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2004.02.06

米国経済が強いのワケがあるのではいか

 現代はどうか知らないが、一昔前は高校の文化祭には前夜祭というのがあった。なんか、祭りだぞという雰囲気を味わうのである。今朝の各紙朝刊を見ると、G7を前にしてそんな浮かれ気分だけが漂ってくる。日経新聞社説「ドル不安を避けるG7の協調を」より。

 7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が今週末に米フロリダ州で開かれる。世界経済は着実に回復しつつあり、失速の懸念は薄まった。ただ、その一方で対外収支の不均衡が拡大しており、為替市場などでは不安ムードもただよう。参加各国が市場の不安から目をそらさず、それにどれだけ真剣に応えた会議にできるかが試される。

 なにが「真剣に応えた会議」なのやらである。G7の見ものは、米国さん、天に代わってお仕置きよ、である。米国内政で「双子の赤字」を減らすようにし、ドル安を食い止めよである。
 そんなの米国は聞く耳持たないっていうか、問題は、むしろ、EUのスラップスティックと、国際犯罪的な日本の円介入による米国債買いまくりをなんとかせい、なのではないか。だが、日欧としても、そう言われてもなぁである。ちょっと照れるよね、という程度だ。結局、ふざけたお祭りになるのだろうなと、思う。
 三者睨みあってのチキンレースだ。誰が転けるか。意外に日本は打たれ強いし、米国は単純に強いから、EUあたりからヘタるんじゃないかと思う。
 毎回経済面で面白いネタを投げてくる毎日新聞だが、期待に応えてくれる。「フロリダG7 米の財政赤字に取り組め」より。

 米国は「強いドル政策の堅持」という建前を繰り返しつつも、「柔軟な為替相場の維持」を強調している。日本や中国のドル買い介入へのけん制である。
 為替相場の人為的な操作の疑いすら持たれかねない日本の巨額の市場介入に問題があることは、言うまでもない。日本は1月だけで単月としては過去最高の7兆円を超える円売り・ドル買いの介入を行った。それにもかかわらず、円相場は上昇基調にある。日本の通貨当局が円高阻止の決意を強くすればするほど、投機筋は円買い安心感を強めている。
 この限りでは、米国の主張は正しい。日本はG7で円売り・ドル買い介入を「経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)からかけ離れた相場の行き過ぎ是正のため」として、理解を求めるが、方法論として間違えている。

 このところの毎日の動向を見ていると、そう来ると思っていたぜである。が、私としても、基本的にこの構図は現状認識としてはは間違っていないのではないかと思う。ただ、この先の毎日の筆法はようするに、米国にお仕置き!ってなつっぱしりなんで、勝手にやっていろよである。産経新聞社説「G7 ドル安是正で協調作りを」のオチは地味なトーンを出していて心が和む。

 企業の側もG7に過度の期待をすることなく、為替変動に負けない体質、体力づくりに一層励むべきである。

 G7には期待はできないよである。そうだよね。ところで、「為替変動に負けない体質、体力づくり」って何だ。わからん。ここでお茶を一服という感じだ。
 少し話の向きを変える。経済学者、エコノミスト、こぞって、米国は危機をはらんでいるぞという雰囲気なのだが、そうなのか。私はピンとこない。日本が金を貢いでいるからもってるんじゃんか、というのも、いかにもなのだが、それでも米国の芯の強さがあるんじゃないかと考えるべきではないのか。と、やると、お笑いの、懐かしのニューエコノミー論みたいなるが、ちと、気になることがある。米国の住宅バブルだ。
 世界最大規模のノンバンク、ファニー・メイ(連邦住宅抵当金庫:Funny May じゃないFannie Mae Fact Sheet)のCEOフランクリン・D・レインズのプレス記事がちと古いが朝日のサイトにある。「ファニー・メイ、CEO訪日を機にプレス・ブリーフィング」(2003.11.21)(参照)。ここでこう言っている。ちと長いが重要だと思うので引く。

