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2004.01.18

[書評]負け犬の遠吠え(酒井順子)

cover 国立の増田書店に寄ったら三刷りがようやく出ていたので買って読んだ。酒井順子の本は私はけっこう読んでいる。理由は、この人、やなヤツじゃないですか。いやぁ、こいつってやなヤツだねぇっていうヤツの本は、けっこういいことがある。
 ただし、そういうやなヤツには条件があって、馬鹿は論外、ということ。例えば、「10年後の『結婚しないかもしれない症候群』」の谷村志穂とか、小犬を拾って結婚してVeryの勝ち犬になったつもりって、すげえです。同じすげえなら、高木美保のほうが勘違い跳びまくりでよろしい。ああ、美人の人生って怖いのかもぉってよくわかる。で、谷村志穂のこの面白くもなんともない、金返せ、買うやつが阿呆だ、という本、本、という以前に、これってほとんど詐欺じゃないか。というのは、この本では実際には「10年後の『結婚しないかもしれない症候群』」は扱ってないのだ。昔のお友達に電話して、連絡の取れた数名のだべりに尾ひれがついるだけ。あのなぁ、この標題を付けるからには、10年前の彼女たちを真剣に捜せよ。そしてその人生を見てこいよ。それを見れば、ちったぁ利口になるぜと思う。っつうかおい、この編集者、標題だけで売ろうって根性は腐っているぞ。
 あ、話がそれまくり。で、酒井の本。うーん、面白かったのだけど、「少子」のときのような悪汁がいまいち。なんだか、男の俺が読んでいても、その、35歳以降の老齢化のあたりがちくちく痛いじゃないですか。なんだこの本。文章はうまい。酒井、ますます文章はうまいと言ってもいい。冗長だけど、もとから読ませてなんぼの漫談だからそれもかまわない。表紙の絵はきれいだけど、カラーリングが「ミス・マナーズのほんとうのマナー」みたいだが、ふと思うのけど、ミス・マナーズってミス、つまり、負け犬だったのだろうか。あ、この本、いい本です。上品なユーモアが学べます。学んだ結果が私です。効果は人によるわけです。
 あ、話がそれまくり。で、酒井の今度の本、なんとも奇妙な読後感だった。読んだ既婚女性に感想を聞いてみた。答えない。なんなんでしょ。ま、いいか。で、数日後、ふとぱらっと読み返してみて、ようやくそうかと思った。
 この本って、30過ぎ未婚女性が「負け」というあたりで、なんとかせーよと世間の気を引くわけだけど、この現実というのは、かなり多分、どうにもならない。どころか、30代40代の未婚女性が増えるということがすでに日本文化なのだ。中で酒井がイヤ汁とうまいこと言っているけど、こうした女性が日本文化に熱を入れるという話があるけど、お茶だの芸能だの京文化だの、彼女たちのおかげで維持されている。それに、その彼女たちのテイストはけして悪くない。私も、朝鮮茶碗でお抹茶など飲み、正月には花びら餅など和菓子を食べるしばわんこ組なんだが、この和の世界は美しい。美味しい。この世界を彼女たちが大半は維持しているのだ、と思う。典奴、森下典子の「日日是好日―『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」もなかなか良い本だったが、彼女も確か未婚ですね。いいじゃないですか。
 酒井も負け犬の存在理由ってな変なこと言うけど、いやいや、変でもない。10年前、いや20年前、私がラム(平野文)ファンだった時代に、これが将来国際的に日本を支える文化になるぞ思ったものだが、今度は「負け犬の和」の番だろう。それでいいんじゃないか。
 と、書いていてふと思ったのだが、現代の育児など実は、子供の手が離れるというなら、8年間くらいで終わり。その先、お子ちゃまのおかあさまとかVeryとかやらなければ、結婚・出産というのは8年間の転勤のようなもの。26歳くらいに結婚を済ませておけば、35歳には、どっぷり自分の世界がある。別に既婚・未婚の差もない。え? 旦那? 子供は一人じゃない? ま、そういうケースもあるのでしょうけどね。

追記(2004.2.29)
 この記事に直接関係しないが、関連した「東アジア諸国の未婚率」のコメントが多くなったことと、特にいなばらさんによるリンク情報が重要であるので、別サイトにコメントを移した。
 「東アジア諸国の未婚率」に関心のあるかたは、参照し、活用していただきたい。

極東ブログ: 東アジア諸国の未婚率

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「書評」カテゴリの記事

コメント

すいません、、まちがえました、、
できれば削除ねがいます。;;

投稿: twilight_star | 2004.03.03 11:05

twilight_starさん、ども。あっちのほうに移動しました。こちらのコメント自体は管理上残します。深い意味はありません。

投稿: finalvent | 2004.03.03 11:15

はじめまして、書評よませていただきました。
私は、既婚子なし共働き、の今年29歳(女)です。去年結婚
したばかりですが、作者の思ってることにすごく共感
しました。
作者のカテゴライズはすごくおもしろかったのですが、
あまり勝ち犬と負け犬の、幸福の差は感じませんでした。

