代理出産問題はまるでわからない
今朝の各紙社説の話題は中曽根辞めろコールである。常識的に言って、さっさと辞めろよと思うが、産経新聞社説が面白かった。
中曽根氏の拒否の理由は、「憲法と教育基本法改正が政治日程に上る重要な段階で議員を辞めることはできない」との信念に発している。この決意は大政治家と呼ぶにふさわしい中曽根氏らしく筋の通ったものである。
ほめ殺しでわはっははといった感じだ。個人的には中曽根にがんばってもらって自民党政権リセットへの効果としてもらいたい。くどいようだが、首相経験者という話題のタガをはめるのはわかるが、こんなどうでもいいご老体より、元気な山中貞則をどうにかせーよ。国の税制に枢密院を作ってる悪玉だぜ。
今日の話題で、うかつにもへぇ~68点だったのは、読売新聞社説「米国代理出産 『母子』認定めぐる法の穴埋めよ」だ。まさに我ながら無知っていうやつだった。事態はこうだ。
不妊治療の急速な拡大に、社会や法律がついていけない。それが深刻な問題であることを実感させるトラブルが起きた。
不妊に悩む五十代の日本人夫婦が米国に渡り、米国人女性に代理出産を依頼して昨年、双子の男児を得た。日本国籍を得るため、「実子」として在米日本総領事館に出生届を出したが、一年以上も棚上げになっている。
総領事館が、出産の事実確認に手間取った。今夏やっと、代理出産とわかったが、法務省は、「出産した女性が母」という判例を盾に受理を渋っている。
さらに、へぇ~を叩いてしまうのだが、こうした件について、法務省は通達で、出生届の受理に際し50歳を超えた母については事実を確認する、つまり事実認定は法務省が行ってくださる、としているとのことだ。あちゃ、またやっているぜという感じだ。人の人生に関わることを通達という名の無法で処理してやがんの。
いずれにせよ、今回は妻が50歳を越えていたので問題化したらしい。じゃ、50歳以下はどうなってんのとも思うが社説には書いてない。推測するに50歳以下なら事実上問題はなさそうだ。というのも、問題化しないケースは100組を超えるとも言われているし、毎日新聞の報道では50人もすでに代理出産で生まれているらしい。この子供たちは事実上認められているようなのだ。
とすると、この問題は、法務省は50過ぎて女が子供産むなよとしていることになる(*1)。で、今回のこの問題をどう読売が考えているかというと、結語はこうだ。
その間にも、不妊治療で多くの子供が生まれている。代理出産に限らず、卵子の提供を求めて海外に渡る例も多いという。そうした子供たちの福祉を放置しておいていいのか。時代に対応した制度作りを急がねばならない。
あれ? これで問題の回答になっているのか? デスクがいじり回したのか。とはいえ、概ね「今回の代理出産を認めよ」と理解してもよさそうだ。ただ、問題化するのは妻が50歳以上というケースに限定されるのに、この回答はあまり一般的過ぎる。
とはいうものの代理出産という問題をどう考えたらいいのか? まず、私自身についてはまるでテメーの問題ではないなと思うだけ。一日本国民として若い同胞をどう考えるか、というと、率直なところよくわからない。
もっと率直なことを言うと、恥知らずと誹られそうだが思ったことを言うとだ、米国で出産したら、とにかく米国国籍になるので、米国民にしたらどうか。代理出産がどうたらということも、法的に養子とすればいい…と考えて、あっ、親は米国民になる気はないのか、とテメーのトンマかげんに自嘲する。いずれにせよ、私という人間はそんなことをオートマティックに考えてしまった。
そういえば我ながらこの手のことに無関心なのに呆れるが、代理出産とかで女性週刊誌を騒がしていたタレントがいたよなと記憶をたどり、ネットを覗く。向井亜紀38歳だ。子細はわからないが、生まれてくるのはこれからのようだ。とすると、向井になさぬ仲ならぬ子が生まれたとき、世間はどっと盛り上がるのだろうか。とほほ。
すでに過去になりつつあるが、「諏訪マタニティークリニック」根津八紘医師が日本産科婦人科学会の規定に違反して夫婦以外の第三者との間の体外受精を実施した問題のおりは、除名させた学会より根津のほうが意見が通っているとも思った。根津は実質代理出産体制を進めているはずだが、と調べてみたら、あちゃ、すでに実施済みでした。この件について、もうちょっと首をつっこむと、法制審議会部会は今年の7月、出産した女性を法律上の実母とする民法特例試案をまとめている。なんだ、それ?
どうも我ながらこの問題に対する感性はピントがずれまくっている。結論もなく終わりにしよう。このブログは書いてもボロボロになるだけだ。ふと思い出したが、若い頃、知人がユダヤ人であること知り、ぜんぜんそうは思っていなかったせいもあるが不届きにも「なぜユダヤ人なの?」と訊いたことがあった。答えは「母親がユダヤ人だったから」だった。それから彼は母親とはやっていけなかったという話をした。話に浮かぶ女性はシルビア・プラスみたいな人だった。シルビア・プラスってユダヤ人だったっけ(違いますよ)。ユダヤ人には代理出産というのはないのだろう。しかし、ハガルを祝福した神は、代理出産の子も祝福するに違いない。
追記(11.11記)
NHKのニュースより。
代理出産の子 日本国籍認める
日本人の夫婦が、アメリカ人女性による代理出産で生まれた子どもを自分たちの子どもとして出生届を出した問題について、法務省は、夫と子どもの間には親子関係が存在するとして、子どもの日本国籍を認めることを決めました。
(11/11 15:10)
ほぉー、そりゃ良かった、というか、法務省、及び腰ってやつだろうな。騒ぎを立てたくないってことだ。
注記
*1:余談だが、昔懐かしい平岩弓枝脚本「肝っ玉母さん」で京塚昌子演じるところの「大正五三子(いさこ)」ってのは、母親が53歳の時の子っていう意味だった。なかなか洒落た名前だ。ついでに沢田雅美が演じたのは三三子(みみこ)。
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