 住宅バブルを生み出すことは困難です。米国の住宅市場は、証券市場や商品市場において見られた価格の<ブーム崩壊>循環を示したことはこれまで一度もありません。実際、大恐慌以来、住宅価格が全米ベースで下落したことはなく、そして当然ながら崩壊したこともありません。住宅価格は一部の地域において時折激しく変動することはあるものの、その場合は価格投機ではなく主としてその地域の経済の変動が激しいことに起因しています。全米レベルでは、FRBのアラン・グリーンスパン会長は、住宅業界においてバブルを生み出すことは困難である、と指摘しています。彼は「株式市場のバブルからの類推は明らかに不適切」と述べ、取引の費用と過程がバブルにつながるような類の投機的な住宅需要を阻止している、と指摘しています。

 そ、そうなのか? グリーンスパンの威光はもはやお笑いレベルだが、米国の場合、日本のように銀行経営が不動産担保だけで、おまえさんたち本当に銀行業務しているの?みたいな歴史はない。この応答は基本的に正しいのではないか。
 何が住宅バブル、もとい、住宅好景気をもたらしているのか? また、それは米国経済好調の派生なのか、根幹要因の一つなのか。おーい、エコにミスト、なんとか言えというか、どこかで言っているのか。
 私が思うのは、単純なことだ。家というのは、人が住むものである。人が住むというのは、ちょっと嘘くさい比喩だが、人の流動性、が、高いということだ。一義的には、移民の問題があるだろうと思う。もう一つは、現状、日本人の良心あるエリートさんたちは貧困階層をどうすべ、と、悩むのだが、実は、米国の貧困層というのは、移民を米国に吸収するための装置なのではないか。森永卓郎のお笑いではないが、低所得で生きていたってなんにも悪いことはない。むしろ、米国の低所得というのは国際的には相対的な貧困でしかない(というには、ちと酷すぎるものがあるのは知っているが)。
 ま、つまり、そういうことなんじゃないか。そういうこと、っていうのは、米国は、まだまだ、若い国家、ということ。それに比べて…である。

追記 米国住宅景気の件
svnseedsさんからコメントは、恐らく以上の私の愚考に勝っていると思われるので、強調の意味で追記しておきたい。私自身は、このブログについて述べた考えが間違いだとは思っていないが、svnseedsさんの見解のほうが有力であるとは思う。


米国では住宅の需要はモーゲージ金利ときれいに反比例の形になってます。で、今は歴史的な低金利なのでモーゲージ金利も歴史的な低さとなっています。なので住宅需要が強い。それだけの話です。
また家計は、モーゲージ金利が下がるとrefinanceして、余ったお金でどうするかというと前倒し返済でも貯蓄でもなく、消費します。これが個人消費が堅調だった理由です。
ということで米国経済の強さのひとつに、家計行動(住宅投資にせよ消費にせよ)が金利に非常に敏感だ、ということが挙げられると思います。

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コメント

土田正顕、死にましたね。風船に針刺した銀行局長でしたっけ。不動産・建設業「総量規制」通達名義人。缶ピース爆弾で奥さん亡くした土田警視総監の弟だったんですね。死亡記事みるまで知らなかったです。しかし一般人相手の長期低利融資住宅ローンは割りあわんって住専作ったくせに、都心再開発(住不ビル事w)のあおりの近郊住宅地価上昇で、転売濡れ手に粟目的需要見越しの住宅ローン、実は賭け金融資に血道をあげたんですから、この時点で銀行はお里が知れちゃったわけですね。「連邦住宅抵当金庫」にあたるのが住金だったのでしょうが、ここは債権をただ寝かしてるだけで債券化なんて思いもつかなかったんでしょうかしらね。最後の頃抵当証券法なんてな古文書引っ張り出してきたのは、あやしいとこばっかりでしたっけ。アメリカは日本に規制撤廃に民営化しろって言ってるけど、自分ところはしっかり規制効かせてるし、住金のような組織を30年かけてじっくり育てて民営化(多分投資家資格で相当規制あるんでしょね)してるんですね。

