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2004.01.30

私はBBCを評価する

 今朝の新聞社説をザップしながら、読んでいる自分の側のやる気のなさのようなものに気が付く。あの、新聞の社説ってかったるいなぁ、という感じだ。理性的に考えれば、今朝の新聞各紙の社説の質はこんなものだろう。古賀潤一郎問題など社説に何度もとりあげる話題じゃない。また、2月に入ってのG7が大きな問題になるだろうから、今しばらくは中だるみ感もあるのだろう。
 簡単に触れるだけにするが、朝日新聞社説「制裁法案――対話につなげる圧力に」は醜い。ようは北朝鮮に金を回せということだ。制裁を今まで課さなかったほうが不思議なくらいなのに。どの社説も触れていないが、今週のニューズウィーク「市場経済が北に花開く 米訪朝団も驚く経済改革で金体制は生き永らえるのか」にあるように、北朝鮮の大衆のマーケットは動き出した。たぶん、中国側の圧力だろう。
 今朝の話題としては、毎日と産経が触れていたが、英国政府による、イラク大量破壊兵器の情報操作疑惑についての英独立司法調査委員会の決定が興味深い。結果は、ブレア首相の責任を否定し、疑惑を伝えたBBCの報道を無根拠とした。まず、ブレアの勝ちである。またしてもジョンブル魂である。イギリス人はブレアの評価相半ばといったところだろうが、私はこいつはすごいやつだと思う。英国っていうのはものすごい底力を持つのだと呆れる。
 毎日も産経は、それでもブレアを非難するトーンがあり、加えてこの件をBBCの汚点とした。産経の文章は稚拙すぎるので、毎日新聞社説「英調査委結論 大量破壊兵器の問題は残る」を引く。少し長いが雰囲気を感じて欲しい。


 調査委員会の結論が出た日の英下院本会議で野党保守党のハワード党首は「調査委員会がどうであれ、大量破壊兵器は見つからない」とブレア首相に詰め寄った。米国でも日本でも同じ問題が今も提起されている。米国によるイラク大量破壊兵器捜索を指揮したデビッド・ケイ氏の「大量破壊兵器の大量備蓄はなかった」という発言も大きな波紋を呼んでいる。戦争の大義の問題は過去のものにはなっていない。
 調査委員会の結論ではまた、世界的な名声を誇っていたBBCが編集システムの欠陥を指摘され、報道の信頼性に大きな傷を残した。ギャビン・デービス会長の引責辞任にとどまらず、報道体制の早急な点検を迫られるはずだ。メディアの報道責任も問われた事件だった。

 気取っているが、前段はタメである。政治的な正義を装ったナンセンスだ。後段は、馬鹿だ。なぜか。
 私は今回の一連の件、BBCを以前より高く評価するようになった。この問題でBBCを問いつめて断罪したのはBBC自身だと私は思うからだ。もちろん、ブレアからの防戦意識も強かっただろうとは思う。それでも、こいつらのジャーナリスト魂はブレアのジョンブル魂に匹敵する気迫だ。伊達に朝から高カロリー取っているわけじゃないなというのは軽口だが、実に感心した。
 そう思う背景の最大の理由は顧みてNHKの病巣だ。同じ公共放送でありながら、NHKは死に体である。自浄機能のかけらもない。NHKスペシャル「奇跡の詩人」のほっかむり、武蔵のパクリのあとのバックれ。醜悪だと思う。
 NHKがクオリティの高い番組を作っていることは理解できるが、なんでこうもNHKというのは醜悪な側面を持っているのだろう。子会社を組織して金儲けをしているのも変だ。
 と言うものの、報道面ではそうでもないなとは思うことも多い。「あすを読む」なども注意して聞けば、かなり辛辣な真実がずばっと提起されることがある。内部にはきちんとしたインテリジェンスがあるし、それを育成するシステムもある。NHKのアナウンサーたちのクオリティこそ今一番日本語を守っている。だが、それでも、NHKという存在の公的な立場に対する自浄作用のなさはどうにもならないのだろうか。
 日本の新聞は報道機関としてテレビと付き過ぎている。朝日新聞は朝日放送、読売新聞は日テレ、毎日新聞はTBS、産経新聞はフジテレビ。そうした、村的な意識が結果的にNHKへのジャーナリズムとしての批判を弱くさせるのだろうか。
 今回の事件の、可視な発端は端的にBBCの過ちであって、これを強弁して援護することはできない。だが、背景には、英国政府側がBBCのイラク戦争報道に不満があったことはよく考慮しておきたい。
 BBCは、30年前とはいえ、モンティパイソンを放映したラディカルな放送局なのだ。今は時代が違う。でも、BBCというのは日本人から見れば、驚嘆すべき組織だと思う。毎日と産経の評価は、浅薄過ぎる。

