パレスチナ自治政府アッバス首相辞任はしかたがない
今朝の朝日新聞社説と読売新聞社説はどちらも、総裁選と、イラク復興へ他国貢献を呼びかけるブッシュ演説を扱っていた。バカみたいだなと思う。また、バカの壁だ。なぜ2紙はこんなつまらないテーマなのかと思う自分を反省すべきなのだが、捨て置く。日経新聞社説と毎日新聞社説はパレスチナ自治政府アッバス首相辞任を扱っていた。こちらのほうが問題だ。
アッバス首相辞任経緯についての解説は省略する*1。日経新聞社説も毎日新聞社説も和平の雲行きを怪しくする今回の事態を問題視し、なんとか和平を求めるという立場をとっている。2紙ではトーンが少し違う。毎日新聞社説「パレスチナ 和平の枠組みをこわすな」ではようするに米国がイスラエルに圧力を掛けろということだ。
中東和平においてイスラエル、パレスチナ双方に影響力を行使できるのは米国だけである。しかし、シャロン政権の過剰すぎる程の軍事攻撃やイスラエルによる分離壁建設問題などでブッシュ政権はイスラエルの行動を黙認した。このことがアッバス首相を窮地に追い込んだことは否定できない。和平を結実させるために米国がもっとイスラエルに自制を迫ることはできなかったのか。
日経新聞社説では米国によるイスラエルの圧力もだが、もう一歩踏み出して、アラファト側のクレイを見直せとしている。ようするに、米国のロードマップを再建したいというわけだ。
だが、イスラエルとパレスチナの暴力の連鎖の再開を避けるには、クレイ首相の指名見直しは不可欠だ。今こそアラファト議長の平和への意思が問われている。
私の考えはまるで違う。私の考えは正しくないのかもしれないと思うが、こうだ。そもそも米国側がアッバスを立てたのが間違いだったし、パレスチナを舐めてかかったバチだろう、と。アラファトの実権が戻ることを前提に今後の事態を考えるべきだ。
露骨な言い方になるが、表層的な「和平」を目先の目標にしてもこの泥沼はどうしようもないのではないか。フセイン下のイラクがイスラエルを刺激するという最悪の想定が消えた今、殺戮の悲惨は悲惨だが、つまるところ当事者の問題だ。イスラエルが和平に目を覚ます可能性は少ない。狡猾なアラファトが平和を求めることはない。とすれば、アラファトがもうろくして自滅するか、寿命がきてパレスチナが音を上げるころ、国際社会がアッバスのような人材を引き立てるしかないだろう。
時を待つべきでろう。その時がくるまでじっと悲惨に耐えられる平和の人材を国際社会は密かに育てていくべきだろう(若いパレスチナ人を亡命させるべきだ)。
追記:
朝日新聞は翌日の社説でこの問題を扱っていた。主張は、総選挙をしたらどうかというものだ。ウマイ!笑いのツボをおさえている。
| 固定リンク
「時事」カテゴリの記事
- 歴史が忘れていくもの(2018.07.07)
- 「3Dプリンターわいせつデータをメール頒布」逮捕、雑感(2014.07.15)
- 三浦瑠麗氏の「スリーパーセル」発言をめぐって(2018.02.13)
- 2018年、名護市長選で思ったこと(2018.02.05)
- カトリーヌ・ドヌーヴを含め100人の女性が主張したこと(2018.01.11)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント