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2003.11.09

米海軍低周波ソナーの使用が沖縄から始まる

 選挙である。小沢が転じなければ書くこともない党名、民主党と書く。ここでごたくを並べる私の一票としては無意味だが、一市民の一票であることに違いはなく、意味がある。官僚体制をリセットして欲しいし、地位協定を改定してもらいたい。その2つの願いしかない。
 新聞各紙社説は面白くない。日経新聞社説「無手勝流で臨むSARS対策」はガラでもないこともあり、めちゃくちゃな内容だった。WHOの対応は悪くなかった、なのに「無手勝流」たぁ何様だね。しかも、SARSはまだ人類にとってわからないことばかりなのだ。朝日新聞社説「外国人拘束 ― 家を離散させるな」は日本に11年間無事に滞在したビルマ人を不法滞在で拘束し、難民認定も退けたという。この問題は根深い。だが、なんだか間抜けな文章だった。この問題はご啓蒙では解決しないのだ。
 今朝の話題は、米海軍低周波ソナーについてだ。ニュースとしては、沖縄タイムス2003.11.8「『低周波ソナー禁止を』/安保課長に要請」だ。引用としては少し長いが、本土側であまり注目されていないようなのであえて引用する。


 八月に外務省日米安保課長に就任した藤山美典氏が七日、県庁に牧野浩隆副知事を訪ね、基地問題について意見交換。牧野副知事は米海軍が対潜水艦低周波ソナー(音波探知機)を日本海周辺で使用する問題について、海生生物への悪影響を念頭に「アメリカ本国では禁止されているのに、なぜ沖縄、日本でやるのか」と反対する考えを外務省に初めて伝えた。
 牧野副知事は「沖縄側と何らかの形で話し合いができれば」と述べ、県が米側などとの協議の場に参加したいとの意向を表明。また、日米地位協定改正や基地の整理・縮小、普天間飛行場代替施設の十五年使用期限問題、米軍関係者の事件・事故防止、原子力潜水艦の事前寄港情報の公表などを要請した。
 藤山課長は「現場主義を大事にし、県民の負担軽減に努めたい」と述べる一方、地位協定問題については「機敏な運用改善に取り組みたい」と述べるなど、政府の方針に沿った考えを示した。低周波ソナー問題では、具体的な返答はなかった。

 ここで琉球銀行出の牧野浩隆が「なぜ沖縄、日本でやるのか」と沖縄に言及しているのは、低周波ソナーの実施が沖縄から始まるためだ。少し古いニュースになるが、琉球新報2003.10.16「新型ソナー 米海軍、沖縄近海で使用開始か」によれば、こうだ。

【ワシントン15日=本紙駐在・森暢平】潜水艦探知の新型低周波ソナー(音波探知機、LFA)を日本近海に限定して使用することで、米軍と環境保護団体が合意した問題で、同ソナーが搭載されているのは米海軍音響調査船「コリーシュエスト」(海上輸送部隊所属、母港・ハワイ州パールハーバー、1597トン)であることが15日、国防総省筋の話で分かった。調査船は今月8日に那覇軍港に入港、11日に出港したばかり。こうした状況から低周波ソナーは、沖縄近海で間もなく使用が始まる可能性が強い。

 低周波ソナーについては、私は日本海域全体を覆うことを知っていたが(参照)、沖縄から始まるのかという点には、ちょっとうかつで思い至らずだった。怒りのような落胆のような思いがする。端的に言って、阻止できないのか。私はグリンピースなんて大嫌いだが、もしコリーシュエストの活動を妨害するなら断固支持する。
 低周波ソナーの問題については、山形浩生=ロンボルグ的に言えば、「環境危機をあおってはいけない」のか、という悪い冗談はさておき、被害例は「カリブ海で低周波ソナーの実験中、クジラ16頭が打ち上げられた」というくらいで、科学的にはその弊害については実証されていない。低周波ソナーの基礎知識としてはAP系のワイアードのニュース「米海軍の新低周波ソナーで危惧される海洋生物への影響」が妥当なところだろう。
 それに、低周波ソナーに反対する勢力はあまりに端的に北朝鮮&中共フレンズなんで、この左翼に同調するのはどうかなとは思う。
 だが、私の考えでは、低周波ソナーは最悪だ。生命は強い存在ではあるが、敏感な存在だ。お馬鹿丸出しでいうが、なにより私はうるさいのが大嫌いだ。海も静かにしてほしい。ま、冗談はさておき、実際米国海域では使用を控えるというのは、科学的に見て妥当な判断であるのに、なぜ日本でやるのか。しかもクジラやイルカ(同義だが)の重要な生息地である沖縄から。米海軍と米環境保護団体である「天然資源保護協会」は日本近海など東アジア海域のみに使用を限定することで合意したというが、それって、レーシズムじゃねーの。
 毎日新聞ニュースからだが(参照)、防衛庁としては、他国の潜水艦が日本の領海内を通過する場合は浮上して航海しなければならないが、公海での低周波ソナーの使用は漁業に被害がでない限り制限できない。
 あのなぁ、漁業に被害が出るかどうかアセスメントしろよ。出てからじゃ遅いんだよ。
 とま、いかにも環境保護の意見に聞こえるだろうが、私はもっと頓珍漢な人間だ。危惧しているのは海人(うみんちゅう)だ。沖縄の近海には漁労民がまだいるのだ。さすがにサバニはなくなったし、破壊され尽くされた珊瑚礁のリーフにはほとんど魚はいなくなったが、それでもまだ海人はいる。
 スターリンは農民を大量に虐殺したが、共産主義の理論から間違っているわけではない。社会主義や共産主義にとって本質的な敵は農民だから。彼らを賃金労働者(奴隷)に貶めなくては革命は成功しない。そんな彼らも、不凍港なき大陸だし、海はあっても内海だから、農民よりたちの悪い海人というタイプは知らなかった。海人は自由だ。海人にとって唯一の存在は海だ。全世界は海と私、それだけだ。スターリンに向かって「ふらー、くるさりんどぉ!」といえるのは海人だけだ。
 そういう人間タイプがいて、しかもそれは日本という固有の文明から欠落してはいけない重要な要素を持っている。日本の歴史のなからおよそ人間の自由というものを善悪を越えて探すなら、海人がもっとも典型的な希望のモデルなのだ。海をこれ以上壊せば、日本は海人を失う。海人を失えば、日本という文明の根幹の一つが喪失されることになる。許せん。

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