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2003.11.17

「どこに日本の州兵はいるのか!」

 今朝になって読売新聞と毎日新聞が市町村合併についての社説を出していた。なーんだ結局各紙ともに扱うことになり、要するに読売と毎日が一番日和ったわけだ。社説読みの些細な面白さである。で、内容だが、日和見さんにハラが座っているわけもないで、さしてどういうことはない話だ。2紙ともに知事の機能を重視しているが、一見まっとうな議論のように見えて、逃げだ。なぜ逃げか?すでにこのブログで書いたようにこの問題の基底には日本の都市民の問題があるからだ。他、今朝も目立った話題はない。話題がないわけではないが、私の間違いかもしれないが、年金改革や道路公団問題、イラク問題、どれも思考停止的な状況になっているようだ。このブログでは露骨な意見が多いので、前段に戻ってもなぁという感じはある。

 今日は「州兵」についてメモしておきたい。なにかと他人の無知を罵倒しまくるこのブログではあるが、私は州兵について十分知識を持っていない。恥ずかしいことだと思う。が、ちとぐぐってみても、あれまというくらい州兵についての基本情報はないようだ。一太郎でも「しゅうへい」で「州兵」が変換しないので、この機に登録したほどだ。
 なぜ州兵の話題なのか? 単純である。イラクに米国州兵が投入されているからだ。で、それがなぜ話題?という背景を書くためのメモが今日のブログである。標題はたまたまぐぐって見つかった言葉だ。阪神大震災のおり、神戸在住のイギリス人ピーター・E・フィリップスさんの意見(参照)があった。彼はこう書いている。ちと長いが前段の一部も含める。


 自治体の災害対策は不合理なまでに楽観的な仮定に基づいていた。神戸市は震度5以上の地震を想定していなかったし、すべての道路、鉄道、電話が引き続き利用でき、その災害対策スタッフが全員活動できる計画しか持っていなかった。今回の地震は予想の倍もの被害を出し、ほとんどの幹部が動けなかったし、交通は寸断され、コミュニケーションはとぎれてしまった。
 (中略)
 全般的かつ継続的に印象的だったのは、民間防衛隊や軍隊が全く存在しない状況で、動揺や犯罪や暴動もなく、水や食料を何時間も整然と並んで待つ人々の冷静さであった。CNNのクルーは私に、「どこに日本の州兵はいるのか!」と、たずねた。アメリカ合衆国では災害時に、州兵(ナショナル・ガード)が、救援と治安維持のために素早く派遣される。

 阪神大震災のような自然災害のとき、米人なら「州兵はどこにいるのか!」と叫ぶのだろう。州兵とはそのような存在なのだということがよくわかる。「州兵」は英語でNational Guard。ぐぐってみると、「ナショナルガード」でとんちきな検索結果も出る。「州兵」も「ナショナルガード」も日本語ではこなれていない。直訳すれば、「国の守り」になる。歴史感覚のある日本人なら沖縄戦の響きがあるが、センター試験以降の世代には語感もないだろう。国(ネーション)なのになぜか州(ステーツ)を連想せる言葉として「州兵」と訳されているのか、訳語の歴史はわからないが、州兵は米国の各州がもつ志願制の治安維持組織だという意味を込めているのだろう。こんなところにも日本人が「国」(ネーション)と「国」(ステート)の差異を理解していないことが現れているのかもしれない。日本国憲法ですら、原語のネーションとステーツの訳分けはされておらず、私が調べたかぎりでは日本の憲法学者も不問としていた。州兵は州から出されるがその兵はネーションのために存在している。
 こうした「州兵」に相当する国家の機能を考慮すると、日本人の感覚なら「自衛隊はまだか!」となるのだろう。阪神大震災のときでも、多くの日本人がメディアを介して自衛隊はまだかと思ったに違いない。その背景で、在日米軍が支援に手を出そうしたことを知る人は少ない。やや余談めくかもしれないが、阪神大震災は天災だったが、あの時の国政はまさに天災を上回る人災だった。世間では今ですら村山富市を好好爺に見ているが私はこの爺は刑事訴追して死ぬまで豚箱に入れるべきだと思っている。国家的な犯罪人だという判断にためらいはない。保守新党は解党されたのでこのページも消えてしまうのだろうが、「新進党阪神大震災現地対策本部長」(参照)は歴史資料として保管してもらいたいと思う。新進党「国土・交通政策担当」の二階俊博の手記ともいえる。ちと長く話が散漫になるのを恐れるがこのページが消えることを懸念して引用する。