イヤ汁!すごく共感!特に最前列のエアロビの面子や、
手芸でのイヤ汁!私も出してます!一番心に残ったくだり
は 子育て教 で、私の親の世代や子を持つ人々の[子育て教]
には私も日々うんざりだったので。私の両親は不仲で、たぶん
母親は子供がいなければ間違いなく離婚してたであろうと
思われるので、彼女が子を産めといえばいうほど、不幸感が
私の中で漂い、よくもまあ、そんなことがいえるなぁ と
思ってたので、すごく共感しました。

投稿: みりん | 2004.06.09 09:33

みりんさん、こんにちは。酒井順子ふうにあけすけにいうと、けっこう重要なのは自分のお財布ということかなという気もします。シングルだと自分の裁量ですが、結婚するとそうもいかない…最近は分ける傾向もあるみたいですが。

投稿: finalvent | 2004.06.10 07:56

finlaventさん、こんばんわ、

行き掛り上、「負け犬の遠吠え」買ってきて読みました。

内容的には、finlaventさんご指摘のとおりあまり毒を感じませんでした。読む前に感じていた、「言い訳で勝ちだの負けだの使うな!」という怒りも、私のようなタイプの人間がいることをすでによく酒井さんは自覚しているようなので読了後消えました。

そもそも「勝ち犬」、「負け犬」というカテゴリーが存在しうるというのも、「現代」という特殊な状況があって初めて可能なのだと思いました。多分、日本の歴史上これだけ家事や子育て、あるいは一人で生きていく事が容易だったことはないのだと思います。(まあ、現代には現代で妙な個人に対するプレッシャーもありますが、それは一旦おかせてください。)この状況の中で、男性であれ、女性であれ、個人の意思のもとに結婚する、しないが選択できるということだけで、もう十分「リベラルなデモクラシー」の実現であり、「豊かな社会」の到来を意味しているように感じました。この「現代のリベラルなデモクラシー」という舞台の上で生きていく中で、勝ち・負けという差異は実はごくごく小さいからこそ「負け犬の遠吠え」がベストセラーになるような現象につながるのだと思います。

ええと、つまりは感想からいえば、「負け犬の遠吠え」という言葉に目くじらをたてている自分が大人でないなという結論です。お騒がせしておいて、申し訳ございません。

でも、瀬戸さんの記事が意味する先にある「日本人の誇りはどこへ?」という問題は問題として、しっかりと見据えて行きたいです。

http://ts.way-nifty.com/makura/2004/06/post_29.html

なんというか、「現代」というくくりの中に、「快適な生活との引き換えなら、ルサンチマンなんてなくたってかまわないよ」みたいな感じがあるのだとすると、どうも私には居心地よく感じられません。元に戻って酒井さんの考えにも共通するのかもしれませんが、この「いまそんなに間違って生きてるわけじゃないんだから、後先を真剣に考えなくたっていいじゃない」という感じが、やばいように感じてしまいます。

ちなみに、私と酒井さんは同い年であることが判明しました。

投稿: ひでき | 2004.07.04 22:27

子どものできない「臓器摘出者及び障害者」に対し一作家・一企業が「負け犬」と言う差別用語を定義づけていいのだろうか

投稿: 被差別者 | 2004.08.27 09:35

「負け犬の遠吠え」が左程でもないって・・・。それはそうでしょう。酒井順子なんて負け犬でも、なんでもないもん。それより、こないだ女性週刊誌で読んだ話。名前は失念しましたが、雪印乳業を壊滅に追い込んだ「正義の味方」の人が、その後当然のように職がなくなって、路上で「正義」とか書いたTシャツ売ってるとか言う話。・・・あれ、凄かったです。まさにホントの「負け犬の遠吠え」だと思うんだけど。・・・もっと凄いのも、私の周りにはいるよ。面白すぎて、ここには書けないけど。。。

投稿: ジュリア | 2009.12.29 22:07

こんばんは。もうすこし本を読んで、人に読まれるような文章をご作成ください。がんばってください。

投稿: 梅 | 2010.04.10 22:33

すみません。・・・じゃ、もちょっと真面目に書きます。戦後資本主義と、日本男性の、女性に対する奇妙な性欲(若けりゃ若いほどいい、できればパイパンで毛が生えてないくらいに中出ししたい、)が、「若い内に金持ちと結婚するのがBEST!」と言う一大ブームを巻き起こしているんですよ。そこで、一番割食ってるのは障害者です。彼らは子どもが、基本的に持ちにくい。特に、30~40のメンヘラーは絶望的です。何故なら、それまでに医師が大量のトランキライザーを処方しちゃってるから。・・・私に言わせりゃ、酒井順子は「怠けてる」だけです。エアロビやりながら「あたし負け犬~」なんて大概にしてもらいたい。「正義」や「障害」と、戦えば戦う程、「社会のゴミ」扱いされるのが、今の世の中です。・・・そういう事が言いたかったんですけど。

投稿: ジュリア | 2010.04.19 12:13

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