« 薬販売の規制緩和はさして問題でもない | トップページ | 学校の生徒を守るのはまず先生だ »

2003.12.18

年金問題をさらに取り上げる

 昨日朝日新聞社説の年金問題を取り上げ批判した。年金問題とは団塊の世代の問題ではないか。なのに、それを結果的に温存するさせるような仕組みの社説に違和感を覚えた。それにしてもなぜこれを論じたのが朝日一社だけだったのか、不審な感じがした。が今朝になって、大手他紙が横並びに年金問題を扱っていたのを見て落胆と安堵を覚えた。安堵というのは、どれも朝日よりはまともな話になっていたことだ。団塊の世代をという隠れたキーワードは出さないものの、世代間の問題に意識が向くようにも書かれていたからである。
 各社説のうち、毎日と読売は文章がぼやけていた。読売のぼやけは小泉のロビー気取りでいるからしかたがないが、消費税アップについては明確に書いているので、苦笑する。毎日の論旨がぼやけているのは朝日寄りというか、プチサヨクの正体見たり団塊さん、ということだ。話のオチを小泉のリーダシップ欠落にもってくるようでは床屋談義だ。
 残る日経と産経は手短に逃げているものの悪くない。これを台にしてもう少し掘り下げてみよう。日経の出だしはよい意味で社説のお手本のようだ。


 自民、公明両党がお互いのメンツを大事にしながら、一方でぎりぎりの妥協も重ねた結果の数字。来年度の年金改革に関する与党の案は、そんな印象を強く与える内容となった。日本の社会の中で年金制度をどのように位置づけるのかという強いメッセージは伝わってこない。これでは年金離れが進んでいるとされる若い世代が、ますます遠ざかっていくのではないか。

 当面の問題として、明確に公明連立と若年層年金離れとしている点はよいだろう。ただ、話の内容は結局、公明連立の問題に終始し、年金問題についてはごく結語で触れているだけになった。

 つまり将来の年金の姿を考えるときには、少子化や雇用対策など他の政策をどのようにするかも同時に論じその道筋も合わせて示さなければならない。また医療や介護といった他の社会保障の仕組みによっても、年金水準のあり方は異なってくる。そうした全体像を見ようとしないで、年金だけの世界で数字のつじつま合わせをしているようでは、国民に訴える力は生まれてこない。

 概論としては確かにその通りで、一つの社説でそこまで掘り下げることはできない。私も、問題の複雑さに溜息が出そうだ。年金問題とは、個別にテクニカルな意味での年金問題の裏に、日本の社会構造の問題の2つが隠れているのだからしかたがない。
 新聞各紙はその社会構造を人口構成的に見ているが、極東ブログとしては、2点、(1)これは団塊の世代の問題である、(1)共通一次試験以降の世代の消費行動の問題である、として今後も考えてみたい。
 産経の次の視点は、すでになんども言われていることではあるが、わかりやすい。

 しかし、負担が五割も重くなる経済界や若い世代の反発が強いため、政府・与党案は上限を二十九年度の18・35%に圧縮した。その結果、給付水準(現在59・4%)は現役世代収入の50・1%程度まで低下する。若手の負担を緩和しつつ、中高年にも配慮した結果だが、まだ世代間格差は大きい。
 たとえば、昭和三十年生まれ(現在四十八歳)は、上限20%なら保険料(自己負担分)の三・五倍支給されるが、18%なら三・二倍に低下する。昭和五十年生まれ(二十八歳)は、20%なら二・五倍、18%で二・四倍だ。

 ようするに今回の改革は団塊の世代対応だと読める。また世代を下るにつれ、ふざけんな的になるのも数字で見える。当然、この数字はさらに低くなる。
 産経はオヤジ極まるのでその面で良いことも言う。

 若い世代もいずれは受給者になるので給付水準低下の影響を受ける。それでも全世代で給付総額が使用者負担を含む保険料より多いのだから、年金が「払い損」になることはない。

