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2003.12.12

なんとなく思う脳機能のこと

 日付上は昨日になるが、11(木)ラジオ深夜便午前1時「人権週間インタビューシリーズ『本当の自分を生きたい』」で埋橋里衣さんが話された「"覚えられない私"を知って!」が興味深かった。外観からは普通に見えるのだが、高次脳機能障害を負って生きる話がたんたんとしているものの痛切に感じられた。
 私は高次脳機能障害の定義がよくわからない。手元のメルクマニュアルを引いても載っていなかった。メルクはあまりこういうシーンで役に立たないことが多い。ぐぐると、毎日新聞のサイトの「ことば」にあった(参照)。


高次脳機能障害
病気や事故などの外傷で脳が複雑なダメージを受けた結果、脳の高次機能である言語・記憶・感情等の機能に生ずる障害のこと。脳神経のつながりが絶たれるなどして、記憶力や注意力が低下したり、感情がコントロールできなくなったりする。従来救命が難しかった症例でも医学の進歩で意識回復できるようになったために、生まれた「新しい障害」とされる。

 最後の文章が間違っているようにも思う。だが、今回はそれは問題としない。気になるのは、言語の障害が筆頭になっていることだ。これには、「日本失語症学会」が「日本高次脳機能障害学会」と改名したことの影響があるのだろう。国内におけるST(言語聴覚士)との対応も気になるが、今一つよくわからない。ただ、率直な印象だと、現在の日本社会における高次脳機能障害の問題は、言語治療とは一線を画すだろう。現状のままでよいのだろうか。
 社会的には高齢者の脳卒中の後遺症のように思われているふしがあるが、交通事故などが原因で若い人にもある。支援団体「高次脳機能障害若者の会『ハイリハ東京』の主張」(参照)は参考になる。

中でも、自分の人生をこれから築くという時期にある、「若い世代の高次脳機能障害者」は、多くの障害に取り囲まれています。

 こうした問題をどう社会的に考えていけばよいのかよくわからない。
 話がかなり脱線する。こういう脱線はよくないのかもしれないが、自分も30代から40代後半に差し掛かり、若い時とは脳の働きが違うなと思うことがある。よく言われる記憶力の低下や集中力の低下もある。それは日常に支障を来すわけでもないし、健全な老化の一端と言えないこともない。むしろ、私などは、若いときはこういうのは恥ずかしいことなのだが、強い感受性で苦しんだので、老化による鈍化でちょうどいい。気になるのは、そうした一般的な話ではなく、なんというか、物の考え方や関心の脳処理が、もどかしくうまく言えないのだが、歳とともに変わってくる感じなのだだ。多分に脳の劣化なのだが、たんに劣化なのかもよくわからない。
 先日三島由紀夫が自分の歳に自殺したことに気が付き、ああ、この歳だったのかとも思うのだが、歳とともに、自分の、魂とでもいうのかなにかが変成してくる。魂というより、端的に脳機能だろう。日常の些細なこと、記憶の遠近感が狂う。10年昔と20年昔がきちんと遠近法的に記憶されていない。なぜ生きているのかといったなんとも根元的な悩みが、常時きつく脳に負荷をかけているようだ。もっと端的な話、なぜこんなブログを書き始めたのかも、脳の問題が関係しているような気がする。
 4か月ほどブログを続けて思うのは、一面ではある苦しみから解放されたことだ。脳がすっきりというのではないが、それなりに世界に向き合ってその不正の怒りを言葉にして確認しないでいることが実存的な苦痛だったと気が付いた。
 もう一点は、自分の多面性を表現せずにいられない。そんな多面的な人間でもないと思うだが、自分の内部の人格とまでもいかないまでも、知的な志向を、ある意味、野放図に開いてみたいとも思っていたようだ。ブログとの関連はそのくらいだろう。
 しかたがないなというレベルの脳機能の微細な変化もだが、もっと危険な変化を内包しているような恐怖も感じている。うまく言えないのだが、人生の過程でおそらく誰でも、ある程度、人間というのは孤独なものだと胸にひりつくように得心するものだが、それがそれで終わらない。精神的に苦しい。もちろん、社会関係や各種の直接的な愛情のつながりのようなものが私にもある、というかそれをよすがに生きているのだが、どうも、その孤独は脳のなかで現実の知覚や処理に悪い影響を与えているような気がするのだ。
 高次脳機能障害の話の文脈にまぜるような述懐でもないのだが、高次脳機能障害者の問題の話を聞いていると、それとは違うがそれに似たなにかが自分に、いつも、思い当たる。

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