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2004.01.26

電子政府なんて、要らない

 自分の考えがまとまらないので、書くだけ間抜けな次第となるだろう。でも、率直な思いをメモ書きにしておきたい。日経新聞社説「便利な電子社会へ万全の安全対策を」が提起する問題だ。社説自体は、なんともぼよ~んとしたトーンで書いてある。それが悪いわけでもない。ヤッシーみたいに騒いでも、もうオマエは門外漢だよレベルの事態を別のレベルで騒いでも、意味なんてない。というのは、住基ネットの問題。その安全性についてのバトルだ。厳密に言えば、ヤッシーが正しいが、実用面でヤッシーの危機感はほぼ無意味だ。むしろ、危機のポイントはヤッシーや櫻井よし子が騒いでいる点ではないと思う。ちょっと悪口を言うのだが、このレベルの人が騒ぐだけ問題がおちゃらけになるし、本当はもっと発言して欲しい人が産業と国家に巻き込まれ過ぎている。じゃ、オメーがなんか言え、なのだが、難しいには難しい。RFIDについても、技術系の知識がある人ですら、トンチキな話になりがちだ。
 日経からネタとして引用する。


「e―Japan戦略」に基づく電子政府構想が本格始動する。19日から電子納付システムがスタートし、29日には公的個人認証サービスが始まる。これで2月から国税の電子申告・納税、3月からはパスポートの電子申請が可能になる。行政手続きの電子化は国際的な流れだが、成功させるには万全な安全対策を急ぐ必要がある。

 まず、気になることだし、識者と思われる人が言及していないのは変だなと思うこと、から書く。日本が公的個人認証サービスができるって、すげーなである。私の感覚からすれば、そんなこと米国が許すわけねーだろ、である。どうですか、みなさん?
 で、私は古い人間だし、頭も固くなっていて、おまけにひねくれた性格なので、やっぱ、米国は許すわけないよ、と思う。陰謀論めきたいわけじゃないが、私の常識からすればだね、この話には、裏があるよ、きっと。どっかにホワイトハウスへのバックドアがあるんだろうなと思う。
 次に思うことは、ひたすら呑気なことだ。端的にいう、「そんな、システム、要らん」 便利になってなにが悪いと言われそうだが、そうなのか。あのさ、思うのだが、みなさん、郵便番号が7桁になって便利になりましたか? あれってなんのためにやったのだろう? 秋田県孫様、だったっけかな、で、届く郵便配達システムが未だに成立しているから郵便事業が成立しているのであって、システム的な問題は従属的だし、もっとコストパフォーマンス優先の解法があるではないか。と言いつつ、郵便事業まで民営化してしまうのか。なんだかなと思う。お役所の不便さには、いちいち立腹する私ではあるが、世の中多少不便であってもいいと思うし、その不全さは、ポストマンパットとぶち猫の世界を守っていると思う。
 住基ネットで気になるし、いろいろ発言してみるが、空虚だなと思うのは、これって、今後日本の移民問題の予備なのではないかと思うことだ。端的に言えば、日本国家に外人を入れないよ、外人は電子的に区別してやっからね、ということではないかと思う。あれまぁ、である。ちと、余談だが、極東ブログがどんなふうに検索されているかというと、端的にはGoogle様の気まぐれ評価どおりのキーワード検索なのだが、それでも、例のフランスのスカーフ問題、つまり、ライシテ関連で覗きに来られるかたが多いようだ。あの記事で、フランスのライシテをむしろ擁護したのだが、でも、ドイツじゃ問題ないんじゃんと思われているとしたら、とんでもない。どっちがより開かれた国家と考えてみるといい、ドイツも日本と同じ血統主義だ。いつまでたってもトルコ人は外人なのだ。むしろ、国家を理念から開くフランスのほうが近代国家だし、ライシテというのはその不可欠な条件なのだ、っていうのが、呑気な日本人はわかりづらいし、この呑気さはこれから、電子システム的に保護されることになる。で、いいのか?
 日経の先の社説だが、結末がけっこう微笑ましい。個人情報は自分で守れというのだ。

 だが最も大事なことはまず国民一人ひとりがセキュリティー意識を持ち、自分の情報は自分で守る姿勢を持つことである。電子社会の進展は利便性が高まる代わりに個人情報が社会に流れることを意味する。自分の情報が正しく扱われているか常に政府や企業へ情報開示を求め、確認していく姿勢が求められている。

