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2004.01.09

印パ対話で解決なのか?

 朝日新聞社説「印パ対話――和解の果実を語り合え」は、7日の印パ公式協議再開合意をネタに昨今のインド・パキスタン問題の雪解けのように見える状況を、サヨクさんたちが内心「これで複雑な核問題触れなくてすむぞ」とに喜び舞い上がり、まいどのお笑いを演じたということ。あまりに滑稽なので引用しておこう。


 両国の間には領土紛争だけではなく、根深い宗教対立がある。それを解きほぐすには、双方が建前にとらわれず、雪解けがもたらす果実を語り合うことだ。

 馬鹿みたい。
 そんなことはさておき、私はというと、この印パ問題の動向がよくわからない。率直な印象をいうと、インドが国力をつけてきたのに対して、パキスタンは米国の締めで音を上げてきたかな、というくらいである(ちなみに、先日のムシャラフ大統領暗殺事件はどうもタイミング良すぎ)。
 少し、フライングすると、インドは民族主義が可能だが、イスラム圏の国家の民族主義は本質的な困難があり、それはこの世界の趨勢だと極めて不安定になるしかない。よく言われるカシミール問題だが、これは私の認識はかなり間違っているかもしれないが、ま、思うところを書くと、テロリストの温床と言われているがそんなのはスリランカと似たようなもので南アジア全域の潜在的な問題であり、顕在的な問題の構造的な背景は、あの地域の地主をどう懐柔するかというだけ、ではないのか。だからあまり騒がず、観光の利をうまく配分する知恵があれば、問題は事実上解決する、のでは。
 併せて、現状では、大国ヅラを始めたインドと同じく大国ヅラの中国との問題も緩和しているように見える。近代化とは金持ち喧嘩せずではある。
 総じて見れば、日本では米国は狂っているとかいうけど、数年前世界最大の問題とされていた印パ問題を安定させたのは米国の世界戦略ではないのか。このあたりの米国の国際戦略の全貌が目先の問題に振り回されてよくわからない。もともと米国には一貫した国際戦略などないし、ロビーが強すぎて一部の利権で国政が振り回されるのが常態なのに、国民の大半は貧乏、かっぺ、デブときているから、そいつらが国政にときたまときたま、ずどーんと出現する。「ま、子ブッシュはないだろ、子ブッシュは」と思いつつ、おとっつあんからみやらロビーの思惑も妥協して今の米国になる。なんとも茫洋としているからいろんな妄想を投げて「日本の国際ジャーナリスト」も仕事になる。
 印パ問題に関連してもう一点気になるのは、南アジアの民族問題の象徴としてのスリランカだ。スリランカは今どうなっているのだろう。テロが盛んな時期でも観光客に被害など出そうにないという話は現地の経験者から聞いたことがある。曖昧な印象でいうのだが、スリランカとインドとは違うとはいえ、類似の民族抗争の潜在性は高い。つまり、インドの民族問題は潜在的に非常に危険ではないかと思う。
 とはいえ、あれだけ懸念されていたインド人民党(BJP)だが、なんとか国民会議派の政権から移行しても、さして問題はないように見える。政治の状況からすれば、二大政党だし、スリランカのような問題を秘めているわけでもない…だが、あの国は大き過ぎる。構成上はヒンズー教徒が多数を占めるとはいっても、地域の差は大きい。なにしろ言葉が通じない。
 ついでに不用意に触れると当方の無知丸出しになるが、いいか。気になるのだ。インド洋における米軍のプレザンスを支援しているのは当然インドなのだが、そのあたりの国益やインド政権内での決定はどうなっているのだろうか、ということ。
 問題の一つの極はディエゴ・ガルシア島だ。歴史的な背景については英語でちと読みづらいががーディアンの"US blocks return home for exiled islanders "(参照)は基礎知識。物騒な言い方だが、対米戦略の火遊びを日本がするなら、このあたりの問題でインドと裏を通じておくこともかもしれない。ただ、火遊びが過ぎると危険きわまりないので、この話も終わり。
 締まりのない話になったが、世界を底流で変えているものは、私の認識では、マクロな人口動態である。中国とインドに注目しなければいけない。中国については喧しいわりに、インドが手薄になるとひどいことになるよ、と。

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コメント

cruyffと申します
ごく最近こちらのサイトを知りました。
はてな時代の極東ブログをまとめてテキストにはりつけたら、
サイズが650Kbほどもあり驚きました。
いまちょこちょこ読んでいます。

私は以前学生時代に新聞社の社説を書くセクションで働いたことがあります。
新聞社の社説担当者にこのサイトの存在を知らせたら、
泣いて喜ぶことでしょう。

これだけ毎日社説を読んでくれて、
長文の感想を書いてくれる人はそういませんからね。

そのうち社説の執筆者からコメントが書きこまれたりして…

投稿: cruyff | 2004.01.09 16:11

cruyffさん、はじめまして。社説の執筆者たちはむっとされると思いますよ。でも、本心としてはしっかりしてほしいというのが伝わって欲しいです。ここで言うのもなんですが、各紙のなかで一番死んでいるのは読売です。ナベツネ独裁が主張の器としての新聞をつまらなくしています。中公系にも少しその影がちらつくのがぞっとしますが。朝日は執筆が割れているようです。古い心情サヨクを捨てるべきでしょう。毎日と日経は支離滅裂ですね。どういう執筆者の構成になっているのかわかりません。産経は、あれはあれでいいと思います。ああいうニーズための新聞なのですから。そうそう、極東ブログの過去の記録をまとめて読むのは無謀ですよ(ユーモアを込めて)。


投稿: finalvent | 2004.01.10 08:59

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