一月二十日、通常国会が招集された。二階は、衆議院本会議で新進党の代表として「兵庫県南部地震」についての緊急質疑に立った。
 二階の「地震を知ったのは、いつか」という質問に対し、村山首相が答えた。
「この地震災害の発生直後の午前六時過ぎのテレビで、まず第一に知りました。直ちに秘書官に連絡をいたしまして、国土庁等からの情報収集を命じながら、午前七時三十分ごろには第一回目の報告がございまして、甚大な被害に大きく発展する可能性があるということを承りました……午前十時からの閣議におきまして非常災害対策本部を設置いたしまして、政府調査団の派遣を決めるなど、万全の対応をとってきたつもりです」
 しかし、地震発生当日の午後零時五十分、村山首相は記者団に対し、「七時半に秘書官から聞いた」とコメントしている。
 二階は思った。
〈七時半に知ったのでは、都合が悪いとでも思ったのか。しかし、それにしても午前六時に知り、午前七時半に報告を受けたというなら、その一時間半、いったい何をやっていたのか。国家の最高責任者としての自覚がなさすぎる……〉
   (中略)
かれのような責任の重大さを村山首相は感じているのか。総理大臣たるもの、国民の生命、財産をおびやかす戦争や災害の発生に対する危機管理は、常に考えていなければならない。ところが、村山首相は、翌十八日の朝八時から呑気に財界人と会食している。
   (中略)
 二階のもとに、被災にあった人の友人と称する人から電話があった。その人は隣の住人と共に生き埋めにあい、懸命に「助けてくれ」と叫び続けた。だが、隣人の声は、三日目にして途絶えた。自分は幸いにして四日目に自衛隊に助け出されたが、あと一日早く救助されれば隣人の命は奪われなかったという。
 二階は地震発生当初、村山首相をはじめ政府与党がもっと機敏に迅速に対応していれば、一〇〇〇人から一五〇〇人の死者は救えたのではないかと思っている。
 しかし、村山首相は自衛隊そのものにこだわった。たしかに自衛隊法には、「自衛隊は知事からの要請がないと出動できない」と記されている。が、自衛隊の最高指揮官は首相である。必要を感じれば、災害対策基本法の百五条に基づく各種の強制的な規制など総理に権限を広く集め、効力のある「緊急災害対策本部」を早急につくれる。そうすれば蔵相の了解なしに予備費の支出もできた。とりあえず、食費などの資金的援助が迅速にできたではないか。

