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2003.12.14

農業の所得の直接補償はばらまきでいいじゃないか

 朝日新聞社説「FTA――農業で身を切る覚悟を」はやや意外だった。かなり意外だったというほどでもないのは、標題が明確なのに内容はぼよ~んとしているからだ。朝日お得意のサヨク・反米の文法で読み取るのが難儀な文章だが、深読みはこの際どうでもいいだろう。
 意外なのは、朝日が農業を切るだけの腹をくくったかということだ。そうではないことは、文章のぼよよんでわかる。しかし、本音はそうだ。


総選挙ではどの政党も、高関税や補助金で農家を守ってきたこれまでの保護政策から、所得の直接補償に切り替えていくと公約した。世界貿易機関(WTO)が認めるやり方に変えていこうというのだ。
 問題は、それが自民党の農水族議員らの横車で従来型のばらまきと変わらないものに終わる懸念が強いことだ。

 率直に言って問題の根が深すぎて、簡単にコメントできそうにない。後段、農水族議員云々の話はどうでもいい。所得の直接補償がばらまきを意味するのは現実を知る人間ならわかる。私が何を逡巡しているかというと、日本の地方をどう守るかだ。FTAは日本の存続の要になる。だが、日本の地方をこのまま崩壊させれば、日本がなくなる。妥当なところとしては、地方には税を優遇し、ある程度金をばらまいてもいいのではないかとすら思う。
 朝日の次の言い分はおためごかしだ。

 意欲と能力に満ち、みずからリスクをとる農家に耕作地を集中させる。企業の農業参入も促進する。農産品の流通の大部分をおさえ、補助金の受け皿にもなっている農協の改革を早急に行う。

 これがオヤジの言うことかね。こんなことを言う青年を殴ってやるのがオヤジの役目ではないか。嫌われ覚悟で端的に言う、農家はリスクが取れないのだ。そのインテリジェンスがない。馬鹿な理想をこているんじゃない。足下を見ろ。朝日新聞の社員を下放したほうがいい。
 嗚呼。嘆息するなぁ。サヨクっていうのは、どうしてここまで農民の実態がわからないのか。もちろん、現在の日本に農家など実際にはいない。だが、農民はいる。農民というのは階級なのだ。この階級という言葉が、長いことマルクス主義者に完璧に誤解されてきた。
 階級というのは、クラスだ。そしてそのクラスというのは、Javaのクラスと同じなのだ。けっして貧困層でもなければ、労働者でもない。そう、労働者ではない。労働者とは生産のリソースを持たないクラスを指すのだ。Javaを囓った人間ならクラスの意味がわかるだろう。クラスが定義されてインスタンスができる。個々の農民というのは、インスタンスなのだ。
 マルクスの資本論は本当に左翼に読まれてきたのか? レーニンのようなお銚子者の実務家というのは歴史には必要だが、彼はけして理論家ではない。エンゲルスは解説者であってマルクスの思想を知っているわけでもない。マルクスは生産のリソースを持たない労働者というクラスを社会主義革命の起点とした。だから、敵は資本家だけではなく、生産リソースを持つ農家も含まれるのだ。農奴なんておためごかしの概念を出すんじゃない。その点、スターリンは農民が敵だという単純な骨太は理解している。だから、農民を虐殺したのだ。そんなことが社会主義の理想とどうつながるかなどわかってもいなかったが、レーニンのクーデターが社会主義革命だと思いこめば、その理想に実態を合わせようとしただだけだ。ま、そんな背景話もどうでもいい。
 農民というのはクラスだ。だが、日本という超資本主義の世界ではそれらはもはや階級闘争的な問題ではない。もちろん、それではナショナルな問題はどうするのかという問いはあるだろうが、ああ、ややこしいが、農民を滅ぼせば日本を失う。

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コメント

民主党は生産農家の生産費と市場価格との差額を各農家に国民の税金から支払う「戸別所得補償制度」を創設するとして、参議院選挙で農家票を獲得した。これによる国民の税負担は年間約1兆円。人件費などの生産費を上げるほど収入が増える。国民は高価格の農産物を買うことになるから、それによる国民負担は年間約2兆円。民主党は合計約3兆円の負担を国民に課する。

投稿: 獅子頭 | 2007.08.05 11:16

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