中国が有人衛星を打ち上げる
中国の有人衛星打ち上げの話。へぇ~40点くらいの気持ちであまり関心も向かなかったのだが、NHKの「あすを読む」を聞きながら、洒落じゃないなと思って、あとからこのニュースを読み直してみた。まとまった思いがあるわけではなく、むしろ自分の無知を晒すようなものだが、この件について意外な感じがするので記しておく。
朝日系のニュースソースからの孫引きだが、上海「東方早報」によれば10月15日とのこと。地球を90分で周するらしい。
「あすを読む」では、有人衛星打ち上げによって大衆に国家意識を持たせようとしていること、対外的な優位性を得ようとしていること、衛星ビジネス市場を得ようとしているという諸点をあげていた。それに間違いないだろうが、実際の担当が人民解放軍であることまで述べても、その軍事応用や米国のリアクションの想定には踏み込まなかった。問題が煩瑣になるのを避けたのかもしれない。他、話のなかでよかったことは、中国は長年この課題に取り組んできたという歴史背景を手短にわかりやすくまとめていたことだ。
「あすを読む」の説明を含めて、今回の中国有人衛星について、私の印象はまばらのままだ。まず、そんな金があるのか、その金があったら福祉に回せよと思った。だが、社会主義国家というのはこういうことをやるものなのだ。間抜けな話だが、中国が社会主義国家であることに改めて思い至る。1960年代のソ連と同じ事をやろうとしているわけだ。そしてそれが実現すれば、またしても米国にスプートニクショクのようなものが起きるのだろうか。追いつき追い越せという意味でのショックはないだろうが、中国への警戒心は強まるだろう。他方、日本はといえば、ガチャピンに乗って貰いたいと思うくらいだろうか。
ちと古い話だが、1999年11月21日に国産有人衛星の試験船を無人で打ち上げて、その回に成功している。このとき、江沢民はこの「長征2F型ロケット」という馬鹿馬鹿しい型名にさらに阿呆臭い名前「神舟」を付けた。当時の報道では、中国は2000年までに有人衛星を成功させたいとのことだが、そう話はうまく進まず、昨年4号までは無人衛星(有人で失敗したという噂もある)。今回の打ち上げは「神舟5号」になる。
中国の政治というのはすべからく内部の権力闘争だから、今回の事態もその路線で考えれば、第16期中央委員会第3回総会と関連があるのだろう。胡錦涛と人民解放軍との関連が気になる。常識的に考えても、日米のミサイル防衛システムへの対抗であることは間違いない。米国防総省はすでに、今年7月の時点で「中国の軍事力に関する年次報告」を議会に出している。
GPSについても中国は独自路線を出していくようだ。文明の衝突なんていうほどのことはないが、中国は本気で米国に衝突していくと取れないこともない。この問題には間抜けなことしか思いつかないのだが、私は、この妄想は人民解放軍の強迫によるものではないかと思う。人民解放軍の老害とその下を支える一人っ子政策時代のテクノクラートの存在は不気味だ。
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