KEDO業務停止とパラドックス
朝日新聞社説と日経新聞社説がKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)事業停止を話題にしていた。北朝鮮のお友達朝日新聞がどんな面白いこと言い出すかエンタテイメントである。この手の朝日の口調は最近は古典芸能のようになってきていて、前半で北朝鮮に厳しいフリをして後半に中国をダシにして日本国民に北朝鮮歩み寄りを迫る…というパターンだ。と思って読むと、まさにその通り。芸がないというか芸が完成の域に達したのか。というわけで、くさすのも阿呆くさい。
爆笑のポイントはここだ。
しかし、事ここに至っては仕切り直すしかない。核問題を解決するための、より実効ある枠組みづくりを急ぐことだ。
幸いなことに、中国を仲介役に米朝と日韓ロが集う6者協議の場ができている。
朝日新聞ってなに考えてんだか、以下の奥歯にものが挟まったような結語を読みながら、ちと別のことに思い至った。
ブッシュ政権は、北朝鮮に見返りを与えようとしたKEDOにはもともと否定的だった。だが、いずれにせよ北朝鮮の脅威を外交で封じ込めていく考えだ。北朝鮮は次回の6者協議を軽んずべきではない。
朝日新聞はここに至って米国の封鎖政策を単に批判できなくなってしまたのだろう。もう策は尽きているのだよと北朝鮮にメッセージを送っているのか…いや、そういうそぶりをして日本国民にどんなメッセージを送っているのだろうか。よくわからない。
朝日の真意を考えながら、ふと思ったのだが、実は、すでに北朝鮮は崩壊のスケジュールに入ったのではないだろうか。この思いはちと錯綜する。
先週の日本語版ニューズウィーク11.19に北朝鮮の経済が持ちかえしているいる記事「北の経済が上向いた?」があったが、昨年7月の経済改革の目が出始めているようなのだ。どうも屋台なども復活しているようだ。ドイモイみたいなことになるのだろうか。この事態は韓国や日本の支援も大きいし、裏で中国が指導していると見てもいいだろう。
つまらない推測ではあるだが、圧政にあるほど北朝鮮は安定していたのだから、それが緩和される兆しとは体制の崩壊を胚胎しつつあるのではないか? もちろん、アジアの民衆には西欧型の革命はできない。それでも、ある種、政権内の体制変化はないのだろうか。クーデターの可能性はないとも言えないが低いだろう。
可能性としては、経済体制を背景にした権力の複数グループが成立するかもしれないと見るべきだろう。いずれにせよ、権力がバランスするようになれば、旧体制型の金正日は生き延びることはできない。実質の北朝鮮の問題は金正日ただ一人だし、イラク攻撃の際、金正日は逃げ回っていたことも考えれば、彼もその事態を認識していないわけでもない。
朝日新聞の社説は所詮お笑いだが、日経のほうはきちんと数字を挙げている。
だがブッシュ政権は仮に北朝鮮核廃棄の合意が成立した場合でも、軽水炉の建設再開には応じない考えを表明している。これまでに韓国は10億ドル、日本は4億ドルを事業につぎ込んでいる。北朝鮮の違約によって両国国民の血税が空費されかねない。北朝鮮はKEDOが搬入した資機材を押さえて補償を要求しているが、相手にすべきではない。
「血税」と短絡すべきではないように思うが、事態を直線的に見れば無駄な金だし、今後はこの継続はできない。だが、その金は微量ながらも賄賂などで北朝鮮経済に循環し、循環することで今日の事態になったのなら、ブラックジョークのようなパラドックスだが、北朝鮮に食糧支援するよりも無駄金をつぎ込むほうがいいのかもしれない。北朝鮮内で私服を肥やせるやつを増やせば増やすほど、北朝鮮の圧政は構造的に安定的に崩壊していくだろう。核やミサイル開発なんて中央集中する物騒なものではなく、もっと地方勢力が私服を肥やせるように実弾(銭)をぶち込んでやるといいのではないか。
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