再考・米国の鉄鋼輸セーフガードは新ABCD封鎖になる
11日のブログでWTOによる米国の鉄鋼輸入制限クロ裁定についてこう書いたが、どうも考え方の筋が間違っていたと反省した。
日経と読売がWTOによる米国の鉄鋼輸入制限クロ裁定について扱っていたが別にどうという問題でもない。端的に米国が間違っているだけのことだし、この問題についてあまり日本がどうこうできることでもない。
意見が変わったわけではない。米国が端的に間違っているだけだし、日本はなにもできない。だが、問題はそこではないと反省した。問題は、米国が本格的にWTO離れに打って出る兆候なのかもしれない、ということだ。
メキシコ(墨)との間のFTAが豚問題でぶざまにこけてしまった状況は、ある意味日本国家の最大の弱点が米国を中心に世界各国に流布されてしまったということではないだろうか。もちろん、各国家の大衆レベルではそんなことは気にも留めないだろうが、外交レベルでは日本の秘孔バレてしまった。そう考えれば、なんとなく変だったあのメキシコの余裕の意味がわかる。WTOが機能せず、FTAが使えず、それでいて輸入に依存する日本はもうすぐ兵糧責めのような状態になるのだ。なってこった! 憂国なんてイデオロギーじゃねーぞ。
今回の米国の鉄鋼緊急輸入制限(セーフガード)の問題では、提訴したのは日本だけではなくEUもだ。そして、EUはすでに反撃に出ている。低額だが22億ドルもの関税を農産物、繊維、機械製品にかける、というのだが、くせ者ぞろいのEUだからこのあたりの間合いの読みをとちるわけはないだろう。日本としては100億ドルのブラフをかけるようだが、端かっら腰砕けになるはずだ。あの外務省だぜ! 嘆息。日本の経済界も日経を見る限り、新三種の神器ってな阿呆なラッパ吹いているが本音は米国向け自動車から見るように米国頼りでしかない。
11日の読売社説の結語を読み返して、再び暗澹たる気持ちになった。
だが、EUなどが報復関税を発動すれば、影響を受ける業界が広がる恐れもある。景気の本格回復に欠かせない製造業の業績回復、雇用回復の支障となっている現状を、そのままにしていいのか。
大統領の賢明な判断に期待したい。
ブラックジョークなのである。あの阿呆な大統領に賢明な判断などできないというのではない。それならスマイルはタダ、みたいなもの。そうじゃない、本当に賢明な判断を下すのかもしれない。賢明とは、米国自国の利益優先だ。WTOは米国国益に反しつつある。WTOが機能しなくなるということは日本の生命線となる外交を日本は転換しないでいくわけにはいかない。
今回の選挙で、公明のおかげでゾンビのように生き返ってしまった自民党になにかできるだろうか。
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