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2003.12.26

The Big Read、BBCの読書人気投票

 今朝の新聞各紙社説を見てちと唖然とした狂牛病の騒ぎ一色である。で、しかもつまらないときている。昨日のブログを書きながら気になったのは、日本の狂牛病研究はかなり進んでいるのではないかということだが、社説ではないが産経の記事「8頭目BSE「希有な例」の可能性 自然発症型か遺伝性」(参照)が参考になった。
 社説ネタで今日の話題はない。ブログのネタがないわけでもないが、分野によっては気が重い。RFIDについても阿呆な意見が散見されるようになったので技術的な面から、てめーら馬鹿だよと書いてみたい気もするが、この手の話はリキ入れないと自分のほうが阿呆だし、リキ入れると難しいには難しい。薬学系のネタもある。セレブレックスはどうも関節炎の緩和だけではなく治療効果があるらしいなど不用意に書いてもいかんし(苦しまれているかたが多いのだから解禁しろよ厚労省)。読売新聞系の「抗うつ剤で副作用か、3女性がやけどの症状」(参照)にもあきれた。そう来たか。「スティーブンス・ジョンソン症候群」がやけどの症状かぁ。絶句。ただ、この話題も今日は書かない。
 で、書評だ。といって、具体的な本の話でもない。タイトルどおりThe Big Readだ。なんて訳そうか迷ったが、単語は簡単なのでそのままにした。それにしても、こういう言い方は英国っぽいなと思うし、由来がありそうなのだがわからない(誰か教えてくれというと教えてくれるかな)。話は、BBCの企画The Big Readだ(参照)。年内廃刊の噂に持ちこたえた「ダカーポ」のような野暮な特集でもあるのだが、往々にして欧米というのは現代日本人から見ると野暮なものだ。大衆文化は日本が上位であり、そこに我々は無意識に浸っている。
 リストはすでに出ているので、それを掲載しようというのが今日の極東ブログのネタである。どっかで似たようなことやったよね。
 以下、21位までだ。なんで20位じゃないかについては、英国のエレベーターシステムを考えるとよい(冗談)。それぞれ標題を訳してもいいのだが、記憶を辿って記すと国内での訳本の名称と合わないといった批判がでそうなので、ふける。どっかで、「はてな」とかの読書マニアのかたに日本対応のきちっとしたリストをお願いしたい、っつかそのリストは日本人の読書家に役立つだろう。あるいは、すでにこのネタをきれいに解説したブログはあるのか。
 私は適当なコメントを気まぐれに付けることにする。

  1. The Lord of the Rings, JRR Tolkien
  2. Pride and Prejudice, Jane Austen
  3. His Dark Materials, Philip Pullman
  4. The Hitchhiker's Guide to the Galaxy, Douglas Adams
  5. Harry Potter and the Goblet of Fire, JK Rowling
  6. To Kill a Mockingbird, Harper Lee
  7. Winnie the Pooh, AA Milne
  8. Nineteen Eighty-Four, George Orwell
  9. The Lion, the Witch and the Wardrobe, CS Lewis
  10. Jane Eyre, Charlotte Bronte
  11. Catch-22, Joseph Heller
  12. Wuthering Heights, Emily Bronte
  13. Birdsong, Sebastian Faulks
  14. Rebecca, Daphne du Maurier
  15. The Catcher in the Rye, JD Salinger
  16. The Wind in the Willows, Kenneth Grahame
  17. Great Expectations, Charles Dickens
  18. Little Women, Louisa May Alcott
  19. Captain Corelli's Mandolin, Louis de Bernieres
  20. War and Peace, Leo Tolstoy
  21. Gone with the Wind, Margaret Mitchell