 ここを強調したい気になるのは私もオヤジだなと思うが、国というのはそういう存在なのだ。思わず、若年層に向けて「若者たち、君たちはマジで日本が破綻すると思うか? そうなることを見越して社会参加するのか? そうでなければ、年金は払うほうが得だよ」と言いたくなる。そしてそれはおそらく正論なのだが、若年層が説得されるわけでもなく、単純に若年層バカだというわけでもない。若年層の未払い問題は彼らの消費活動の自然な帰結であるとともに、その総体として、団塊世代より上の国家運営に「否」を投げかけているのだ。
 オヤジに説得されて年金を払うやつのほうがずる賢いのであって(団塊の世代のようにローンを背負って銀行の金利に目をまちくりさせた経験がないとわからないだろう)、年金なんかまじめに払えば現体制を温存させるだけじゃないか、もっと現在の生活の強度(快楽)を優先するということで、彼らは結果的にこの体制の変容を求めているのだ。繰り返すが、超資本主義にあっては消費の世代的パターンは明確な政治力なのだ。
 そう書き進めてみて、私は、若年層の消費行動にもっと目を向けるべきではないかと思う。モデル家族(世帯)についても論じたいが、別の機会にしよう。

|

« 薬販売の規制緩和はさして問題でもない | トップページ | 学校の生徒を守るのはまず先生だ »

「社会」カテゴリの記事

コメント

はじめまして、人様のページを勝手に紹介するのも何ですが…。以下の見解なんかも興味深いです。
http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson19.html

年金問題に関しては、この分野だけでの費用対効果みたいな議論が展開されていることにもちょと閉口するところがあります。少子化なら逆に扶養や教育への予算を減らすことで、年金への財源に回すことも検討に入れないといけないとか、みたいな。

投稿: Kavalier | 2003.12.20 20:54

どもです。「反社会学講座」のサイトは既読です。優れたユーモアで爆笑しました。ご存じだと思いますが、このサイトの見解は良い意味でジョークですので、あまりマジに受け取らないようにと老婆心なんがら。年金問題については、岩瀬達哉「年金大崩壊」が必読で、確かにここに至る経緯としては岩瀬の筋でいいだろうとは思いますが、それでも底流にある人口の変動つまり少子化は大きな要因だろうとは思います。このあたり、岩瀬の本をきちんと専門家がどう読むのか知りたいなとは思いますね。あと、子供というのは何人いても支出は変わらないおようです。

投稿: finalvent | 2003.12.21 17:40

年金改悪法案が参議院での審議を経て採決の段階を迎えている。国民にとって最悪の事態が訪れようとしている。この制度がいずれ破綻に追い込まれるということは当初から予測されていたにも拘らず、何とかなるだろうといった短絡的などんぶり勘定で、シンクタンクを入れあらゆる状況を想定しながら十分に検討をしないまま見切り発車した為、起こるべくして起こった結果である。
年金未納、未加入や制度そのものにも問題はあるが、最も重要な問題は、140兆円に及ぶ年金資金の運用にある。その実態の全容について厚生労働省は具体的な数値をまったく公表していない、官僚、政治家、特殊法人がグルになって我々国民の財産である年金資金をあたかも自分個人の金であるかのように、湯水のごとくジャブジャブと無駄使いしている。
わかっているだけで5兆6千億円、それだけではなく役人の公用車、役人の宿舎、報酬にも年金資金が我が物顔で使われている。
皆さん、日本は今無政府状態ですよ。良識ある監督官がいません。小泉政権になって何一つ良くなっていない。全て悪くなっている。
年金は国の直轄機関で、厳正な監査の基運用すべき、且つ年金以外の運用はさせない。関係者に不正があれば、厳罰を課す。
運用実態については、国が公表する。又個人についても申請があれば通知する。このままでは大変なことになりますよ。

投稿: 大和  尊 | 2004.05.31 23:27

国民の出したカネを平気で強奪してふところに入れている社会保険庁は非常に悪質である。実は、社会保険庁は同じような悪の組織をたくさん持っている。彼らとウラでつながっていて平気で犯罪をやっている国保連合会も、国民のカネをこっそり強盗していて非常に悪質だ。国保連合会は相談してもゴウマンで意地の悪いところは社会保険庁よりひどい。まさに彼らのゆがんだ意地の悪さは権力欲にかられた公務員の陰険さそのものである。今回のネコババ発覚についてもカネを強奪した責められるべき社会保険庁の職員は、なんと国保連合会を通じて権力をふるいまくって、被害者の国民に対してさらなる陰湿な報復をやっているのだ。こんなひどい凶悪犯罪者の組織を一刻も早く亡くさなくてはならない。

投稿: かおり | 2007.07.04 05:05

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 年金問題をさらに取り上げる:

« 薬販売の規制緩和はさして問題でもない | トップページ | 学校の生徒を守るのはまず先生だ »