« 浅田彰・山形浩生論争? | トップページ | イラク派兵はしなくてもいいのかもしれない »

2003.11.23

田中康夫・浅田彰呆談の小感想

 先ほど浅田・山形の話を書いて、それ以上に田中康夫・浅田彰呆談には関心がないのだが、ついで読んでみた。「呆談」とはよく言ったもので、大上段に批判するような内容ではないだが、田中康夫の次の発言に多少ひっかかった。


朝鮮半島に関しては、そこにこそ日本の皇室の起源もあるというのに、日本人は蔑視するんだね。

 うっ、それって「と」でしょ? 公人がいきなり「と」かよ。確かにそういう説はあるし、私などもそうした説に近いのだけど、(1)公人が言うこっちゃない、(2)「呆談」でも抑制して語るべき、だと思う。桓武天皇の母高野新笠が百済系だという話が「美味しんぼ」でへぇ~ネタでずっこけたことがあったが、そんなの誰でも知っているって。そして、それをもって皇室の起源とはいえない。そういえば、昔、浅田も似たようなことを言っていた、が、今回はそのフォローはしてない。
 ついでに浅田の次の発言も、ずっこけた。

チベットに対して中国がやってることなんて、パレスチナに対してイスラエルがやってることとあんまり変わらないよ。それについては石原も言ってるけど。

 間違いではないけどねぇ。違うよ、すごーく。ディテールを指摘するのはメンドイけど、知識人だったらもう少し正確に言わないと…。
 さらについでに。浅田の発言。

あるいは、ミャンマー(ビルマをミャンマーと呼ぶべきだっていう軍事政権の主張を安易に認めたのは問題なんだけど)の軍事政権がアウン・サン・スー・チーに対してやってることはいいのか、と。日本は、あの国に対する最大のODA供与国なんだから、もっと圧力をかけるべきだよ。

 これも間違いではないけど、浅薄だなぁ。英国統治下で印僑・華僑を入れてめちゃくちゃにされたビルマ族の苦しみっていうのも考えないと…。
 細かく指摘するといろいろ言えるんだけど、「呆談」だものなぁ。でも、こんな「呆談」ありがたがっちゃう人っているのでしょうか。
 それにしても、ヤッシーは「と」かぁ。

追記11.29
 天皇家の起源について2点コメントを戴いた。概ね論点は、「朝鮮半島に関しては、そこにこそ日本の皇室の起源もある」という田中康夫の発言を私が「と」つまり、トンデモ説とした点にある。再考して思うのだが、この田中康夫の発言は史学的に確立していないし、外交や政治がからみがちな問題を公人は放談で言うべきではないという点に変更はない。だが、「トンデモ」とまでは言えないかもしれないと譲歩してもいいかもしれない。というのは、これがトンデモなら、江上波夫著『騎馬民族国家』中公新書147もトンデモということになるからだ。江上学説は事実上、日本史学では無視されているので、その意味では、すでにトンデモという評価があるとも言えるのだが、テーマを除けばいわゆるトンデモ説の度合いは少なく、日本史学自体が非常に問題が多いので、史学の定説が常識的に見てあまりはっきりしたものではない。特に推古朝の扱いでタリシヒコの存在を無視しているあたり、日本古代史はまともではない。