 1位の「指輪物語」はしかたがない。それにしてもこのブームかよと思う。私のいた大学にはこのファンが多くて閉口した。昔ディズニーで変なアニメになったっけな。最近は岩波のお子様向け「ホビットの冒険」はどうなっているのだろう(こちらは25位に入っている)。ちなみに、トールキンは日本民俗学に造詣が深く「ホビット」という名称の由来は「コビト」からできている(大嘘)。
 2位のオースチンのは、ま、そうだ。1位もそうだが、文学っつうより映像だろアホとか言いくさりたくなる。テスがリストが21位までにないのだからね(26位)。でも、テスもナスターシャ・キンスキーで映画だな。とほほ。
 3位の暗黒物質だが、これは日本人にはちと意外? 「黄金の羅針盤」のシリーズ名だ。BBCラジオで人気だった。映画化されるという。新潮から訳本が文庫になっている。日本でもブームになるのか。
 4位ダグラス・アダムスはGoogleにも影響を与えている。旧極東ブログ「Googleに問え。なぜ宇宙は存在し、生命は存在するのか?」(11.13)。
 5位、パス。
 6位、「アラバマ物語」、これについては私は無知。なんでこんな古いものが…。
 7位、プーである。おカマのロビンである。っていきなりディープな話をしてどうする。私はこれが好きなのであえてこれ以上語らない。イッシュー、いけねぇ、くしゃみをしてしまった。
 8位、「1984」!!、これを私に語らせても止まらない。ので、省略。とはいえ、みんな誤読しているぞ、この本はラブ・ストリーなのである!
 9位、「ライオンと魔女」。私は「ナルニア国ものがたり」を確か全部読んだ。忘れた。別人だが、C.D.ルイスもよく読んだ。忘れた。
 10位、「Jane Eyre」、新訳はあるのだろうか。
 11位、「Catch-22」については、大学でうんざり、しかも英語で読まされた。しかたがない。時代なのだ。アイビー出の講師たちはなんらかでベトナム戦争を背負っていたのだ。これがThe Big Readに入っているのは昨今の世相もあるのだろう。
 12位、「嵐が丘」、面白い小説です。宝塚版はないのか。
 13位、「よみがえる鳥の歌」 恥ずかしながら未読。扶桑社って文庫あったっけ。
 14位、レベッカ。「コレリ大尉のマンドリン」と同じ路線か。ちなみに、聖書では「リベカ」だ。
 15位、おなじみのThe Catcher in the Ryeだ。私はこいつを米国版と英国版で読んだ(読まされた)。英米で編集が違っていた。現在はどうなんだろう。
 16位、ボート好きのミズネズミさんがかつての親友モグラくんと東京の地下で大格闘する物語である。もちろん、そうではない。日本では読まれているのだろうか。
 17位、これも映画の影響でしょうね。ふと、「風と共に去りぬ」で心配の夜にディケンズを朗読するというシーンを思い出すが、ディケンズというのは朗読向けのエンタテイメントという意味で現代のメディア志向なのだろう。日本で言ったら、橋田壽賀子か(外しすぎ?)。
 18位、「小さな女性」、そうマニア向け、違う! 「若草物語」である。クリスマス向けだな。
 19位、「コレリ大尉のマンドリン」、日本で言ったら「君の名は」でせふか。なんでこんなの入るのでしょうかね。
 20位、「戦争と平和」です。自慢ですが、私はこれを全部読みました。若気の至りつうか、若いってすごいことです。いまでも、冷えたゆでじゃが芋を食うたびにピエールを思い出します。
 21位、「風と共に去りぬ」。ちなみに、この標題は誤訳。淀川さんが原因らしい。Gone with the Windのwithは「共に」ではないので、センター試験前の諸君勉強せーよ。って、ふと思ったのだが、昔は18、19歳でこの原書を読む学生がごろごろいたものだが。

 ああ、なんか、読書って、こっぱずかしかしいですね。リストを舐めながら、森瑤子のことを思ってちと胸が痛くなる。彼女が生きていたらなんと言うだろう。生きていたら、すてきな婆さんになっていただろう。泣ける。それと、100位までのリストをざっと見ると、古典という意味でイギリスの作家は、大衆向けのディケンズを除けば、ハーディなんだなと思う。予備校時代なぜかハーディの研究家の授業を好んで取っていた。ハーディの文章は難解だが美しかった。先生の名前は講師としてのペンネームではなかったか。「君たち歳をとったらハーディを読みなさい」と言っていた。変な予備校だった。ヘンリー・ジェームスの研究家もいた。そういえば、The Big Readとか言っても、ヘンリー・ジェームスがないのは、英国だからなのか。のわりには、スタインベックなんかも入っているから、こうした大衆的なリストにすると本格的な読書家は消えてしまうのだろう。ちなみに、ジョイスは78位にユリシーズだけ。抹殺されるよりまし。モームは自分で予言したとおり消えた。ヴァージニア・ウルフは昨今入りそうなものだが無かった。ロレンスは一作だけ残る。
 この手のリストを見ていると、自分の脳も回想モードに入ってしまう。私は20歳ころ英文学に関心があったが、英文学なんか勉強する気は毛頭なかった。トリニティ出のクイーンズ・イングリッシュなM先生が「君は英文学に進むのではないのか」と真剣に問いかけたとき、20歳の私ははぐらかした。先生は忘れているだろう。私もそれが後悔になっているわけではない。ただ、これも少し胸に残る痛みである。

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コメント

> 「1984」みんな誤読しているぞ、この本はラブ・ストーリーなのである!

『極東ブログ』読んでて良かったな…という一行。
そーかそーか、あれはそうだったんだ!
たしかに映画もエロかったし…救われました。

  華氏451
  1984
  未来世紀ブラジル
  すばらしい新世界

こうしたモノを読んだり観るたびに、あるかもしれない未来(の寓話)と深刻に受け止めてました(←阿呆でした)…ところが、『1984』をラブ・ストーリーと言い切ってもらったので、すっかりラクになれました…オーウェルはそのつもりで書いたとは思えないけれど(w

…えらく遅くなってコメントしたのは、さいきん『リベリオン』という映画を観たので思い起こしたからです。ええと、全体主義みたいな世の中を二挺拳銃でバッタバッタとやっつけるアクション映画です。
この映画はともかく、ラクになれた一文をありがとうございます。


投稿: (Dain) | 2004.01.29 23:41

あぁ、またやってしまった…ごめんなさい > finalventさん
↑の名無しさんは、私ことDainです。
『この情報を登録する』チェックボックスをonにしときます。

投稿: Dain | 2004.01.30 06:58

Dainさん、ども。オーウェルは1984をラブストーリーを意図して書いたのではないというのは、そうだとわかってはいます。ああいう統制された世界を反照する結果、それと、オーウェルの内的ななにかが結果としてラブストーリーにしてしまったというのがあるのでしょう。

投稿: finalvent | 2004.01.30 10:45

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