 州兵に話を戻す。手元の小型百科事典マイペディアを見ると、州兵について、「陸軍州兵と空軍州兵とあり,平時は州知事の指揮下に州で起こった天災の救援や暴動の鎮圧などを行なう」との記載がある。確かに州(ステート)レベルでの災害対策という認識でよいのだろうが、現在のネットの情報を見ると、陸軍州兵と空軍州兵についてもう少し詳しい解説が欲しいところだが、率直なところ私にはよくわからない。
 40代以降の人間なら、州兵がベトナム戦争に狩り出されたことを知っているはずだ。マイペディアには「米陸軍・空軍の予備役としての性格をもち,戦時には正規軍に編入され大統領の指揮に従う。」ともある。
 ふと気が付いたのだが、マイペディアでは「戦時」という言葉を使い「有事」を使っていない。私も「有事」という日本語は以前聞かなかった。なにか変だなと思うが、話を続けると、戦時には州兵が正規軍に編入されるとのことだが、このあたりの説明は間違いではないのだろうが、ちと粗雑過ぎるようだ。州によっても違うだろうが、州兵はある意味、ウィークエンドのボランティアのような様相もある。また、若者も多いのは補助金が出るからだ。今回のイラク戦争で米国内で400人近い戦死者を出している(考えてみるとすごいことだ)がそれでも徴兵の必要がないのは、米国の雇用が低迷していることがある。奨学金なども出るようだし、こうした若者が身重の恋人を残して死んでしまうこともあるようだ。ただ、ベトナム戦争を思い出すと、徴兵となれば、病気や州兵応募などは免除の対象になる。州兵として米国本土勤務となれば、海外出兵を避けられるのだが、今回は逆に州兵がイラクの危険地域にかなり投入されている。この様子は日本版ニューズウィーク11.19「ドキュメント 州兵たちを脅かす姿なき敵 泥沼のゲリラ戦に直面させられた州兵の苦労と怒り」に詳しい。州兵を通して、イラク戦争は米国の日常生活と直結しているのだ。と、ふと気が付いたのだが、9.11以降、州兵は国内の厳戒ともいるような防備にあたって組織化が進められていので、派兵も楽だったのかもしれない。
 以上話は散漫になった。州兵と市民軍(国民軍)を意味するmilitiaとの対比や、州兵の歴史的な側面などももう少し記載したほうがいいのだろうが、私自身の不勉強を痛感するので、ここまでとしよう。書いてみて思ったのだが、日本人の自衛隊への期待は本質的に間違っているようだ。むしろ日本にもきちんとしたナショナルガードが必要で、それを自衛隊と組み合わせる必要があるだろう。現在の裁判員制度改革のように、自衛隊にきっちり民間代表を送り込む構造が必要なのだろう。ま、そういう提起が日本の市民から起きることは、金輪際なしのだろうな(絶望)。

[コメント]
# masayama8 『絶望したくもなる気持ちはわかります。そしておそらく本当はまだ望みを託そうとされているのだろうということも勝手に読み取っています。』
# masayama8 『すこし引き伸ばした話をするのですが、制服の警官の方たちや、救急隊、消防隊の「組み合わせ」だけではたりないが、本格的に軍隊的要請までは不要という柔軟性を要する事態が起きる可能性は否定できないでしょう。上記にある大震災の件でもおっしゃるとおりで、日本の識者も常々懸念しておられるところだと思われます。日本に毒ガス系のテロや9.11形式のテロが起きたときには、上記お書きになっておられるような、武力をも備えた救護者が必要になるでしょうね。その方が縦割りでないし、出だしからして迅速でしょうから。スワットやら海兵隊やら州兵やらという細分化は、違憲視される自衛隊の合憲を積極的に認めたうえでの議論に見えるので、忌避されてきたのではないでしょうか・・・。』
# masayama8 『それが巡って、国民の利益を大震災での事後措置の遅さによって結局かなり失わせた。はっきり言えば死なずに済んだ人も殺したということです。このような失態の先例を作ってしまった。あれ以後、対策も練られているかのような話を聞きますが、実際のところどうなのか。今度はテロ形式で何か起きてしまってから、また問題提起ぶるのでしょうかね。そういう後手に回る事を避けるべく違憲か合憲かという話をしているわけですからね。あの大震災の措置の遅さはそれこそ、僕らのコンセンサスのなさの象徴だったとも言えると思います。』
# レス>masayama8 『そうですね、絶望じゃいけないなと思うのですが…。今回また、裏をちとあたってみて、小沢のことをいろいろ思いました。ま、うまくブログには書けないのですが、当面、民主党にちゃんとしてもらうしかないのかな、とも。』

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コメント

「新進党阪神大震災現地対策本部長」のページはこちらに移動したようです。
http://www.nikai.jp/book/book05/new_page_20.htm

投稿: gogo-tea | 2007.01.22 06:21

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[http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2003/11/post_25.html:title=どこに日本の州兵はいるのか!] 州兵がどういうものか、というのはその成立を追えばいい資料があったので[http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200307_630/063003.pdf:title=参照](PDF)。かなり詳しい。 市民により組織された軍隊というよりはむしろ、簡素な自警団だったものが... [続きを読む]

受信: 2005.06.15 10:17

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