[コメント]
# 通りすがり 『新聞とろうね。http://www.asyura.com/sora/bd16/msg/108.html』
# レス>通りすがりさん 『どうもです。さて、新聞とろうねとのご意見ですが、ペーパーのもちゃんとちなみに取ってますよ。意外に思われるかもしれませんが朝日新聞です。ただ、ご意図とされたことはそういうことではないのだろうと思って、ご指摘の阿修羅さんのサイトを見ました。私の誤解かもしれませんが、このページで赤くなっている部分を通りすがりさんも強調されているのでしょうか。しかし、この産経新聞の無断引用を読む限り、皇室の起源が朝鮮半島にあるとは書かれていませんし、ヤッシーやはり「と」です。私のブログをよろしければご再読ください。高野新笠についてもしご存じなく、そこで誤解されているでしたら、また書き込みしてくだされば追記しましょう。』
# noharra 『田中康夫の皇室発言の趣旨は日本人の蔑視を揶揄することにあるようだ。とすると、それに対し、「(1)公人が言うこっちゃない、(2)「呆談」でも抑制して語るべき、だと思う。」と言われていることの趣旨がよく分かりません。古事記などでいう天孫族はおおむね朝鮮半島から来たというのは正しいのでしょう?』
# レス>noharraさん 『「田中康夫の皇室発言の趣旨は日本人の蔑視を揶揄することにあるようだ。」とする点は理解できます。しかし、その発言の戦略が正しいかというと私は違うのではないかと思います。これは、hoharraさんのご理解いただけなかった点とも関連するですが、前回「通りすがり 」さんが阿修羅さんのページに無断転載された産経新聞の記事の参照を挙げていますが、この時の天皇の発言はけっこう物議をもたらしました。なぜ物議かというと、天皇家が朝鮮出目話がタブーであり、天皇ご自身でこのタブーを破られたからです。関連して朝鮮では日本の天皇を見下すさんがためにその出目を朝鮮とする考えもあります。こうしたタブーに纏わることを根拠もなしに知事という公人は語るできではないと思われます。ただ、私が今「根拠もなしに」と言ったもののnoharraさんはご理解いただけないのではないかとも思います。「古事記などでいう天孫族はおおむね朝鮮半島から来たというのは正しいのでしょう?」という点です。これについてなのですが、率直なところ、正しくはないというのが定説だと私は判断しています。つまり、田中康夫が「朝鮮半島に関しては、そこにこそ日本の皇室の起源もある」という主張は古事記は典拠にならないだろうと思われます。くどいようですが、「天孫族はおおむね朝鮮半島から来た」とは言えないと考えます。いかがでしょうか。決めつけているわけではありません。また、史学の原則でもあるのですが、古事記は基本的に神話であって日本史や皇室の起源を考える上で歴史資料とはなりません。』
# noharra 『 丁寧な応答ありがとうございます。ただいまいち論点がはっきりしませんね。えーと、明仁さんの発言に対し、「天皇家が朝鮮出目話がタブーであり、天皇ご自身でこのタブーを破られたからです。」というのはタブーを感じているひと(新聞関係者?)においてだけタブーであるだけで、一般市民は何も感じていないからです。戦前は同祖論は大日本帝国イデオロギーの一部に組み込まれていました。戦後は国民の自覚無しに、USAの力によって朝鮮と日本は切り離され、4つの島を中心に古代から日本という国がずっと続いているというフィクションが深く浸透しました。桓武天皇から3~4百年ほど前、天皇家の先祖が1)天皇と言ってもおかしくないほどかなりの勢力をもった王であり2)コリア海峡のこちら側にいた、という歴史的事実があるのでしょうか?そう言い切れないのなら、そうであることを前提にしたイデオロギーを揶揄することに何の遠慮も要らないと思います。(失礼しました)』
# shibu 『高野新笠のことは続日本紀ですよね。7・8世紀の話であって国家とか国境なんてない時代の話ですし、ただそのような昔から行き来があってその代表例として平成天皇は挙げたのでしょう。渡来して住みついた(=帰化)氏族出身の高野新笠という女性と白壁王との子供の山部親王のことが古来の書物に書いてありますね、ということだけでしょう。移民二世でも生れ育った環境が同じで日常使う言葉も同じであれば、ご近所意識(同胞意識)持ってしまいますしね。これはニューカマーであって、もともとが半島から稲を持って大挙してやって来たオールドカマーの大将が娶ったんだってなことを天を横にして半島を指すとか騎馬民族が支配したのだとか言いたいのかもしれないが、以下省略の「と」だね。だって半島自体が通過点=通り道であって、そこから湧き出たwもんじゃないでしょ。寒冷適応の北方系(新)モンゴロイドは、もっと北のほうから南下して来たのでしょうから。ところで江上説は丸っきりの「と」説でもないのでしょうか?』
# shibu 『それからお礼です。ニューアカとかは全然興味なかったのですが、こちらで初めて「山形浩生」知りましたw。お蔭様で、外地暮らしゆえ本に飢えてたのですが、彼のHPにはいっぱい本文が載っておりましてジックリ読ませていただいております。』

|

« 浅田彰・山形浩生論争? | トップページ | イラク派兵はしなくてもいいのかもしれない »

「歴史」カテゴリの記事

コメント

通過点なんてこと言い始めたら、どこもかしこも通過点ですよ。朝鮮から来たということを否定、あるいは薄めたいがために「通過点」を連呼してもしょうがないでしょう。

今年に世界最大規模のゲノム分析が終わりましたが、それによって、朝鮮はただの通過点ではなく、そこで土着した人々が渡ったということが証明されました。

投稿: | 2010.03.21 17:13

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 田中康夫・浅田彰呆談の小感想:

« 浅田彰・山形浩生論争? | トップページ | イラク派兵はしなくてもいいのかもしれない »