 なにが言いたいのでしょうね。個人情報は個人で守れ、って、無意味。それが無意味だとわからない人に解説するのがうざったいくらい。利便性とプライバシーのバランスはこういうフレームワークでは当然のこと。日経もうっすらわかっているらしく、だから、公的機関を市民が監視しなくてはいけない、と正論を吐く。確かに正論なんだけど、そのためには、国家に取り込まれない識者と団体が必要なのだ。日本にあるか。サヨだったら、やめちくれよ。
 最後に余談で締める。極東ブログ、誰が読んでいるのか、もうどうでもいいやではあるが、読んでいるかたに問いかけたい。「あなた、表札に名前書いていますか?」 書いているならなぜですか? 表札になんて書いていますか? と問いかけられて、あれれ、って変な気になりませんか。ちなみに、他の国のご事情知ってますか?

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コメント

電子政府のどうでもよさにはコメントしませんが、『極東ブログ、誰が読んでいるのか、
もうどうでもいいやではあるが』などと悲しいことを言っているので、コメントします。
ええと、ここに居ます、毎日楽しみに読んでいる私が。どれくらいちゃんと読んでいるかと
いうと、↓ぐらいです。
池澤夏樹『パンドラの時代』
http://www.impala.jp/pandora/index.html

言ってることは両極だけれども、両者とも、きちんと読ませていただいています。
特に、Iraqのネタを。
ネットのありがたみを感じます。

投稿: Dain | 2004.01.26 22:12

Dainさん、どうも。ありがとうございます。なんか自暴な態度を反省します。池澤夏樹のネットの活動は、同じく沖縄に暮らしていたせいもあり、「新世紀へようこそ」からワッチしています。

「噂の真相」のような面白ろガセではないけど、沖縄に密着しすぎてネットに書かないほうがいい話もあるのですが、ちょいネタをひとつ。沖縄はタクシーは普通の交通の足です。料金も比較的安いし、それなくしては夜など移動できないのですが、そうしたおり、タクシーの運転手は私が本土人か沖縄人か見極めたくなるらしく話をよくするのです、彼をサティスファイさせると、面白いディープな情報をきかせてもらいます。宮本亜門は小柄な人でおどろいたとか、池澤夏樹は後ろの席でシートベルトをしていた、と。なんか絵がうかびます。


投稿: finalvent | 2004.01.27 08:49

ちょいネタありがとうございます。
沖縄つながりで池澤夏樹さんを挙げました。

わたしは一度も訪れたことがありませんが、
あそこにいると、この国がよく視えるのかも…

彼の地に住むようになってからの池澤氏の発言を
読むと、そう思えてきます。

投稿: Dain | 2004.01.27 22:50

Dainさん、ども。詳しいことは言えないのですが、池澤さんは近くまた別の活動を始めるようです。春頃にはわかると思います。悪い話ではないですが、えっと思われるかも。

投稿: finalvent | 2004.01.28 08:36

池澤夏樹さんの宿題といえば、『マネーと利子』でしょう(あくまで外側からのwatchにすぎませんが…)。春を楽しみに待ちます。

記事の話題と大いにそれてしまってすみません。
関連する話題として、私なりのフィードバックを、以下にご紹介します。

結城浩さんの『固有IDのシンプル・シナリオ』
http://www.hyuki.com/techinfo/uniqid.html

RFIDなどの固有IDの問題を考えるためのシンプル・シナリオを提示します。このページは、できるだけシンプルなシナリオを通して、固有IDの問題点がどこにあるかを明確にしたいという意図で書かれました。

『良い』『悪い』は別として、考えたり、話し合ったりするための例題が提示されています。…既にご存知かもしれませんが。

投稿: Dain | 2004.01.31 10:00

結城さん(著名人ですねぇ)のRFIDの説明読んでみました。私の勘違いがあるかもしれないけど、私と基本的な認識は同じだと思いました。私のほうが、おちゃらけだけど、一歩踏み込んだかなとも思うのですあ、お笑いを書きすぎたかもしれません。というのは、結城さんは、ラジオ(無線)技術の問題に触れていないからです。固有IDについては、一点、「バーコードと同じだと思います」の彼の回答は違うと思いました。つまり、私は同じだと思っています。違うとすれば、RFIDはコバート(簡単に見えない)のに対してバーコードはオバート(見える)ことです。というか、バーコードは偽装・書き換えしやすいという点です。

