« 再考・はてな村とくるみの木 リターンズ | トップページ | 視聴率が問題なのではない。ザッピングが問題なのだ。 »

2003.11.19

在韓米軍基地移転の裏が読めない

 今朝は目立ったニュースはない。もちろん、考えなくてはいけないことは多いのだが、現在の日本にはある種の麻痺感が漂い、新聞各紙社説にもそれが反映する。しかたがない面はある。朝日新聞社説が取り上げていた「武富士事件 ― 本当に個人の犯罪か」は、皮相だった。もう一歩も二歩も深い問題があるだろう。銀行がマチ金化した現在、この手の問題にはタブーが多いのだろうか。市民団体も被害者救済以外には動いていないように見える。毎日新聞社説「原発コスト試算 経済的優位性には頼れない」はなさけない。もともと原発は経済性の問題ではないのだ。毎日は浅薄な反核団体だったか。日経新聞社説「特別会計の抜本改革に踏み出すとき」は日経なんだからもう少し踏み込んで欲しい。塩爺のコメントの域を脱していないじゃないか。もう一点、日経らしくもない「虐待される子を迅速に救え」は高校生の作文のような感じだ。ジャーナリズムじゃない。子供の虐待の問題は表層でも深層でも難しい問題が多い。

 さて、今日の話題は在韓米軍の問題だ。このところ気になっていたがまとまって書いてこなかった。ブログとしては「はてな村」や麻薬などのウケのいい話でウケを狙っていてもしかたない。
 冒頭に情けない告白をするのだが、私は韓国通ではないこともあって、韓国の国情がよくわからない。特にわからなくなったなと思うのは、盧武鉉が大統領に選出されてからだ。率直に言って、本気なのか君たちと思った。それまでの私の理解では、韓国は日本と同じように、表向きの言論と実際の大衆の政治的な心情は反転しているといっていいほどひっくり返っていた。だから、表向きの運動を見つつ、大衆の情感を表すディテールに目配せすれば、大筋で韓国政情を読み誤ることはなかった。日本の大衆意識だって、単純な話、建前の朝日新聞とその反転の実状があると理解すれば大筋で間違いはない。
 金大中前大統領もわかりづらい人ではない。もともと日本語も達者だし、内心では日本の良さの面もよく理解していた。近代タイプのアジア人だ。太陽政策もこの人なら独自の陰影があった。北朝鮮に渡した金だってそう非難されるだけのものでもあるまい。だが、盧武鉉大統領となるとわからない。率直にまるでわからないと言ってもいい。なにより、この人を支持した韓国の大衆意識がわからなくなってしまった。もちろん、韓国人が北朝鮮との間に強い民族同一の意識を持つのはわからないではない。北朝鮮の美女に鼻の下を伸ばすのもわからないではない。しかし、徹底的にわからないのは、金正日にある種の誇りを持つこともあるらしいということだ。どうでもいいが一太郎は「きんせいじつ」では変換しないで「きむじょんいる」で変換するのか。なんだか情けない話でもある。「りしょうばん」も「ぼくせいき」も変換しないだ。いったいどこの国の日本語変換なのやら。
 前振りが長すぎるが、端的なところ、私が知りたいのは、韓国人の在韓米軍意識だ。恐らく在沖米軍と同じような状況にあるのだろうと思っていたのだが、わからない。沖縄の場合は直接的な危機がないのに対して、韓国ではもっと差し迫ったものがあるはずなのに。
 このわからなさは、インターネットで韓国の新聞が読めるようになっても、まるで変わらない。有名紙は日本語版もあるし、NAVERを使えばたどたどしいながらも原文の論説が読める。なのにわからない。
 具体的な話に絞ろう。ラムズフェルドは17日韓国国防部曺永吉(チョ・ヨンギル)長官と第35回韓米安保定例会議(SCM)を行ったのだが、物別れになっている。中央日報によればこうだ(参照)。


今回の会議で、米側は竜山基地残留部隊の敷地として28万坪を韓国側が提供しなければ、国連司令部(UNC)と韓米連合司令部(CFC)を烏山(オサン)、平沢(ピョンテック)に移したいとの立場を繰り返し表明し、およそ10万坪の案を固守した韓国側との隔たりを狭められなかった。
 これによって両国は、当初、年内確定を目指していた「未来韓米同盟政策構想」の協議を来年まで延長することを決め、06年まで烏山・平沢に移転するとしていた竜山基地移転の推進日程がやや不確実になる見通しとなった。

 単純に読めば、米軍は竜山基地残留部隊用に広大な土地を要求したが、韓国が断ったののだから、結果として在韓米軍の縮小を意図しているかのようだ。だが、この結果、烏山・平沢に移転はちゃらになり、「未来韓米同盟政策構想」まで頓挫しかねない。
 地理感がないと、こうしたニュースはわかりづらいだろうが、竜山(ヨンサン)はソウル中心とも言えるが、烏山・平沢はソウルから55キロ南下する。その程度の距離なら南下とも言えないほどかもしれないが、戦禍が推定される非武装地帯(DMZ)からは離れる上、北朝鮮からの攻撃のタイミングによってはソウルは悲惨な事態になりうる。ソウル市民にとって、この後退ともいえる米軍のシフトが戦時にはどういう意味を持つのか、そこがよくわからない。当然推測だが、恐らくそうした事態に米軍は韓国国民を盾にして米兵を守ろうとしているのではないだろうか。DMZにいる米陸軍第二歩兵師団も南下するとの推測もある。
 烏山・平沢では移転される基地について反対運動があることは理解しやすいが、韓国国民全体がこの事態をどう考えているのかよくわからない。悪く言えば、米軍の退却とも言える南下を阻止したいのかもしれない。また、南下することで生まれるDMZ側の手薄な地域やソウルの防戦は韓国軍が当てられることになるのは疑いない。
 日本国内でも国防については大きく意見が割れる。韓国でも割れるとしても不思議はない。だが、どこかに本音があるはずだし、そのあたりを大統領たるものは熟知しているものだと、思いたい。だが、盧武鉉という人間が私にはまるでわからない。今回の信任騒ぎを見ていると、頭の中は空っぽなのではないか。
 こういう感想を言ってはいけないのかもしれないが、もはや米軍はかつての朝鮮戦争のように韓国を死守しないだろう。いずれ北朝鮮に勝ち目のある戦争は起きない。戦時は、北朝鮮の自滅を意味する。難民は日本にも流れ出るだろうが、それよりも韓国の被害は大きくなるだろう。もちろん、北朝鮮を追いつめてはいけないのだ、ということはわかる。だが、火遊びの幻想を抱かせるような威嚇は必須だ。それと同時に自暴へと追いつめないために、冷静に圧力をかけ、かつ暴発を抑える準備は必要になる。米軍なしで、それが可能なのだとは到底思えない。

|

« 再考・はてな村とくるみの木 リターンズ | トップページ | 視聴率が問題なのではない。ザッピングが問題なのだ。 »

「時事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 在韓米軍基地移転の裏が読めない:

« 再考・はてな村とくるみの木 リターンズ | トップページ | 視聴率が問題なのではない。ザッピングが問題なのだ。 »