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2003.12.08

外交官殺害関連の誤報について思う

 今朝の日経新聞のコラム「春秋」が在イラク米軍の誤報に触れていた。最初に断っておくが、私がこの件でわかることはなにもない。有益な情報はゼロだ。


 どうもふに落ちない。現地の米軍は、なんであんな間違いを公表したのだろうか。奥大使と井ノ上書記官は、飲み物や食べ物を買うため、車を降りて売店に向かう途中で銃撃されたと――。日本への通報だけでなく、海外のメディアにも、公式に伝えていた。

 そう、確かに腑に落ちない。腑に落ちないといえば、事件当初テロか物取りかという議論を延々とする人々がいたことも腑に落ちない。まあ、そうやっていけばキリがない。当面の腑に落ちないは米軍の誤報についてだ。
 日経としては、「不用心な行動でもの盗りに襲われた、などという誤った印象を世界に与えかねない」と米軍を叱るのだが、日経と限らず日本のジャーナリズムにその資格はないだろう。また、発表の訂正が遅かったとしても、そこに意図があると分析できているわけでもない。6日の日経新聞によると、こうだ。

奥克彦大使と井ノ上正盛一等書記官が襲撃された状況をめぐって、米軍は事件発生後、2人が食料などを購入するために車両を降りた際に銃撃されたと発表、同省にも伝達していた。
 しかし、目撃情報や車体の左側に弾痕が集中している状況などを踏まえ米軍が再調査した結果(1)車は道路脇のくぼみで発見され、近くに売店はなかった(2)2人が売店で襲撃されたとの報告は、地元住民による誤った情報に基づくものだった――ことが判明したという。

 当たり前のことだが、ことは日本の問題なのだから日本の責任ではっきりさせなくてはいけないので、日経のように米軍に八つ当たりするのはフェアではない。で、問題は、どうやら素直に取る限り、米軍は地元市民から話を聞いて垂れ流した、そしてそれ以上の責任なんかないよというわけだ。
 田中宇のように深読みする問題でもないのだろうし、こうした米軍情報のあり方自体を非難してもしかたないだろう。日経コラムではこの話に「大量破壊兵器」の情報もいいかげんだったじゃないか、とつなぐのだが、坊主憎けりゃといったたぐいだ。
 ニュースの考古学的な考察としては、1日の読売ニュースが参考になる(参考)。
 さて、ちょっと話の向きが変わる。気になる話がある。事実だというわけでもない。30日の産経新聞だ。

 警察官は「奥参事官は頭部と顔面に被弾しており、左の脇腹にも弾痕があったが、現場に着いたときにはまだ生きていた。井ノ上書記官と運転手は既に絶命し、手の施しようがなかった」と言って天を仰いだ後、「現場に薬きょうが落ちていなかったのは腑に落ちない」と首をかしげた。

 もしそれが事実ならなにを暗示しているのだろう。両氏は解剖され、5日の毎日新聞にはこうある。

 警視庁が5日、イラクで殺害された奥克彦大使と井ノ上正盛1等書記官の遺体を大学病院2カ所で司法解剖した結果、奥大使は左側射創による頭がい内損傷、井ノ上書記官は左胸を撃たれ、動脈を損傷したことによる失血死だったことが分かった。警視庁は弾が体内に残っていたかどうかについて「コメントできない」としている。

 弾丸の有無はどういう意味を持つのだろうか。恐らく、兵器の特定ができ、背後組織がわかるはずなのだがそこを避ける理由があるのだろうか。5日のTBSニュースでは銃弾は体内に残っていたとしている(参考)。

銃弾が体内にそのままとどまっていたことから、警視庁は、車の防弾ガラスで銃弾の速度が落ち、2人の体を貫通しなかったと見ています。

 冒頭に引いた日経のコラムでは「現実には、犯人たちは車で、高速走行中の車に並びかけ、強力な自動小銃を撃ちまくった」と書くのだが、確定されているのだろうか。同じく、TBSニュースにはこうあった(参考)。

車を追い抜きざま、瞬時に自動小銃およそ30発を正確に命中させるという手口。これが、ムハバラートの教本の内容と一致しているとも指摘されています。

 読みづらい文章になって申し訳ないが、そのあたりが現状わかる限界なのだろうか。と、書いてみて、ようするに私はある種の物語をそこに読み取ろうとしているし、その割に物語を裏付ける事実はそれほど確かではないことに気が付く。
 物語が無意味だとは思わない。むしろ、この問題は天災でもなく、「イラクは危険よのぉ」で終わる話ではないのだ。犯人は絶対にいるのであり、その犯人を捕まえてふん縛って日本の裁判にかけたるわいというのが物語のオチでなくてはならない。
 だが、なんとなくだが、すでにそういうオチは回避されている気がする。なぜそんな雰囲気が漂うのだろうか。その雰囲気とメディアと事実と報道の関連がありそうだと思うのだが、何かがわからない。その何かがとても気になる。
 情報操作といえば話は単純だし、外務省がなにか隠蔽しているのだと考えても単純だ。だが、そういうことなのだろうか。少なくとも、物語は完結していないぞという視点だけは誇示して各種の情報の流れを見ていたいと思う。

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