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2003.10.31

ありがとう、マハティール

 今朝の新聞各紙社説は散漫な印象を受けた。ので、ブログも散漫になってしまう(っていう言い訳はよくないが)。タイトルはマハティール引退に賛辞をおくりたいというだけのことで、話はあまり展開していない。ブログを読まれているかたには申し訳ない。
 今朝の社説ではさすがに日々選挙ネタでは書いているほうも無理だと思ったのだろうか。バリエーションがあってよかった。なかでも社会的なニュースとして重要なのは恐らく独禁法の改正だろう。そのわりに扱っていたのは読売新聞社説「独禁法見直し 違反防止に必要なアメとムチ」だけだ。焦点がぼけてはいるもののなかなかいい社説だった。特に結語は重要な指摘だ。


報告書は、公取委の審判制度の問題点にほとんど触れていない。判事役と検事役の大半を、公取委の職員が占めていることだ。これらのポストについては、法曹資格を持つ人材の外部登用を積極的に進めるなど、改善が必要だ。

 これはほとんど制度欠陥だろう。経済界の反発については予想どおりでもあるので、どうっていうことはないが、骨抜きの前準備は整っている。いずれにせよ、読売が指摘するように、この問題は社会認識を変える必要がある。

談合やカルテルの防止には、違反行為が割に合わない犯罪だ、との認識を企業社会が持つことが欠かせない。欧米で一般化している手法を取り入れ、独禁当局の違反への対応を国際水準に合わせることも大切だ。

 一点、気になったのは読売のこの主張では曖昧なのでなんとなく国内の公共事業関連の入札の談合が問題視されているかのようだが、今回の改正の暗黙のターゲットはマイクロソフトだろう。この点はNHKの「あすを読む」のほうが一歩踏み込んでいた。中村正三郎(同名に官僚上がりの政治家がいる)によるユーモラスなマイクロソフト叩きもすでに過去のことになった。誰かきちんとマイクロソフトに切り込めるジャーナリストはいないのだろうか。切込隊長? 頭いいからつい期待されちゃうんだろうな。でも、頭良すぎてマイクロソフトには関心なんかないか。
 今日の話題でもう一点、朝日新聞社説の「警官汚職 ― 腐ったリンゴは一つか」はほのぼのとして面白かった。

警視庁の警部が逮捕された。風俗店を経営する知人から約1千万円のわいろを受け取っていた容疑だ。

 という書き出しで、この事件自体の情報がない。社説にあるまじき悪文の極みだが、笑いネタかもしれない。事件は、千葉県柏市警視庁第9機動隊警部所属の上野教一が東京都荒川区で違法なあかすりマッサージ店の経営者石崎裕隆から各種の便宜の報酬としてワイロを受け取ったされる容疑だ。これに対して朝日はこうしたことは警察にとって日常茶飯事ではないかと糾弾する。ま、そうだろうね。これをわざわざ社説に取り上げたのはもちろん、左翼ならではの朝日新聞の面目躍如たるとろだ。

 今回、汚職警部が逮捕されたのは総選挙の公示日だった。今年7月に警視庁の幹部らが捜査情報を漏らしたとして摘発されたのは、辻元清美元衆院議員が警視庁に逮捕された日だった。

 それにしても、我々市民はどうしてこうも警官に甘いのだろう。個人的な日常のエピソードだが、先日犬に首輪を付けずに散歩する馬鹿たれが交番の前も過ぎていくので、さすがにそりゃないでしょお巡りさんと指摘したら「それは犬のサイズによるのであります」ってな答えだった。ダメだこの馬鹿。ま、馬鹿なら笑って許せるかというというと、こうした馬鹿の自己組織化が現在の警察なのだ。そしてその頂点にはセンター試験以降の世代の官僚がちょこんとのっかっている。ああ、愚劣。とくさしていないでなんとかしなければいけないと思うが、はてはて。

 話は変わる。実は今朝のブログはマハティールについて書こうと思った。せめて一社くらい社説にマハティールについて触れるだろうと思った。産経あたりだろうかと思ったが、日経だけだった。そして、つまんない社説だった。
 腰抜け、玉なし産経新聞、と怒鳴りたくなる。ま、明日を期待しよう。マハティールについては自分は高山正之以上のことは書けない。このところ話題になっている「ユダヤ人は代理人を使って世界を支配している」との発言についても、出所のバンコク・ポスト紙のインタビューを私は読んでいないので、うかつなコメントは控えたい。というのも、情報操作の臭いがするからだ。
 いずれにせよ、マハティールなかりせば…と思うと目頭が熱くなる。ありがとう、マハティール。

追記
 朝日は11月2日に「マレーシア ― ルックイースト氏の退場」を掲載。概ね好意的だったが社内の雰囲気を配慮してかくさしが入っていたりして混濁した内容だった。マハティールの反米というのが気に入っていたのかもね。

 本文と関係ない追記。しいて関連づけるとマイクロソフト絡み。たまたま「『続・憂国呆談』番外編Webスペシャル」(参照)というページに飛んだ。これって何かのジョークじゃないよね。浅田彰ってこんなことになっていたのか。


浅田彰 セキュリティ面から言っても、常時接続してりゃ、ウィルスの感染も止められない。このあいだ世界中を騒がせたコンピュータ・ウィルス「MSブラスター」には、僕のモバイル・マシーンも感染しちゃったけど(笑)。

田中康夫 ほんと?

浅田彰 すぐ駆除して、すぐパッチを入れたけど、必要なソフトをダウンロードして実行するだけでも手間がかかる。しかも、それさえできないユーザーがいるんだからね。これって早い話がマイクロソフトが欠陥商品を売ってたわけでしょ。たしかにウィルスをつくってばらまくのは悪質な犯罪だけど、データを消したりするわけじゃなく、ちゃんと「あと六〇秒」という予告まで出してシャット・ダウンするわけだから、過激な消費者運動とも言える。セキュリティに関して穴だらけの商品を売るな、と。


 ひぇ~! 浅田彰と限らないけど、IT関係の話だとなんでこう恥ずかしい言及が多いのでしょうかね。言うまでもなく、「常時接続してりゃ、ウィルスの感染も止められない。」は大間違い。それにマシンというのはそもそも常接するものだ。もちろん前提はある。常接にはファイアウォールは必須。ファイアウォール付きのルーターをかますか、串ぽいのでもかましておくこと、っていうかそうしてこそ始めて常接だと言える。それと、MSブラスターのパッチを当てていないなんて、「いろは」の「い」もわからないということなので、無知を売りにしているお笑いライターさんじゃないのだから、おおっぴらに言うのは恥ずかしいことだ。「これって早い話がマイクロソフトが欠陥商品を売ってたわけでしょ。」ってね、訴訟好きのアメリカ人かね。完全なソフトは存在せず、完全なセキュリティは存在しない。浅田彰の理想の「マシーン」(どうでもいいけど、出て来い「シャザーン」みたいだ)って、ワープロ専用機なのか。

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