:個人的な意見 ココログ版]
「負け犬の遠吠え」という記事を書いた。瀬戸さんの記事からはじまり、現代の日本社会では日本人はみんな負け犬になりはてているのではないか、という問題にたどりついた。... [続きを読む]

受信: 2004.07.04 14:19

» [書評]敗北を抱きしめて Embracing Defeat [HPO:個人的な意見 ココログ版]
敗北を抱きしめて by ジョン・ダワー 思ったよりも長くかかったが、ようやく読了 [続きを読む]

受信: 2004.09.26 13:49

« ニューカッスル病 | トップページ | G7、お楽しみはこれからかも »