池澤さんの『マネーと利子』は、宮崎哲弥が笑い飛ばしていましたが、ああいうところに池澤さんのナイーブさが出ているなと思います。ネタは中沢新一ですが、この話は書き飛ばしくさいなと思っています。池澤さんはしかたないかもしれないけど、中沢は社会学の素養がないので、変な領域に首ツッコンで「と」を言うなよと思うのですが、その軽さがいいのかもしれません。

と、否定的な言い方なのですが、問題は「利子」といった根源性を哲学的に論じるより、現状世界の金融の動きの意味を共時的に問うほうがいいと思うのです。ちょっと舌たらずですが、これらの問題は、根源性からは問えないのではないか、あるいは、根源性は二次的ではないかと思います。池澤さんについて言えば、クルーグマンとか読まれているのか気になります。読んでないような印象を受けます。

批判的なトーンになってはいけないのだけど、池澤さんはアカデミズムの経験がないせいか、文学的なセンスでアカデミズムの個々の産出を理解してしまう。それがいい面もあるのですが、アカデミズムの産出はまずその文脈で読み、次にそれがどう社会のコンテクストに反映されるかというステップが必要です。

これまでの日本の知識人全般に言えると思うのですが、また、ちょっと失礼な言い方ですが、彼らは国際的な意味ではアカデミズムの圏外にいたせいか、アカデミズムの文脈も社会のコンテクストも外れているような気がします。そこをむしろ徹底的に自覚していたのが吉本隆明で、彼は化学畑にいたから、むしろ国際的な学の世界の構成を知っていたはずです。ちょっと補足すると、フーコーとかクリスティバとかおフランスな思想家たちは、米国でも知的な対象になるのですが、あのスタイルで米国で出てくることはないし、哲学の本流はすごく根がしっかりしています。中世を引いている英国系の哲学と、近代に興隆したドイツ哲学の、学の系統の違いかもしれませんが、こうした流れでフランス哲学は、悪くいえば、すべてエッセイです。そのエッセイのスタイル面だけ日本に入ってくるか、暗く英独系が入るかで、いずれも日本の社会のコンテクストから遊離します。しかし、フランス哲学など、実際は戦後のアルジェリア問題などを転機に極めて状況的な世界なのですが、ね。

話がそれまくりました。

投稿: finalvent | 2004.01.31 10:28

■結城浩さんの『固有IDのシンプル・シナリオ』について
結城さんの話を知る前、日経などを読んではアカルイミライを予想し、小鼻をふくらませていた私は阿呆でした。『良い』『悪い』の前に、考えるという行為を新聞に任せていましたから。新しい技術により『おまけに、できてしまうこと』や、『転換すると、こうなる』ことにこそ着目するべきですね。新聞に書いていないことが気にかかります。

■池澤夏樹さんの『マネーと利子』について
finalvent さんの言う、『問題は「利子」といった根源性を哲学的に論じるより、現状世界の金融の動きの意味を共時的に問うほうがいいと思うのです』に激しく同意。池澤さんにそれを求めるのは酷というもの…。ただ、その立ち位置から徹底的な問いかけを行った人を知りません。ひとえに私の勉強不足です。finalvent さんが語ったら面白いかも…とリクエストしてみたりして。

■ポール・クルーグマンについて
クルーグマンですか…私も読んでないなぁとチョト調べてみたら、面白い記事がありました。
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C1570102516/E180581549/index.html
『これはブッシュの問題ではない、あんな馬鹿大統領をクビに出来ないアメリカという国の問題だ』
(Letter from Yochomachiより)

投稿: Dain | 2004.01.31 22:26

どもです。RFIDについては、語りづらい雰囲気がすでに出来ている感じがします。れいの住基ネットでも問題はハッキングよりもキーコードによるリレーションなのですが、社会問題としてはもはや通じないし、専門はあたりまえすぎるわけです。どっかに闇のGoogleができるのだろうなと思いますね。

クルーグマンのアレは読みました。日本で最近出た「嘘つき大統領 デタラメ経済」も読んだので、その延長でふーんという感じでした。民主党色が濃い印象はありますね。ケリー支援なのかな?、とか。このあたりはよくわかんないので、ボケかもですが。

投稿: finalvent | 2004.02.01 08:01

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