子供の性教育をどう考えるか
産経新聞社説は「過激な性教育 調査と是正指導の徹底を」として、またまた性教育問題についてイデオロギーと古色蒼然の道徳を書き散らしていた。産経新聞の読者層がこういう話を好むのだから、エンタテイメントでいいじゃないか、と言えないことはない。それにこの手の話は床屋談義の最たるもので、口を突っ込むとろくなことがない。とはいえ、この機に少し書いておこう。
産経新聞の問題意識は性教育を借りた左翼イデオロギーへの反発だ。そのこと自体はそれほど的が外れてはないのではないかと思う。すでに右より雑誌でネタにされているが、その実態はもっと暴露されていいだろう。
過激な性教育は特定の思想をもった教師が行っている疑いがあり、校長らの監視も必要である。
左翼思想と性教育の問題についてはここでは扱わない。もともと左翼が性解放の先陣を切っていたことは各国共産党の初期の歴史を見ればわかるだろう。
性教育について思想問題など、どうでもいいことだ。実際のところ、そうした思想背景をもった性教育であれ、社会的な結果がそれに準じてもたらされるわけではない。それよりも現状の日本社会の性教育の必要性を大人たちが認識すべきだろう。
まず正確な知識が必要になるのだが、産経新聞のこのようなお粗末な説明では困る。
避妊教育についても、正確な知識を教えるべきだ。コンドームは性感染症の予防と避妊に有効とされ、ピルはコンドームよりも避妊効果があるとされる。だが、どちらも万全な避妊具や避妊薬ではない。ピルには、副作用の報告もある。
だからどーなんだと突っ込みを入れても産経新聞社説にはこの先の展開はない。確かにピルもコンドームも万全な避妊具ではない。だが、使い方を正確に知れば、かなり万全に近い。ピルには副作用もあるが、その副作用を喧伝するのは、医学的な無知を表明しているようなものだ。すでに欧米ではモーニングアフター(事後避妊薬)(参照)すらOTC(市販薬扱い)になってきている。こうした情報を正確に与えないから、少女達は口コミルートで情報を得ることになる。ついでの話になるが、小学生対象にしたプチなレディコミについて大人の社会はなにも問題視しないのだろうか。
性教育についての意見を大上段に振りかざすことは愚かしいがおそらく、現状の最大の混乱原因は、性というものを教育の場できちんと「快楽」として捕らえていないことだろう。「快楽」を「愛情」と関連付けることが教育だとする強迫自体が問題だ。現実は、性は愛情でもあり快楽でもある。そして大人は愛情という点で見れば、性について倫理的に行動はしていない。
「こうあるべきだ」という倫理ではなく、大人達の現実を認識させるべきだろう。具体的には、現実の大人の性の問題をケーススタディとした教科書を作ればどうだろうか。だが、そうした教科書を結局活かせるのは、性についてある程度覚悟のできた大人の教師でなくてはならない。
話をちゃらにしてしまいそうだが、性教育の問題は性的に未熟な大人たちが担いがちという点にあるのかもしれない。学校という場より別の場所で、快楽という点を熟知している大人が必要になるのではないか。
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