投稿: shibu | 2004.02.06 13:50

どうもです。
エコノミストじゃないですが、住宅景気の件。
米国では住宅の需要はモーゲージ金利ときれいに反比例の形になってます。で、今は歴史的な低金利なのでモーゲージ金利も歴史的な低さとなっています。なので住宅需要が強い。それだけの話です。
また家計は、モーゲージ金利が下がるとrefinanceして、余ったお金でどうするかというと前倒し返済でも貯蓄でもなく、消費します。これが個人消費が堅調だった理由です。
ということで米国経済の強さのひとつに、家計行動(住宅投資にせよ消費にせよ)が金利に非常に敏感だ、ということが挙げられると思います。これは消費社会だと言っていることと似たようなものですが、彼らのこの行動は消費奨励型の税制の元では合理的であることにご注意です。日本のように貯蓄奨励型の税制であれば、いずれ日本のように貯蓄が美徳になるでしょう。
ということで今年後半には利上げが見込まれる中、住宅バブルが発生している(しつつある)というのは胡散臭い話だと思います。FRBは80年代後半の日本のように意味もなく低金利を続けはしないでしょう。
それと、言わずもがなですが、日本は米国と異なりデフレなので、表面上金利がいくら低くても住宅ブームはおこりませんのでこれもご注意です。

投稿: svnseeds | 2004.02.06 14:54

svnseedsさん、指摘ありがとうございます。重要だと思われるので、本文に追記しました。svnseedsさんの指摘が正しいだろうと思います。ただ、2点、やはり社会構造的な要因は強いのではないか、また、貯蓄奨励型といった税制による行動パターンなのか、という点は、まだ腑に落ちていません。しばらく、考えてみます。

投稿: finalvent | 2004.02.06 15:30

shibuさん、ども。土田正顕はなんか終わった人だないう感じでしたが、むしろ、67歳で肺炎かよとかのほうが気になってしまいました。肺炎っていうのはけっこう命取りなんですよ。読売のニュースによると「今年初めから風邪の症状が出て、9日から入院していた。病床からも幹部に指示を出すなど、容体は安定していたが、29日夕に急変した。実兄は、元警視総監の故・土田国保氏。 」とのこと、若い気でいたのだろうなと思いますね。

投稿: finalvent | 2004.02.06 15:35

恐縮です。急いでいたものでぶっきらぼうですみません。
社会構造的な要因という意味での移民の重要性、上では触れませんでしたが、確かに大きいと思います。そもそもFannie Mae自体が(典型的な移民に多い)低所得層の持ち家促進のための機関だったはずです(スローガンが「Our Business Is The American Dream」)。
ただし、やはりモーゲージ金利が下がったことで住宅購入のaffordabilityが上がったというのが根っこの話だと思います(しつこくてすみません)。
税制の話は詳しくないので受け売りです。いずれ自分でも確認したいと思っています。
また、移民・税制に限らず、例えば雇用の流動性など、日米ではいわゆる「構造」に相当な違いが見られます。僕のこのお話はあくまでもその一部を挙げただけなので、当然他にも色々あると思います。どちらが良いかは一概には言えませんが。

投稿: svnseeds | 2004.02.06 16:21

svnseedsさん、どうもです。「やはりモーゲージ金利が下がったことで住宅購入のaffordabilityが上がったというのが根っこの話だと思います(しつこくてすみません)。」とのこと。問題を考える比重でいえば、正論です。実際、身近の米人と雑談していても、そんな話が多くてあきれます。今回は触れなかったのですが、米国がいわゆる3Kへの労働者の緩和を行っているようなので気になります。

投稿: finalvent | 2004.02.07 08:24

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