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2004.01.19

ソウルが軍事的空白になる

 日本国内で話題になっていないのは当然のことなのだろうか、極東ブログではしつこく扱ってきたが、ソウルの龍山(ヨンサン)に駐留する在韓米軍の漢江以南移転が決定した。移転には、米韓連合軍司令部と国連軍司令部も含まれる。韓国国民の大半はこれを歓迎している、とまで言えるのかわからないのだが、韓国主要紙は曖昧なトーンを含みながら、懸念を表している。問題は端的に、それで韓国の安全は大丈夫なのか、ということだ。併せて、日本を含め東アジア全体の米軍のシフトも問題になる。日本がこの話題に鈍感に見えるのもよくわからないといえばわからないが、基本的に日本は沖縄を犠牲にしてこの問題に蓋をしているからだろう。
 東亜日報の社説を読むと、米軍の南下はしかたがないが韓米連合司令部と国連司令部はソウルに残せという主張がある。虫のいいことだと米軍からはせせら笑うことだろう。日本では北朝鮮の長射ミサイルの射程に入ったかという呑気な議論だが、ソウルはそんな議論でお茶を濁すわけにもいかない。米軍の撤退は米人の保護の意味あるというのはブラックジョークではない。いずれ首都の信頼度は低下するので、海外投資にも問題がでるだろう。傍から見ていると盧武鉉をめぐるどたばたは韓国国内の問題のようだが、いずれ対外要因でカタストロフになる潜在性が強い。
 話が余談になるが、こうした差し迫った課題になると、韓国が実は日本をなんら危惧していないという本音が出ていて面白い。韓国は本音のところでは日本が軍事的な脅威になるとは微塵も思っていないのである。日本を舐めているというほど呑気な問題でもない。そういう韓国の本音を日本は汲まなくてはいけない。もちろん、根にあるのは日本が米国の属国だからではあるのだが。
 この先は日本の問題でもあるのだが、まず当面の視野としては在沖米軍も縮小に向かうだろう。普天間飛行場問題は頓挫したままだが、あの市民都市の真ん中に置かれた異常な軍事基地は潜在的に米軍の戦略の変更を迫るほどの危険性をはらんでいることは米国も熟知している。野中は引退してもこの問題だけは気になっている。もっとも野中には嘉手納統合案はない。現在の小泉政権はただの政治ゲームの馬鹿たれなのでこうした問題の重要性がわかっていない。残念なことに福田に頼むしかないというのはなんたることだ。
 以上の話にそれほど新味もないし、詳細を除けばなにも新しいことを追加するほどのこともないのだが、今回のイラク派兵での米国と韓国の状況を見ていると、韓国軍は完全に米軍の先端にこづき回されている状況がある。端的に言えば、米軍の撤退分は韓国人で贖えというわけだ。もちろん、国防というのはその国の問題ではあるのだが、米軍のためにイラクに派兵することが韓国のためになるとは韓国人も思えないだろう。その不快感は日本人の呑気な議論からは見えない。こうした状況にあると、日本も表向きはイラク派兵反対!とヌカしているほうが対米な間合いを取るには都合がいいのかもしれないのだが、そんなことができるのも日本の経済力があってこそだ。

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