« 野中広務は心情的に否定しがたい | トップページ | ようするに円高は避けられない »

2003.09.22

アスピリン喘息の患者はどう扱われているのか

 数日前から気になっていたアスピリン喘息について書く。なぜ今アスピリン喘息が問題なのかって? とくに理由はない。しいていうと「はてな」の質問に関係している(参照)。この話題は一般の読者には関係ないかもしれないが、たまにこんなことも書くことにしたい。
 以下の話はアスピリン喘息患者が利用できる鎮痛剤についてだ。
 その前に、アスピリン喘息とは何かだが、アスピリンなどの消炎鎮痛剤の服用によって起きる喘息だ。成人の喘息の約1割がアスピリン喘息であるとも言われている。日本の喘息患者は人口の3%程度らしい。とすると、アスピリン喘息の推定患者数は30万人程度だろうか。そんなには多くないし、重篤な症状を起こすことが少ないのか、社会問題になっていないと見ていいのかもしれない。
 次になにがアスピリン喘息で問題なのかというと、この患者は市販の鎮痛剤が使えないということだ。現場、結論は医者に行くしかない。それ以外は鎮痛剤を使わないようにということになる。雑駁にいうと、医者の処方薬もあまり鎮痛作用がない。つまり、痛みの対処が事実上ない。それが問題といえば問題なのだ。私の考えを率直に言えば、苦痛を放置するというのは人道的ではない。
 そもそもアスピリン喘息にかからないようにするほうがいい、と言えるかどうか疑問だが、あまりアスピリンを多用しないほうがいいにこしたことはない。テレビでバファリンのCMをよく見かけるが、一般のタイプのはアスピリンに加え、胃の保護にアルミニウム化合物(ダイアルミネート )が加えられている。アルミニウムの害が科学的に確定していないが個人的にはお薦めしない(ふくらし粉にもアルミニウムが含まれている)。一般的な鎮痛剤なら、以前にも書いたがアセトアミノフェンのほうがよいだろう。ただし、アセトアミノフェンでもアスピリン喘息を誘発する危険性がないわけではない。
 アスピリン喘息にかかったらどうしたらいいか。例えば、健康@niftyの「アスピリン喘息について教えてください。」*4には、次のように書かれている。

アスピリン喘息といわれたら


  • その原因となる薬物の名前を必ず聞き、手帳などにひかえ、今後、薬を飲む場合には必ず医師・薬剤師にそのことを伝えるようにしてください。
  • 薬局で購入した風邪薬や鎮痛剤にも入っている可能性がありますので注意が必要です。
  • 痛みや発熱は冷やすなどして症状を抑えるようにして、薬は最小限にするように工夫ましょう。どうしても必要な場合にはアスピリン喘息の方にも比較的に安全であるとされている薬がありますので、かかりつけの医師にご相談ください。
  • もしも、再びアスピリン喘息の発作が起きてしまった場合には、すぐに医師の診察を受けてください。ひどくなりそうなら救急車を呼びましょう。

 誰の執筆かわからないが間違いではない。読むとわかるように、アスピリン喘息の患者が風邪や頭痛になったとき、具体的にどうしたら苦しみから解放されるのかについては、医者に行けという以外の情報はない。確かに、アスピリン喘息に対する市販薬(OTC)の利用は危険なのでしかたがないかもしれない。
 日本では、アスピリン喘息の患者の鎮痛剤としては、炎症を引き起こす酵素(COX)を阻害しない塩基性抗炎症剤のエモルファゾン(ペントイル)(参照)が処方される。塩基性抗炎症剤には他にエピリゾール(メブロン)(参照)、塩酸チアラミド(ソランタール)(参照)などがあるが、アスピリン喘息患者には禁忌とされている。塩基性抗炎症剤の鎮痛効果は高くない。エモルファゾンが市販薬(OTC)でないのはなぜなのかよくわからない。アスピリンに比べて危険性が高いのだろうか。単に、市販しても売れないというだけなのだろうか。
 以下は、治療の代替になる情報ではない。が、アスピリン喘息の対処について、できるだけ最新の情報を簡単にまとめておく。
 アセトアミノフェン:アスピリンより安全性高いとされているが、注意書きにあるように、すでにアスピリン喘息の患者は利用しないほうが良い。
 セレコキシブ(セレブレックス):日本ではまだ発売されていないが、近く解禁になるらしい。セレコキシブを含めCOX-2選択阻害剤は、アスピリン喘息患者にとって安全性が高いとする研究がある(いずれも鎮痛はリウマチを想定しているようだ)。日本でもセレブレックスが市販薬(OTC)になった場合、こうした知見がすぐに臨床に活かせるかどうか。たぶん、表向きはダメということになるだろう。現場でもエモルファゾン以外は塩基性抗炎症剤ですら禁忌なのだから。

 ナブメトン(レリフェン)参照):リューマチの鎮痛を対象にしているようだが、アスピリン喘息について次の研究がある。市販薬ではないが医師の参考にはなるだろう。

"Safe full-dose one-step nabumetone challenge in patients with nonsteroidal anti-inflammatory drug hypersensitivity."(Allergy Asthma Proc. 2003 Jul-Aug;24(4):281-4. )

 ザフィルルカスト(アコレート)参照):アスピリン喘息の予防に効果があるとする研究がある。市販薬ではないがこれも医師の参考になるだろう。

"Aspirin induced asthma, urinary leukotriene E4 and zafirlukast"(Rev Alerg Mex. 2002 Mar-Apr;49(2):52-6)

 アスコルビン酸:民間医療に近いが、風邪などの症状の緩和は期待できる(参照)。アスピリン喘息との関連の研究はないようだが、悪化することとはないだろう。
 漢方薬、中医薬、ハーブ(ナツシロギク)などの適用についてはまったく研究されていない。が、現状の経験の累積からみて、風邪によく処方される葛根湯はアスピリン喘息を引き起こさないようだ。葛根湯にはエフェドリンが含まれているのでその面からも、喘息の症状が緩和されているのだろう。同様に、小児の場合、麻杏甘石湯が伝統的に処方される(摂取量に注意)。
 ちと専門的になるが、アスピリン喘息患者にCOX-2阻害薬が有効であるということは、喘息を起こすロイコトリエンの生成に関与しないためだろう。とすると、このアラキドン酸カスケードの原点となるアラキドン酸の摂取を減らすことは日常の食事にとって注意すべきだ。具体的にはリノール酸の摂取をできるだけ減らそうほうがいいだろう。

|

« 野中広務は心情的に否定しがたい | トップページ | ようするに円高は避けられない »

「生活」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アスピリン喘息の患者はどう扱われているのか:

« 野中広務は心情的に否定しがたい | トップページ | ようするに円高は避けられない »