奥克彦さんと井ノ上正盛さんを悼む
うかつだった。こんな事件が起きていたことも知らなかった。イラクで日本人外交官2人殺害されていた。殺害された奥克彦さんと井ノ上正盛さんを悼む。
奥克彦さんといえば、外務省のホームページで「イラク便り」という連載を執筆されていたかただ。日本国の立場に立つということで抑制されてはいるものの味わいの深い文章が多かった。パンの値段の話なども面白かった。戦争というとつい飢饉を連想しがちだが、食糧事情などもいきいきと伝わってきた。ドラマ「おしん」放映の話なども些事のようだが、大きな意味を持っていたことだろう。
連載で痛切なのはデ・メロの殺害であり、また彼にとって深い意味をもっていただろうユニセフのクリス・ビークマンの死だ。
正面玄関に出てみて、「この辺で、UNICEFのクリス・ビークマンが亡くなってしまったのか。」と思いながら敷地を出ようとした時、信じられないことに1枚の名刺が目に留まりました。クリスの名刺です。拾い上げてみると、"My Japanese friend, go straight ahead!(我が日本の友人よ、まっすぐ前に向かって行け!)" と語りかけてくるようです。
「今度は日本人がターゲットか?」じゃない。すでにターゲットなのだ。NHKのニュースによれば奥克彦さんは狙われていたようだし、待ち伏せされていたようだ。
この事件のため、岡本行夫首相補佐官はイラク訪問を見送ったとのこと。腰抜け、と言いたいところだが、そう単純な問題でもないだろう。
奥克彦さんの意志を汲めば、テロに屈してはいけないことになるだろう。だが、そういう意気込みだけでなんとかなるものでもない。日本を取り巻く状況は一変したのだから、それにプラクティカルに取り組む必要がある。
| 固定リンク
「時事」カテゴリの記事
- 歴史が忘れていくもの(2018.07.07)
- 「3Dプリンターわいせつデータをメール頒布」逮捕、雑感(2014.07.15)
- 三浦瑠麗氏の「スリーパーセル」発言をめぐって(2018.02.13)
- 2018年、名護市長選で思ったこと(2018.02.05)
- カトリーヌ・ドヌーヴを含め100人の女性が主張したこと(2018.01.11)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント