雑煮の作り方
正月なので雑煮の作り方を書く。最初に断っておく。正確な作り方ではない。我流だ。必要なものは、カツオのダシパック、薄口醤油、みりん、餅、小松菜、鶏もも肉、蒲鉾。ニンジンはあってもいい。準備は、ニンジンを薄切り半月で小松菜と一緒に最初に湯通ししておくことくらい。鶏もも肉は食いやすいように切る。炙っておけるならそうするといい。餅はかならず焼き目を入れる。
醤油は薄口がいい。たいていの日本料理は薄口でいい。なのに、なぜか醤油は濃い口のしかも戦時醸造が日本の主流になった。みりんはできれば3年ものがいい。いんちきな発酵調味料とやらに比べると安くはないが酒に比べれば安いものだ。みりんで日本食の味が決まる。餅はちゃんとした餅がいい。ちゃんとした餅がわからなければ、この時期、和菓子屋で売っているのし餅がいいだろうが、量が多すぎるかもしれない。蒲鉾には選択の余地はない。できれば、物にもよるが昔ながらに作っている沖縄のものがうまい。
京料理の福袋 |
雑煮と言えば、村田吉弘「京料理の福袋」にある「雑煮の難儀」というエッセイが面白い。この料亭の三代目は芋頭入りの雑煮を毎年食わされたという。嫡男なので「かしら」を食わされるのだ。でかいらしく、それを3日かけて食うという。食べきれなければ残りが連続して出てくるのだ。
もし、あなたが長男なら、お気の毒なことですわ。あの、誇らしくもみじめな雑煮。
村田は雑煮について、楽しい記憶はないという。芋を食うたなぁという記憶だけらしい。立派なものだと思う。嫡男というのはそうやって育てなくてはいけないと思う。嫡男というのは、父親の葬式を出し、老母と弟・妹の面倒をみることのできる人間ではなくてはならない。つらいものだが、運命だ。
私は嫡男である。祖父が嫡男ではないので、一族郎党の主ではない。父は、戦後で順送りで長男となったので、戦後は長男の役を果たしたが、故郷は捨てた。親を捨てたと言ってもいいかもしれない。そのスキを見て叔父は父が生きている内に家の財産をくすねた。盗人である。が、父はそれを知って耐えた。耐えることで長男たることをことを示した。父は墓を分けた。静かな怒りである。父の死後、叔父が私に勝手を言うので、私は激怒して縁を切った。私が正嫡なのである。私は村田のように嫡男の教育を受けたわけではないが、父が嫡男であればその嫡男は嫡男になるものだ。いくら武家の血を引くからといって、まさか自分自身がそういう古めかしい倫理を持つとは思わなかったが、気が付けばそうなった。私は単純に正義を愛する人間だが判官贔屓ではない。頼朝の立場に立つ。天武天皇を認めない。嘘歴史だと知りながら弘文天皇を是とする。あきれたものだと自分を思う。
元旦、実家に挨拶し、手持ちぶたさなので、昔の書棚から氷川清話を取り出してぱらぱらと読んだ。氷川清話は講談社文庫のものがよいが今絶版だろうと思ってネットにあたると、学術文庫から出ている。日本も捨てたものではない。読みながら、小吉は鱗太郎を嫡男して育てているなと思う。小吉自身は妾腹三男だったが、夢酔独言にはその父が小吉を人としてまっというに生きさせるためにこっぴどく叱る話がある。書棚には夢酔独言があるはずだが探すのが面倒になった。南州遺訓も書棚の奥のようだ。まあいい。それよりもと思い、父の墓参りに行く。
雑煮の話からそれまくった。お年取りの飯の話なども書こうかと思って書き出したのだが、やめにしたい。
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コメント
大変参考になりました。
投稿: | 2007.02.26 18:25
言い方が偉そうだな、お前。
投稿: | 2008.12.29 10:54