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2003.10.25

国民の貯蓄率低下は見せかけの現象かもね

 今朝の新聞各紙が日本道路公団藤井治芳総裁の解任を扱うのはしかがたがないが、どれも読み応えのないものだった。元祖アイドルできちゃった婚の本名林寛子こと扇千景婆さんの責任を問うかのような姿勢も今頃なんだかなである。読売新聞に至ってはなんだこれの社説だ。


 完全決着とは言えないが、一応の区切りはついた。民営化に向けてすべての関係者が、心機一転、仕事を始める時だ。

 あのなぁ、全然区切りはついてないよ。ここで膿をきちんと出して、Aの青木を政界から引きづり降ろすことが改革の前提。とはいえ毎日を除けば、他紙も早急に後任を決めなくてはいけない、みたいな阿呆なことを言っている。決まるわけないし、形だけ決めても機能しない。

 今朝の話題は日経新聞社説の「貯蓄率低下が発する警告」についてだ。といっても、このテーマもさして自分なりの知見があるわけではない。すでに夏の初めのこの手の話題が湧いていたので、なんでいまさら感はあるが、自分のためにも再考しておきたい。この次第はこうだ。


 内閣府が24日発表した今年の年次経済財政報告(経済財政白書)は家計貯蓄率(可処分所得のうち貯蓄に回した割合)の低下について分析している。国民経済計算ベースの家計貯蓄率は1990年代の初めに14%程度と先進国の中でも最高レベルだったが、2001年には独仏を下回る6.9%となり2002年はさらに下がったもようという。

 日経の文体なのでちと読みづらいが、ようはこの十年で国民の貯蓄率は激減したということだ。貯蓄率とは消費の動向とも関連するから、端的に言えば、消費のモラルが変化したとも言えると私は思うが、日経の着眼は、この10年は不況だったから消費のスタンスは変わらず取り崩したと見ているようだ。
 気になるのは、この手の統計というのは、あくまである手法による統計値であって、生活の実感を反映したものにはなりにくい、ということ。単純に「平均」といっても中学高校で学ぶように(学んでいるんだろうな?)、分析のありかたでいくつか選択がありうる。国民経済でいえば、富が偏っている場合は単純な統計には意味がなくなる。今回の貯蓄率については、詳しくみていないが、日経は、高齢者の貯蓄の取り崩しとしているところをみると、富裕層である高齢者の問題であるとも言えるだろう。ただ、これも日経が指摘していることだが、全世帯に占める高齢無職者世帯の割合が上昇していることが背景にある。
 この先の日経の話は、真面目腐ったジョークのようだ。

 この動向が進めば、法人貯蓄の動向もかかわるので、全体の貯蓄率の低下の度合いは予測しにくいが、国債金利など長期金利を押し上げて、国の利払い費や企業の投資コスト負担を増やす可能性がある。それは経済の活力をそぐ。経常収支が赤字に転じ海外の資金に頼らざるを得なくなるかもしれない。基軸通貨国ではないので、米国のように赤字を垂れ流しつつ好景気をおう歌することはできない。

 たしかに、国債の大量発行を支えているのは国民の貯蓄だからこういうストリーになるのかもしれないが、それでも日経の結語「財政赤字を減らせ」というのは論理の飛躍だ。日経なんだから、もうちょっとマシな話を書いてもらいたい。マクロ的には法人貯蓄は増加するのではないのか?
 と、書きながら、なーんだという思いがした。高齢者の貯蓄取り崩しは、実は財産分与ではないのか。世間を見渡しても、けっこう30代そこそこで4000千万代のマンションがほいほい売れている。これって親が頭金を出しているとしか思えない。そのあたりの統計はどうなっているのか?
 平均の結婚年齢は上昇している。都市部での実感だと、女性28歳、男性32歳というあたりが平均くらいだ。20代前半の結婚というのはある意味いつの時代でも減らないだろうが、社会の動向としては、たぶん、女性は30歳、男性34歳という線にまで上がるだろう。そして、20代で結婚というのの大半は離婚して、再婚でこの線にキャッチアップするに違いない。
 やや妄想のようだがその線で考えると、女性が子供を産むのは32歳。男性は36歳。現状でも子供を産む夫婦は二子まで産むことが多いから、次が女性35歳、男性39歳。それで子供は終わりとなる。これを孫とする世代は定年の65歳。で、老後に入る。というわけで、ファミリー全体の資産構成を変える必要が出てくる。
 財産分与みたいに大げさな話でなくても、こうした動向が現在先取りされているというのが、貯蓄率低下の背景にあるように思える。だとすると、この状況は10年以上続くだろう。
 以上が、私の「なーんだ」のストーリーだ。類似の意見を見かけたことがないなと思っていたら、必ずしもそうでもないようなので(*1)、それほど間違いでもないのだろう。

注記
*1:「少子化に伴う影響(持家の相続・贈与の機会の増加等による影響)」を参照。ただし、ここの論では、大都市圏で住宅の新規需要は減少していくと見ているがこれは違うだろう。都市集中はさらに高まるはずだ。

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