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2004.01.07

冬の沖縄 その2

 なるほど「東京ウォーカー」に綴じ込みの沖縄観光の広告が載っていた。紙質がいいので豪華な作りのようだが、いただけないな。広告主は内閣府。総費用は3600万円。それだけお金をかけるなら、沖縄の若い編集スタッフをごっそり東京に呼べよ、すげー面白いのができるから、と思う。
 「東京ウォーカー」には東京の沖縄料理屋の情報もある。めくりつつ、銀座にこんなに出来ていたのかと、少し驚く。料理はどれもたいしたことなさそうだなと思うが、ZENは、けなせない、すりの王様だしね。他、高円寺の抱瓶は写真で見ると、昔と変わってないみたいだ。あまりうちなーんちゅは集まっていないのではないか。総じて、「東京ウォーカー」に出ている店には、うちなーんちゅは客に来てなさそうな気がする。吉祥寺近鉄裏の「琉球」はどうだろうか。
 今、東京に出ているうちなーんちゅはどんな層になっているのだろうか。明治の一世から数えれば、四世、五世か。そうなればもう沖縄の文化から、とぎれているだろう。といって、島のほうでも復帰っ子の世代は、それ以前と文化的にとぎれている。それで沖縄の文化が失われてきているかというと、そうでもない。
 本土には沖縄好きが多い。沖縄通も多い。少し皮肉に聞こえるかもしれないが、現在、観光的なイメージで見せられている沖縄というのは、80年代以降、観光のイメージと共鳴しつつできたものなのだ。端的な話、それ以前のうちなーんちゅは泡盛すら飲んでいなかった。いや、泡盛は飲まれていたが今みたいな上品なものじゃなかった、と言えば、批判されるだろうが、戦後から復帰まではあめりかーの文化であり、戦前の沖縄はまた違ったものだった。
 「東京ウォーカー」のような「沖縄」は本土側のイメージなのだ。そういえば、本土では反戦ソングとして定着している「さとうきび畑」という歌があるが、あんな歌を知っている50代以上のうちなーんちゅはいないと思う。歌の意味も通じないだろう。あの歌に描かれた光景は、沖縄戦からはほど遠い。逃げまどう民衆は「夏の日差しのなかで」はガマに潜んでいた。そのガマで爆殺されたり、病で死んでいった。「鉄の雨にうたれ」というフレーズは沖縄タイムス社が1950年に出した沖縄戦記「鉄の暴風」の連想だろう。「さとうきび畑」という歌はメディアのイメージが出来ている。戦前にもさとうきび畑はあったものの、それが島の「基幹産業」となり、沖縄の風景になるのは米軍の施策の結果なのである。と、くさしたいわけではない。沖縄戦の実態とかけ離れた詩に酔うことは私は不愉快なだけだ。
 復帰っ子たちはある意味、不思議な新しい沖縄を作り出していく。その象徴は、「ちゅらさん」でお墨付きを得た、あの「やまとうちなぐち」だろう。あれならとりあえず、日本の方言にも聞こえるし、現地でも使われている。飲み屋のオヤジ役でも出ていた藤木勇人の指導によるものだが、あれだけでも日本文化史の偉業だ。そういえば、藤木勇人は映画「パイナップルツアー」で爆弾掘っていた彼である。
 話がそれた。「東京ウォーカー」の写真をぱらぱらめくる。「ごーやーちゃんぷるー」は正統。ちゃんとポークが入っている。チューリップ吉。SPAMじょーとー。スクガラスの豆腐は島かな? 「みぬだる」はちと違う。「なーべーらちゃんぷるー」とあるが「んぶしー」だろ、と思うが、豆腐が入っているのが「ちゃんぷるー」の定義であったか。ちなみに「そーめんちゃんぷるー」は「そーみんたしやー」だが、うちなーんちゅにも通じない。いか墨汁(さぎぐすい)はニラ入りかぁ。折り込みのほうのぐるくん唐揚げはじょーとー。この形でじっくり揚げてないと骨は食えない。「ニンジンしりしり」も今やメジャー料理かと思う。これは本土でも定番になっていい、と思うが、本土には、うちなーんちゅの家庭ならどこにでもあるしりしり器がない。
 うんちく臭いのでこの話はやめようと思うが、一つだけ泡盛のお薦めはしておきたい。いろいろ好みがあるだろうが、私のお薦めは八重泉の黒真珠である。泡盛は43度はないと味は出ない。迷うならコレを買え。飲むときは、うちなーんちゅのように水で割らないこと。「からから」を使ってちびちびと飲む。肴はなんでもいいが、「豆腐よう」吉。似ているからといって腐乳はだめ。「六十(るくじゅう)」なお吉、といって、うちなーんちゅでも知る人は少ない。
 冬の沖縄と言えば…雨期である。「東京ウォーカー」などを見て、行こう!と思った人は、天気予報にご注意。これから3月までは1か月以上、陽の目を見ないこともある。そして、意外に寒いこともある。12月22日は、正月。中華圏の春節に同じだが、沖縄では旧正月を祝う地域と、新正運動が行き届いた地域が分かれている。糸満も港のあたりは、しょーがちらしくてよい。この季節美しいものは、きび(さとうきび)の穂だ。これが夕日に映える光景は極楽のようである。ほかに冬の沖縄でなにか忘れたかと、うちなーんちゅうに訊いてみる。
 「あのさ、ふん、これからおきなわに行って、でーじ面白いもの、何?」「桜」……。そうだ、緋寒桜があった。が…あ、すみません。これって本土の人が見ても、美しいものじゃありません。それでも、うちなんちゅーに連れられて北部に行くときは、路脇でタンカンを買うといい。個人的にはクガニ(黄金)のほうを薦めたいが、種が多い。

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