朝鮮民族の起源を考える
韓国の新聞東亜日報の社説で以前朝鮮史五千年という話がマジで語られているのに仰天したことがあるが、それ以前にそこでの朝鮮民族という概念にも驚いた。私はどう考えても、朝鮮史は新羅統一をもって始まると考えていて疑ったことがなかったのだ。盲点があった。もちろん、統一新羅以前の古朝鮮を否定するわけではないが、古朝鮮の民族的な状況についてはあまり考察したことがなかった。理由は意外に単純だ。歴史学者岡田英弘から直接、前漢時代の東ユーラシア大陸の「朝鮮」は現代の朝鮮とは違うという話を直接伺って、疑念すら持たなかった。気になって手元にある岡田の著作を読み直したが、はっきりした言明が見つからない。もしかすると私の聞き違いかもしれない。それにしても、疑念すら持たなかったのは、百済が日本と同様に越人の起源を持つだろうと思っていたからだ。つまり、統一新羅以前には朝鮮民族の単一的な起源はないだろうと単純に考えていたわけだ。
現状でも、その考えが違っているとも思っていない。また、くわしく考察できているわけでもないのだが、メモがてらに書いておきたい。
史記によれば周の武王が殷を滅ぼしたとき、殷の最後の王である紂王の叔父箕子は現在の朝鮮に封ぜられたとある。これがいわゆる箕子朝鮮だが、殷自体が伝説なので史的考察の対象とはなりにくい。箕子は燕下の喀喇沁のキ(己其)侯をさすと見てよいので、朝鮮半島北部は燕下にあったことだろう。
その後漢代に、燕人満(衛満)が部下とともに東方(半島方面)に亡命し立国したた。そのおり当地の民族衣装をきて紛れたというが、これを現代韓国の史学者は朝鮮族の服(椎結蛮夷服)だと考えている(参照)。
満は現在の平壌を都とし、当地の真番、朝鮮、臨屯を服属させた。これが衛氏朝鮮(衛満朝鮮)である。衛満は漢の外臣扱いとなったが、その孫衛右渠は漢に敵対したため、漢によって滅ぼされ、楽浪・玄莵・臨屯・真番の四郡が置かれることになった。完全に中国下になったわけである。これがBC108。
四郡の位置についてだが、岡田英弘は現在の朝鮮半島を分割するように比定しているが、井上秀雄は現在の北朝鮮に比定している。岡田が正しいようにも思われるが、井上の説が正しいなら、以上の古朝鮮の歴史は現在の韓国の地域とは関係のない歴史なのかもしれない。
韓人については、BC44に真番の原住民として現れ、後の辰につながる。
建武二十年、韓人廉斯人蘇馬[言是]等詣樂浪貢獻。【廉斯、邑名也。[言是]音是】光武封蘇馬[言是]爲漢廉斯邑君、使屬樂浪郡、四時朝謁。 靈帝末、韓、wai[扁水旁歳]並盛、郡縣不能制。百姓苦亂、多流亡入韓者。
高句麗が出現するのは先の井上はBC37ごろとするが、そうだろうか。いずれにせよ、後漢の衰えとともに高句麗が現れるのであって、檀君建国とはつながりようがない。また、以上の流れから見て、衛氏朝鮮をもって朝鮮民族の歴史起源とするのもやはり無理があるようには思われる。
話は飛ぶが、現在中国域吉林省、黒龍江省、遼寧省など東北三省に二百万人の「朝鮮族」がいる。この人々の由来は現在の北朝鮮の朝鮮人と異なるものではないだろう。歴史的には10世紀に滅亡した渤海遺民かもしれない。日本の併合から逃れたとも言われているが、そう言われれば政治問題なので日本人による否定は難しいだろう。
鴨緑河で北朝鮮の国境が引かれたのは、中ソの蜜月時代と北朝鮮がもとからソ連の傀儡国家として生まれたことによるのだろう。
朝鮮の置かれた歴史状況に同情すると言えば、朝鮮人からは嫌がられるかもしれない。私はいずれなんらかの形で、半島に統一朝鮮が出現し、日本と並べる一億人の近代国家になるだろうと思っていた。だが、古朝鮮を巡るナショナリズムの動向を見ていると、そうならないのかもしれないとも思う。中国は現在東北工程によって中国域内の朝鮮族の中国化を進めている。そして、中国は突き詰めてしまえば、歴史的に朝鮮を独立した国家と認めているわけでもない。統一朝鮮はつねに中国と対立しつづけるだろうし、その対立は民族を分断させるだろう。
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コメント
>殷自体が伝説なので史的考察の対象とはなりにくい。
ほー。
投稿: 感心 | 2006.11.06 21:06
昔、高句麗でアホや犯罪者を集めて「朝鮮」と呼んだ。
そして半島に追放した。彼らは「悔しい」と思ったので
自分たちを高麗とし、高句麗から別の言葉を使えと言われたので朝鮮語(ハングルの前身カングルを与えられた)。それでも気に入らないと改良(正しくは改悪)して
現在のハングルとなった。そして漢字を読めも書けもしない程度の頭脳だったので表音だけ出来るハングル文字を作った。これが後に朝鮮人野蛮化の原因になった。
漢字を読んで書けていたらもう少しマシな頭になっていた。その後も反省せずにただ生きるためだけに繁殖を大目標にした。いわゆる『強性大国』を目指したのだ。
結果だれかれ無しに女性を襲う習慣が生まれ、DNAにまで刻まれた。つまり姦国の成立だ。それを何とかしないとイケナイと日本が任那を建国し朝鮮族の再教育を試みたが相手ががついてこられず、あきらめた。馬鹿馬鹿しくなったのだ。ここでクダラナイと言う言葉が生まれて、ちょっとだけマシな朝鮮人が百済を建国した。
実にクダラナイ。地球の恥である。
「お兄さん早くやれえ」と言う言葉が後に「アニョンハシムニカ」と言う挨拶言葉の語源である。「アニョンハセヨ」は「お兄さん早やくやって」で同じである。
口でやった場合のお礼の言葉は「噛むと酸味だ」から
「カムサンニダ」と言う言葉が出来た。
以上は中国史書『属国顛末書』に書かれている
(現在発禁処分)。
続きを希望する方があれば続編を書き込む用意はある。
投稿: 難子(ナンジャ) | 2012.05.07 20:40