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2003.11.24

イラク派兵はしなくてもいいのかもしれない

 このブログでは日本のイラク派兵問題について扱ってこなかった。理由は、あまり関心が向かったこともあるし、率直のところ、この問題がわからないという理由もある。極東ブログ開始以前の話ではあるが、私はイラク戦争賛成の立場を取った。その認識は、今にしてみると多くの間違いを含んでいた。そんな私に、それ以上の考えを表明する資格があるだろうか。
 くだくだと言えないこともない。だが、現時点で考えなおして、イラク戦争に反対すべきだったと言えるか。これも率直に言うとノーだ。大量破壊兵器の認識において私は間違っていたが、フセインがイスラエルを突く可能性と独仏露の悪事(兵器輸出や裏の石油取引)を放置しておくわけにはいかない。結局、今でもあの戦争を肯定している。糞、馬鹿野郎、ラムズフェルドとも言いたいところだが、そこまでの資格はないだろう。
 イラク派兵についてどう考えればいいのだろう。賛成または反対? 率直に言うと、反対ということはありえないんじゃないかと思っていた。イラク戦争の賛否に関わらず、過去には戻れない。事実は日本は米国の属国のように参戦したということだ。そして国としてその責務というものがある。むしろ、どのように派兵するかというプラクティカルな問題になるのはしかたがない。政府はどう派兵するかと考えていることだろう。特に、岡本行夫とか。
 現状の日本の政府を見ていると、小泉は日和まくっている。ここで派兵して死者が一人でもでようものなら、政権が一気に沈没という目を読んでいるからだ。しかも、その読みは間違いない。こんなやつが総理なのか。一端政権を民主党に移して、小沢に仕切り治しさせればよかったなぁ、にっぽん、と思うが、空しい。
 別の可能性も考えよう。派兵反対の理由はどうか。率直な話、私でも思考が止まる。呪縛だ。日本は戦争をしてはいけないとまず考える。ま、それ自体は間違いはない。
 というわけで、話がサマにならないこと限りない。
 そんななか、先日NHKの「あすを読む」を見ていて、各国の派兵の状況を解説した地図を見ていろいな思いが去来した。たしか、全世界で35か国がイラクへ派兵していた。おやっ、そんなにも派兵しているのか?と思った。
 そういえば、イタリア兵士の殺害の際、イタリアが三千人規模で派兵していると聞いて、思わず、へぇとか言いそうになってしまった。ポーランドの派兵についてはEUとロシアとの関係でワッチしていたので知っていたが、イタリアについては関心を払ってこなかった。己の頭をポカポカ叩きたくなるほどの無知丸出しである。「あすを読む」でウクライナが千五百人ちかくも派兵しているを見て、これもへぇとか言ってしまった。無知ここに極まれりである。
 他に、トルコ、韓国、オーストラリア、スペインあたりは、だいたい目配せしていたので、びっくりもへぇもなかったが、イタリアとウクライナはなぜなのかわからなかった。そして、残りの30か国近い国っていうのも、どこなんだと考え込んでしまった。
 いろいろと想像はつく。イタリアは派兵が多いが、あの国はもとからそーゆー国なのだ。枢軸をさっさと抜けてしまって国連の敵国にもなっていない。やるよな、アミーゴ。ウクライナのほうは、あれはカトリックの国で、もともとソ連にいるべき国じゃない。ロシアともうまく行くわけない。となるとポーランドのように他方のパワーである米国につかないといけない。
 30か国近くの派遣国ってどこだ? というわけで、ぐぐってみたのだが、意外に情報がない。が、かなり古い赤旗に載っていた。なんだかとほほである。標題もとほほだ。「イラク派兵は世界の少数派」(参照)。そりゃ、言い分は表向き間違っているわけでもない。


イラクに派兵している国はイラク戦争に参戦した米英、オーストラリア、ポーランド以外では三十二カ国にすぎません(別表)。米国が要請した約七十カ国の半分以下です。百九十一カ国を数える国連加盟国で少数です。しかも、派遣軍の役割は圧倒的な兵員を擁する米占領軍の補助です。
 千人以上の兵員を派遣している国は、米国と、一万三千人の英国を除いて六カ国。七日やっと議会の承認を得たトルコを入れても七カ国にすぎません。残りの多くは、米国の要求を拒否しきれず派兵したものの、その実態は象徴的派兵。

 しかし、そう言うかぁフツー? ま、たしかにその実態は「象徴的派兵」というのはそうだろうとは思う。と、同ページに派兵国の一覧があった。あえて、20位から引用する。

 20 ノルウェー    179
 21 モンゴル     160
 22 アゼルバイジャン 150
 23 ポルトガル    120
 24 ニカラグア    113
 25 リトアニア    100
 26 フィリピン     80
 27 スロバキア     80
 28 アルバニア     70
 29 グルジア      70
 30 ニュージーランド  61
 31 クロアチア     60
 32 リトアニア     50
 33 モルドバ      50
 34 エストニア     43
 35 マケドニア     37
 36 カザフスタン    25

 ふーんという感じだ。見ていて、こーゆーのは悪くないじゃんと思った。ちなみに韓国はこの時点では675人。もちろん、増員は求められている。オーストラリアが1000人。とすると、日本は金も出すのだから、1000人派兵というのはけっこう妥当な線だ。イタリアのように人は出すけど金は出さないという国もあり、日本のように金は出すけど人は出さないという国も…恥ずかしいがあっても不思議ではない。
 いずれにせよ、こうして見ると日本が派兵しても、実際のところ、米英に比べれば、言っちゃ悪いけど、おみそである。実践的な意味あいなどない。こりゃ、ここは派兵をどたきゃんして後で金を積んだらゴメンネーで済む話のようだ。
 ……なんだかそれでもいいように思えてきたぞ。
 それと、小沢のいうような国連常接軍の設置というのは、このおみそクラブをかき集めることになるので、そう考えると非現実的かも……いやいや、かき集めればせいぜい5万人くらいにはなりそうだ。それだけ束ねれば、米国からも10万は引き出せるから、国連常接軍というのは夢ではないかもしれない。

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コメント

イタリアが米英に次ぐ規模の派兵をしていた、ということは日本では知られていませんね。イタリアは、日本と同じ敗戦国で大した軍事力はないものと侮られていたようですね。

ところが、国連レバノン暫定駐留軍では参加国中最大の3000人を派遣するなど、伝統的につながりの深かった中東諸国に対しては大きな軍事的影響力を持っていると見るべきなのかもしれません。特にイラクに対してはサダム時代に海軍の艦船を提供していることなど特に安全保障上重要視していると思われます。

おそらくはイラクの場合、政教分離の観点から隣国イランのイスラム革命が欧州にまで影響を及ぼすのを止めるために肩入れしたのでしょう

投稿: ぴっころ | 2013.03.30 16:10

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