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コメント

NHK問題ですね・・

言うとちょっとキケンな気がしますが、ちょっとだけ・・

やはり、自民との結びつきではないでしょうか・・?
(不確定ですが)

そして、
それ以前にNHKの収入構造のうそ臭さが・・・・

受信料なんてギムでもないのに、半ばギム化してるし・・
それはNHKが率先してやったことではないのだけれど・・けっこう、黙ってますしね(当たり前ですが・・)


で、

そういった収入構造うやむやなところとかがやっぱあやしいです・・(その辺りはけっこう前の会長の島桂次のときにもいろいろあったんですが・・注:島桂次側という言説ではないです)

海外特派員の滞在費がうやむやになってる問題とかも以前にとりざされていたし・・・


やはり・・・官僚化しているので・・・怪しいです

(最近の番組クォリティは認めているんですがね)

投稿: m_um_u | 2004.01.30 17:29

m_um_uさん、ども。自民党の結びつきはわからないのですが、そうはないように思います。今回の武蔵パクリのバックレはどのあたりで決断されているのか気になります。組織の決断機能が下部ではいいのに、上部にいくと混乱というか複雑系になっているような印象はあります。あと、これは言うべきじゃないけど、NHKって不払いを見込んで料金設定しているとしか思えないので、そのあたりの公平性をなんとかしてよと思いますね。ハイビジョンなどの付加価値でごにょごにょにしてしまう戦略だろうとは思いますが(つまり貧乏人には地上派は福祉の一環)。

投稿: finalvent | 2004.01.30 18:26

>武蔵パクリのバックレに関わる意思決定

やっぱ・・上が吹き溜まってるからですかね(笑)
それはどこの組織も同じなんでしょうけど、あそこは特にひどいんじゃないでしょうか(なんとなくですが)

・・なんでなんでしょうね?
やっぱお役所体質だからかな・・

<公共料金=税金って感じで、ほっとけばお金が入ってくるから、企業努力をしない癖が・・近頃は努力するようになったけど、むかし現役だった人たちには依然としてその癖が・・>
ってとこなんでしょうか・・。
(よくわかんないですけど)

あと、思うんですが・・武蔵のってそんなにパクリなんですかね?詳しくは知らないのですが、時代劇だったら黒澤を踏襲するのは当たり前な感じがするのですが・・・・。
(いや、ほんとに詳しく知らないので、ちょっと言ってみただけです)


あと、おっしゃるように<公平原則>ってのは胡散臭いと思います(あのあたりもなんかごにょごにょして気持ち悪いです)

投稿: m_um_u | 2004.01.30 21:54

ども。こんな話ですよ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040119-00000234-kyodo-ent

投稿: finalvent | 2004.01.30 22:51

リンク先みてきました。

・・やっぱよくわかりません。

こういう場合、オマージュか盗作かって分けるのってすごく難しい問題のはずだし・・

ぼくも両方とも見ているのでなんとなくは想像できるんですが、やはりこの弁護士が両方のテクストの該当箇所を比較しながら説明しているのを聞かないとよく分からない感じがします・・。


(たしかにNHKの大河ビジネスは胡散臭いんですが・・)

投稿: m_um_u | 2004.01.31 05:25

m_um_uさん、ども。確か、このニュースだとわかりづらいかも。今週の週刊文春の小林信彦のエッセイのほうがくわしいです。気になったら立ち読みしてみてください。

投稿: finalvent | 2004.01.31 08:33

はい、では見てみようと思います

投稿: m_um_u | 2004.01.31 09:02

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