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2003.11.28

産経新聞さん、ポチ保守ではいられないよ

 産経新聞を読んでいると小林よしのりが「ポチ保守」といったことがよくわかるなと思う。それでも曾野綾子と高山正之の話が読めているうちはよかったが、合理化やデジタル化を進めていくうちに、あれ?内容も劣化しているじゃんかと思った。台北でも読める日本の新聞だったが、なんだかなこりゃダメだなと思った。
 のっけから脇道にそれる。多くの知識人は小林よしのりを右傾化を甘く見つもって馬鹿にした。が、ざっとみても全滅だった。かく言う私も、小林よしのりに傾倒はしない。批判的立場かというと、どっちかというとそうなる。なにせ、彼の歴史認識、特に日本の国家起源の神話解釈は大間違いでその上に国家観が成りっているという古色蒼然には辟易とする。彼の愛する「日本」イメージは近代化の疑似物に過ぎない。だがそれでも、白黒つけてくれと言われたら、私は小林に与しよう。それに加えて、最近の「ゴーマニズム宣言SPECIALよしりん戦記」を見ても、特にどういう印象もないが、冒頭の小児喘息の話だけは深く共感している。私事だが私もそうだったからだ。私については彼ほど元気に生き延びた感じもしないが、とにかく生きてきた。この思いは率直に言って同じ経験者でないとわからない、という意味で小林よしのりを深く支持するだけだ。もちろん、そんなことは言うべきことじゃあない。なのにそう言ってしまう私は孤立して暴走しているのであり、小林もそうなのだろうなと思う。
 話をポチ保守に戻す。今朝の産経新聞社説「駐留米軍再編 抑止力への悪影響避けよ」はポチ保守のトホホが極まった。端的に言って、「在日米軍さん縮小しないでね、お願いだから、うふっ」というのだ。もちろん、この在日米軍縮小という大問題を社説で取り上げたという点は評価したい。日本人が在日米軍を無視して生きていること自体問題だからだ。
 在日米軍は日本を未だ占領下におくためのものだ。今でも白人は日本人を怖いと思っているから、そうじゃないと日本の首に匕首を突きつけてくださっているのだ。もっとも、それがなければどうなっていたかという話もあるし、ポチ保守が現実主義なのだというのもわからないではない。また、小林よしのりはアイビー出の本格的な米国のインテリを知らないから米国の真の怖さを知らない面もある。もっとも知って田中宇みたいになってしまうのもなんだかなだけど。あいつらの頭の良さに向き合うなら二歳から千字文を書き、四歳で四書五経を読み、六歳で「葉隠」を読むという素養が必要だろう。話がいつのまにか冗談になってしまった。
 問題はこうだ。問題を明確に書くという点で産経新聞は朝日新聞より明確に優れている。


 ブッシュ米大統領が世界に駐留する米軍の配置見直し協議に着手するとの声明を発表した。対テロ戦争に迅速かつ柔軟に対処するため、在外の米軍兵力を変革・再編すると同時に同盟国の役割の拡大などを求める内容になるとみられ、日本の安全保障にも大きな影響を与えるのは必至である。

 これは事実と正当な推測だ。だが、その先、その編成変更に日本が及ばないと主張しているのは変だ。以下の話は、表層的にも変だ。

 約四万人の在日米軍の中核は、沖縄に駐留する約二万人の第三海兵遠征軍など、機動性に富むため、在韓米軍見直しとは一線を画すとみられる。
 だが、国防総省が駐沖縄海兵隊を豪州に移す案を検討と米紙が報じている。一方的な米軍の抑止力低下は日本の安全保障の根幹を揺るがしかねない。北朝鮮の弾道ミサイルなどの脅威に対し、在日米軍は、自衛隊が持たない「矛」の役割を担っているだけになおさらだ。沖縄の負担軽減とのバランスをいかに取るかである。

 率直に言う。「在韓米軍見直しとは一線を画す」のはソウルが火だるまになったとき、米兵を巻き込まないためだ。そして、在沖米軍を含め今回の東アジアの戦力見直しは、冷戦終了時に既決の事項だった。ぐずついたのは、北朝鮮問題と将来的な中国との問題(つまり台湾問題)が背景にあり、そんなおり沖縄が暴走したのでさらにぐずったというだけだ。北朝鮮の現状は大きな問題だが、米国が死守するほどの意味はないと判断されている。戦争になっても北朝鮮の勝ち目はない。問題はソウル市民が大量に殺戮され、中国と日本に大量の難民が流れ込むことだが、このあたりで米国は困るか。困らないんじゃないのぉという冷酷な判断なのだ。
 台湾問題は大きいし、日本をあまり痛い目に遭わせると、経済的に米国への貢ぎ君の機能がへたるのでそのあたりのバランスは難しい、というのが米国の本音。
 現実をどう日本の国益に利益誘導するかは、端的に言って日本側の軍事の問題じゃない。軍事オタクは要らん。日本の自衛隊は所詮戦時に米軍の末端でしか機能しない。米軍下に組み入れらるのだから、日本が軍事面で議論することは畢竟末端の戦略にしかならない。
 問題は日本の政治だ。このあたりの問題を直感的に把握して大局でさばけるのは小沢しかいないと思うし、小沢には最後に泥をかぶってお国への勤めをしてもらうしかないだろう。国難を円満に解決することなど不可能だということをハラから認識している政治家でなくてはダメだ。
 日本を守るのは、日本の経済力だし、それを眺望的な国家戦略で動かせるのは政治であって軍事ではない。今、政治的なメッセージを国外に向けるよう示唆することが本来の産経新聞の社説でなくてはならなかったはずだ。

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